しっぽの一枚
ふと、食べたくなる時がある。
ふと天ぷらが無性に食べたくなる時がある。それは、とてもお腹がすいてどうしようもない時や、匂いにつられてついつい・・・なんて時や、父に「ここの天ぷらはうまかぞ。ここは天ぷらが売りの店やけんな」と言われた時などなど。
そもそも、「ふと、食べたくなる時がある」モノなんて、たくさんある。ここで挙げていくと、キリがない。なので、今回はその中の一つ、天ぷらのお話。
天ぷら食べたいなぁ~。
ショッピングモールのフードコートやレストラン街を、お腹を空かせてショーケースを見ながら彷徨っていると、さくっと揚がった天ぷらが目に入る時がある。
もしくは、蕎麦屋に行って、迷っていると「天ざる定食」とか「ごぼ天うどん」とか「かきあげうどん」とかが、メニュー表の中で輝いて見える時がある。
お腹をすかせた私の食欲をさらに、そそりやがって・・・そんな目で見つめられると、注文しちゃうじゃあないか。
いただきまーす!
この日注文したのは、魚屋さんがやっている定食屋の「天ぷら定食」だ。白身魚の切り身や、野菜の天ぷらなど、揚げたての天ぷらがお皿に、どどんと乗っている。
つゆに大根おろしと生姜を入れて、混ぜて、天つゆの準備はOK。そうそう、塩も。天ぷらというと、抹茶塩がついてくることが多い。いいね。塩もまた、よきかな。
いやあ、それにしても美味しい。白米や味噌汁、漬物と一緒に天ぷらを食べ進めて、進めて・・・進めて・・・進め・・・すす・・す・・・ありゃ。
撮った!
海老が2匹残った。特に、美味しいモノを最後に残しておくタイプではないが、海老天は天ぷらの中でも好きなモノの一つだ。そう、「博多スタイル天ぷら」で揚げたての天ぷらが次々と出てくるシステムでなければ、天ぷら定食で一番最後に残ることが多い。
そして、その海老天の身を食べて、しっぽだけが残った海老天をじっと見つめる。このしっぽよ。これを残す人も多いが、私は遠慮なくいただく。なんなら、残した人のしっぽも遠慮なくいただく。たとえ、それが初対面で、最初に一緒に海老天を食べる人のしっぽであろうとも。
でも、悲しいかな、このご時世になってからは、さすがに他人のしっぽは食べなくなった。が、欲しいもんは欲しいで、皿が下げられるまで、じいっと見つめているのだ。
海老天のしっぽ。
これからだんだん年老いていって、歯が弱くなり、硬いものが食べられなくなったとしても、意地で食べるんだろうなぁと、なんとなく思っているモノの一つでもある。
やめられない♫ふふふふふ♫