モテと現実 声劇台本

男 34歳
女 34歳

男「モテたい人生だった」

女「何それ?」

男「いやさ、俺ももうすぐアラサーも終わるだろ?定義は色々あれど、そうなったら世間的には完全におじさんじゃん?」

女「まー、同い歳の前で言うことじゃないけどそうね」

男「酒の肴程度の話として聞いてくれよ」

女「ツマミさっき大量に頼んで届いたでしょう」

男「そういう問題じゃなくてさー、まあいいや。聞いてくれよ」

女「別にいいけどさ」

男「やっぱさ、人間誰しも色んな人に好かれたいと思うものじゃん?」

女「そう?好きじゃない人に好かれても気持ち悪くない?」

男「さっきから話の腰をおるなよー。まあ、俺は思うわけよ。色んな女子から好かれる人生を、送ってみたかったと」

女「別に、まだ間に合うんじゃないの?言うて来年35よ」

男「いやいやあれよ?会社なんて今どきコンプラ?厳しいし、女子に声掛けただけでアウトよ。特に俺らの歳なんてその始まりじゃん?」

女「なんか私まで傷ついて来たんだけど」

男「別にイケメンでも無ければ面白いわけでも年収が高いわけでもない俺が、今更足掻いたってモテる場所もないわけよ」

女「マッチングアプリとかどうなのよ?」

男「あれこそ外見とスペックが全てだろ?無理無理」

女「そもそもさあ……」

男「なんだよ?」

女「モテてあんたどうしたいの?」

男「へ?」

女「モテたところでさ、現代日本じゃ1人しか選べないわけじゃん?優柔不断のあんたじゃ誰も選べなくてオロオロしてる間に全員に逃げられるわよ」

男「痛い所を」

女「今までの彼女との結婚も選べなかったんだから、モテなくていいのよ。いーじゃん平和で」

男「なんだよー!お前だってイケメンに言い寄られてみたいなーとか思わないわけ?」

女「思わない。最終的に顔面が役に立つ事は人生で起きない」

男「つまんねーヤツ」

女「はいはい。ツマミ来てるんだからさっさと食べましょう」

男「ほーい」

女「私は、これでいいのよ」

男「何が?」

女「今が1番幸せだから」

男「何が?」

女「しーらない」

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