病気の一枚 61
2024年6月の私です。
2019年夏、右胸のしこりに激痛がはしり、検査の結果、乳がん、悪性腫瘍と診断されて、11月に右胸全摘とガンが転移していた右脇下のリンパ節切除手術を受けた。そして12月から抗がん剤治療が始まり、翌年2020年5月にやっと抗がん剤治療が終わり、7月にポート抜去手術後、ホルモン療法(タモキシフェン)が始まった。
2020年9月から仕事復帰。ただし、右腕はリンパ節切除の影響で軽いリンパ浮腫を起こしていたが、腕を休ませながら、仕事は本格的に復帰していた。しかし再発治療による副作用のため、現在再び休職している。
2023年1月に再発。右肺の胸膜に遠隔転移判明。診断は『右肺の胸膜播種』。現時点でガンに対する自覚症状はない。べージニオ&フェソロデックスを用いて再発治療中。
最初のがん告知から、4年8ヶ月。
右胸全摘&リンパ節切除手術をして、4年7ヶ月。
最初の抗がん剤治療が終わって、4年。
再告知&再発治療が始まって、1年5ヶ月。
好中球って。
疲れた。好中球のことを考えること。
現在、抗悪性腫瘍薬ベージニオを服用している。そして先月の血液検査で好中球減少が判明したので、次の治療日までベージニオを休薬していた。
休薬を始めて1週間ぐらいは副作用の下痢があったが、1週間ぐらいでなくなった。そこからは、薬を服用する前の、何の薬にも縛られない、病気する以前の身体に戻っていた感じがした。ほぼ毎日の吐き気以外は。なぜか吐き気だけが続いていたのだが、他はなんともなかった。あれ?私、元気じゃん。健康じゃん。おっ!なんでもできるんじゃね?と壮大な錯覚を覚えたぐらいだ。
しばらくは、健康な、何の治療をしていない人とほぼ変わりがない生活を送ることができていた。なんなら、あんなに下痢に悩まされていたのに、次の治療日が近づいた数日前ぐらいから、あら?便秘かしら?と違う悩みが現れるほどであった。
定期治療日がやってきた。
そうこうして迎えた治療日は、いつもどおり採血から始まった。血液を採られながら、「どうか好中球が上がってますように・・・いや痛いって!」と念じてるんだか、なんだかよく分からない状況で採血を終えて、待合室でおとなしく待っていた。
やがて、診察室に呼ばれると、先生が笑顔で待っていた。
「いい知らせしかないよ~」
「ってことは?」
「白血球回復してたから、薬再開ね」
「やったー!」
今月の好中球は、白血球数4200×分葉核球0.497=2087である。余裕のクリアである。
しかもそんな好中球の陰で、実はヘモグロビン値も11.6と、ぎりぎり正常値内に戻っていたのを見逃さなかった。先月まで9.7とまた下がっていたからだ。
そんな数値を見ていると、ああやっぱりベージニオの影響が強いんだなと、あらためて感じるのであった。
しかし、今度は肝臓の値が上がっているという。上がり続けるようだったら、肝臓の薬も飲むことになるらしい。これは、抗がん剤を打っていた時も飲んでいたので、初めてではない。よし。来るならこい!
撮った。
ベージニオは再開したものの、100mg→50mgに減薬して再開となった。効果も5割になるという話を聞いていたが、私のがんにはベージニオ+フェソロデックスが合っていて身体が安定しているから、そんなに効果が下がるイメージではないよと言いつつ、先生は私が納得するまで話をしてくださった。この後、またいつものようにフェソロデックスを大騒ぎしながらお尻に注射して、この日の治療は終了。やっぱりお尻に注射は痛い。
ベージニオを再開した翌日、さっそく下痢が始まった。一瞬出ていた便秘問題はあっという間に解決した。
吐き気は変わらずおさまらないので、吐き気止めを飲んでいる。それでも、休薬期間に比べると飲む回数が減った方である。
そして、再開して1週間経った頃、また指の皮がべろりと剥け始めた。これから夏になろうかというのに、また保湿の日々が始まるのか。
それにしても、今回の休薬期間で思った。薬を飲まないことがこれだけ楽だと思えるなら、これを機にもう薬は飲まないという選択をする人もいるんだろうなと。
「がん治療」と一口に言っても、いろんな治療方法がある。そしてまた、治療しないというのも一つの選択肢だ。
がんで亡くなった親戚の叔母さんは、5年ほど抗がん剤治療を続けていたが、亡くなる3ヶ月前に「もう疲れた」と言って治療をやめる選択をしたと聞いた。そのやめる選択をした気持ちが、今回の休薬で少し分かったような気がした。投薬がこんなにしんどいことだったのかと思ったし、そして投薬がないと不安もあるが、どこかホッとした気持ちも出てきていた。そう、少なからず解放感があったのだ。
再発治療はずっとずっと続くし、今は受けることができる治療は受けようと思っているが、少し先の自分が治療に対してどういう選択をしていくかは、今のところ全然分からない。想像もつかない。治療できるなら、とぼちぼち治療を受けているかもしれないし、もう疲れた、と言って、すぱっと治療をやめているかもしれない。その時の自分の体調、想いを主治医の先生、家族と話しながらになるだろう。
どちらにせよ、やっぱりぼちぼちかな。
追伸:病気の一枚は連載モノです。よかったら60もご覧ください。
いちおう今までの分は私の病気マガジンにまとめています。
1から読むと、かなり長くなりますが、興味がある方はどうぞ(^^;)
えっと、13までは病気治療に専念しており、14あたりから徐々に社会復帰して、毎月の定時連絡になり、44から再発治療が始まります。