歩道橋の上で・旅の宿

吉田拓郎 /歩道橋の上で・旅の宿

歌:吉田拓郎
作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

   歩道橋の上で

車の音があふれる街に
きみのはずんだ声が届く

「蛍がきれいよ、
見せてあげたい
指の先にも、とまってるの」

ぼくは携帯、耳に押しあて
きみの笑顔を思い浮かべてる

ヘッドライトが流れる街の
人が行き交う、歩道橋の上で


奥入瀬のそば、蔦沼あたり
夜の森から声が届く

「それから沼にね、
星がうつってる
まるで星の雫みたい」

ぼくは目を閉じ、耳をすまして
星降る空を思い浮かべてる

水面に写り、きらめく星を
人が行き交う、歩道橋の上で
歩道橋の上で


秋ににぎわう木造りの宿
きみはひとりで、
くつろいでいる

「俳句を読む人、
淋しがりやね
だってこんなに嬉しいもの」

彼女らしいと微笑みながら
きみのことばに
うなずいている

来年あたり出かけてみよう
人が行き交う、歩道橋の上で

人が行き交う、歩道橋の上で
歩道橋の上で



    旅の宿

歌:吉田拓郎
作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎


浴衣のきみは尾花の簪
熱燗徳利の首つまんで
もういっぱいいかがなんて
みょうに色っぽいね

ぼくはぼくで趺坐をかいて
きみの頬と耳はまっかっか
ああ風流だなんて
ひとつ俳句でもひねって

部屋の灯をすっかり消して
風呂あがりの髪いい香り
上弦の月だったっけ
ひさしぶりだね
月みるなんて

ぼくはすっかり酔っちまって
きみの膝枕にうっとり
もう飲みすぎちまって
きみを抱く気にもなれないみたい