人間の能力はどこまで拡張できるのか


一細胞レベルでピンポイントに細胞の活動を操作でき、指定した時間に活動した神経細胞だけを活性化したり、「ドーパミンを放出する細胞」だけを不活性化させることも可能らしい。

第1章 脳とAI融合の「過去」

ネズミの脳同士の大陸間遠隔通信

ネズミに地磁気を感覚させる実験

→脳はこれまでに経験したことがないような刺激に対しても素早く対応し、その意味を活用できる。

脳波でロボットアームを動かす

Googleが教師なし学習でAIにネコの概念を獲得させる

AlphaGoがイ・セドル、カ・ケツに勝利

第2章 脳とAI融合の「現在」

皮質脳波計というシート状の電極をてんかん患者の脳に埋め込み、頭の中で思い浮かべた文章を97%の精度で翻訳

fMRIで脳内のイメージを画像化

人工的な視覚

人工眼球

人工視神経

人工視覚

→脳に直接電極を埋め込んで68ドットの人工視覚を実現するも、04年にドーベルが亡くなるとともに研究ノウハウも喪失

リンドン・クルーズ

人工網膜システム

→ArgusⅡという

皮質脳波計を埋め込み。電極を一個ずつ刺激することで、アルファベットの認識

→目を介さず見る。今後、耳を介さず聞く、鼻を介さず嗅ぐ、口を介さず味わうことも可能になるのではないか。

DeepMindによるバーチャルネズミシミュレーション

→本物のネズミと全く同じような反応をするバーチャルネズミ。動物実験をバーチャルに行うことができるようになる。

意識について

→統合情報理論

計算論的精神医学

→うつ病のバイオマーカーを探す

第3章 脳とAI融合の「未来」

ネズミの脳を素子としてコンピュータを作るBrain Net実験

生体コンピュータやBBI(Brain Brain Interface)と呼ばれる研究分野

今後の3つの目標

①高い精度で「脳情報の読み取り」と「脳への情報の書き込み」を行う技術の開発

1.Kernel Flux

脳電磁図記録法(MEG)を用いたデバイス

MEGは元々巨大な装置が必要で、それを使いながら被験者が動き回ることが不可能だったが、有線ヘルメット型として、動き回ることが可能になった。

ただ、写真も掲載されているが、見るからに、ごっついヘッドギアという感じであり、まだ日常生活は難しいなとは思うが、無論、元のMEGと比較すれば格段に進歩している

2.Kernel Flow

近赤外分光法を用いたデバイス

近赤外法で血流を測定する。

脳への情報書き込み(マインド・アップロード)の一例

・電気(侵襲的)

頭蓋骨あけて電極を刺す。分解能は高いが侵襲度も高い

・電気(非侵襲的)

経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)など

頭蓋骨を開ける必要はないが、分解能もここで紹介するもののなかで最低レベル

・磁気

経頭蓋電磁気刺激法(TMS:Transcaranial Magnetic Stimulation)

侵襲度も低く、それでいて分解能もそこそこ高いため、うつ病の治療にも用いられているが、脳への書き込みに使えるかは微妙

・超音波

侵襲度が低く、空間的分解能が高い

・光

光遺伝学(オプトジェネティクス)

時空間分解能が高い。

光によって活性化されるタンパク分子を用いて、神経細胞を操作する。

→神経細胞の活動を時間的にも空間的にも操作できる。

→空間分解機能→一細胞レベルでピンポイントに細胞の活動を操作でき、指定した時間に活動した神経細胞だけを活性化したり、「ドーパミンを放出する細胞」だけを不活性化させることも可能。

→脳に対して遺伝子改変を行ったうえで、光ファイバーを脳に直接指す必要がある。

チャンネルロドプシンを発現させる

チャンネルロドプシン=光に反応してイオンチャンネルとして機能する

光を当てるだけで膜電位を変えられる=好きなタイミングでニューロンの活動をオンオフできる

100分の1秒から20分の1秒という速さで反応する

・電脳化

脳の神経ネットワークをコンピュータ上に再現することができれば、コンピュータ上で操作が可能になる。

②BMIなどを用いた神経・精神疾患の治療

③赤外線、紫外線、放射線、磁気などの新たなモダリティの知覚獲得

丸山宏の高次元科学→大量の変数を用いて世界をモデル化する化学のあり方

ゴールドスタインのダイレクト・フィット

これまでの科学が、よりシンプルな、少ない変数で多くの現象を説明できるエレガントな説明を求めていたのに対して、人工知能の発達は、膨大な変数によって現実世界をより正確にモデル化できるようになるのではないか、という考え。

いままでは、オッカムの剃刀という価値観によって、データが少なかったり、マシンのスペックが低かったので、そこから一般法則を求めようとしていた。

これまでやりかたを「理想的な条件で成立する法則を一般化する」ことから、「理想的な」を意味するidealを用いて、ideal fitと呼ぶ。

今後は、「ビッグデータと人工知能を用いて複雑な現象を直接モデル化する」ダイレクト・フットになる。ただし、ダイレクト・フットにより人工知能が生み出した方程式は人間には理解できない可能性がある。

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