貧しさ
愛があって
貧しいころ
食べられない愛に
泣きあって
手に入らない高価な物を
横目で じっと
見つめては
みじめさを
擦り付け合った
歳をとると この社会
不思議と
少しずつ 豊かになって
欲しいものが 手にできる
多少の無理は
するけれど
色よい様々の品々に
囲まれて
栄養のあるご馳走を
向かい合って
食べながら
ふっと
悲しく なるのだ
この落ち着きの中
擦り付け合う物は無く
泪を流し合う必要も無く
ご馳走に向ける
飢えた若い恋人たちの
キラキラと輝く瞳を
じっと 横目に
見つめながら
寂しくなる
寂しくなる のだ
歳をとると この社会
自然と 少しずつ
きらめきを 失って
ご馳走と 引き換えに
愛は
貧しく なるのだ ね
なんの 無理も無く