母親に大学卒業を疑われた話
タイトルの通り、本日母に「本当に大学を卒業したのか」と疑われてしまった。世間は卒業シーズンだが、私が大学を卒業したのは7年ぐらい前だ。
私の母は台湾人で、アメリカ留学を長年していた。優秀な女性なので英語と中国語は大得意なのだが、留学先で知り合った日本人の父と結婚してしまい、その父は結婚後まもなく他界しているので日本語がそんなに上手ではない。これを踏まえて、以下の珍事件を共有させてほしい。
母と言語と私
私はというと、小学校は台北日本人学校に通っていた上、アニメや漫画が小さいころから大好きだったので、母国語は日本語である。故に母との間にできた言語の溝は大きい。親子でメインの言語が異なるのである。
バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ』や『ロンドンハーツ』を見てゲラゲラ笑うぐらいには日本語を理解している母だが、行政書類や、『犬神家の一族』(初代映画版)のような難しい日本語は苦手なようだ。『犬神家』は私が2時間かけて解説授業を行い、やっと理解した程である。
大学の卒業を疑う実の親
そんな母は、私の大学卒業を確認する癖がある。私は2013年に大学を卒業しているはずなのだが、それがどうやら定期的に信じられなくなるらしい。本日、約5度目の「本当に大学卒業してるの?卒業証書の写真を送って」と言われてしまった。
卒業証書など、私自身長年見ていない。ついにボケたのか?めんどくせえな、こちとら締め切りにいそがしいんだよ!!と思い、キレ気味に「なんで今いきなりそんなことを言い出すのか」問い詰めると、これが一種の「言葉の溝」であることに私は気づいた。
私が2013年に大学からもらった卒業証書には「学位記」と書いてある。ここに「卒業」という文字はない。どうやら1991年から「学位記」という表記に変わったらしいのだ。少し調べればわかることだが、母は何をこんなに焦っているのだろうか。私は締め切りの時間を気にしながら聞いた。すると彼女の口から衝撃的な言葉が吐き出される。
「三原JAPANの動画で出てた奴は卒業証書って書いてあったもん!」
Youtubeに惑わされた母
三原JAPANとは、台湾で大人気の日本人Youtuber集団である。今はグループを卒業したTommyさんが、動画内で自分の卒業証書を写していたというのだ。
問題の動画はこれだ
サムネイルを見ると、確かに「卒業証書」と書いてある。母はなんと、「学位記」としか書いていない私の卒業証書を偽造か、そもそも卒業証書ではないと勘違いしたのだ。あんな分厚くて豪華な装丁のもの、中々偽造できないぞ。
最初は「大学卒業してるの!?」と意味のわからない疑いをかけられ、ブチ切れてしまった私は、この真相にたどり着き脱力した。確かに優秀な生徒ではなかったし、1年留年したが、卒業はちゃんとしている。してるんだよ、お母さん…。
日本語って難しいね
母には以下のWikipediaから引用した文章と、他大学さんの「学位記」証書画像を送り、「日本の大学には色々ある」ということを伝えたいと思う。
『日本においては、1991年(平成3年)7月1日に施行された改正学校教育法、及び改正学位規則により、大学卒業者に与えられる資格が「学士の称号」から「学士の学位」に改められたことに伴い、それまで「卒業証書」が与えられていたのが「学位記」となり、「卒業式」が「学位記授与式」と改められるなどのことがあった。』
そしてこの動画を見たばかりに再度うっとおしい疑いをかけられた私に、Tommyさんは謝ってほしい。そして「日本の大学の卒業証書はこれだけ違う!」みたいな感じの動画を作って欲しい。Tommyさん、またはリーダーの三原さん、これを見ていたら連絡ください。
これは余談だが、学位記について調べている時、メルカリやヤフオクに大量に出品されている有名大学の「学位記」を見た。母校のものもあった。東京大学のものが一番高かった上に、しっかり購入されていた。誰が、どういった理由で使うのだろうか。今後はそれも調べてみようと思う。