オス検定in池袋
この級を、それも一級を取得するためには、まだまだ時間かかります。
の続き
水は下にの#1赤坂はこちら
銀座を辞めた理由…。
当時21歳のアコリスは乳飲み子2人抱えて離婚することを決意します。
(離婚うんたらについては
#繰り返される緑茶 の方で。)
女という生き物は決断するまでは、長らく水面下でグダるものの、一度確たる決断をしたら己の信念のままに動く生き物だと未だ思っています。
その後の安定した生活をすべく資金を貯めるため、当時の住まいであった北区赤羽から10分で通えるところ、池袋のマンモスキャバクラへ移籍します。
キャストは在籍200人を超えていました。
店名は伏せますが、プラザグループのタロー、ジロー、と並ぶ超人気店でした。
ちなみにキャバクラとは、キャバレークラブの略です。
その名の通りキャバレー感強めの大箱でした。
♢
わたしが何より困ったことは、赤坂、銀座で培ってきた接客法がまるで使えないこと。
銀座は、主に接待で使われることが多く、そのための話術を自身の引き出しにたんまり仕込んだのですが、どの引き出しを開けても、どのページを開いても通用できない。
21歳のわたしに
「なんだ、20代のババァか。
俺10代の子がいいなぁ」
と言われた時の衝撃。
衝撃すぎて、まだ覚えてるくらいですw
♢
銀座ではバブルがとうに弾けていても卓につけば数万円のチップが渡されることも珍しくはなく、タクシー代となれば2、3万円が相場でした。
が。
「ここからタクシーでどのくらい?」と聞かれる始末。
赤羽までだから3,000円もあれば…
と遠慮がちに言うと、本当に3,000円を渡される。
3万円から3千円…。
絶句。
もう赤坂のクラブ経験も、銀座の高級クラブ経験も捨てることにしました。
バカっぽくてノリがいい。
お手軽に手に入りそうな、
それでいて手に入らない、
元気いっぱいのアコリスちゃん!
このキャラを自ら生み出しました。
指名の増えること増えること。
もちろん日々努力はしました。
好かれる努力より嫌われない努力。
え、そんなことまで俺っちのこと覚えてるの?
え、俺っちのこと好きっちなの?
だぁーいすきっち♡
そして、ちょっと真面目な顔して、必死で訴える風を装い
「本当だよ?」
(NANAのさちこ風)
♢
既に取得していた
オス検定三級は以下に。
・酒の席では家庭の話はしない、聞かない
・酒の席で仕事の話は一切しない、聞かない
・闇雲に野球、政治、宗教の話はしない
でした。
仕事や家庭から解き放たれて遊びたい男性たち。
一介のキャバ嬢が現実に戻してはいけません。
女性をバカだなぁ、可愛いやつめ、と思わせるためには小娘が政治や宗教の話をしてはいけません。
野球は各々好きな球団があるかもしれないので、無闇に薄い知識で話してしまうと怒らせてしまうかもしれないので話てはいけまけん。
あくまで、バカで、可愛く、元気に。
罪のない嘘ならふんだんに惜しみなく使う。
そして美しく気品だけは保つ。
そして。
わたしは、No.1になりました。
もちろん運ありきですが。
アコリスちゃん頑張りました。
離婚するんだというエネルギーが、全てそこに向かいました。
池袋では、かなり有名な大きなお店だったので、この噂はどうやら六本木まで流れたそうです。当時、六本木でクラブ歌手をしていたという今でも繋がりのある友人と知り合った際に、◯◯(店名)の✖︎✖︎(源氏名)って、アコリスだったの???六本木までその噂は流れてきてたよ‼︎マジかぁ!!)等々言われました。
余談終了。
No.1ともなると、それなりにやることが増えます。
ストレスも増えます。
キャスト用のトイレには、常に成績表が貼られ、最初の頃は下の下の下ーの方にあるわたしの源氏名が一番上に行き、女の子からの嫌がらせや指名が重なれば一つの卓についていられないのでお客様の苛立ちが募り、嫉妬もないまぜになった感情を酔いと共に無遠慮に吐き出されます。
そして、ナンバー入りしたキャストはショータイムで駆り出されます。
営業後は毎日毎日レッスンです。
これです、これこれ。
しかもNo. 1はサビを歌わなくてはならない。
もちろん振り付きです。
輝いていた浜崎あゆみが、おもしろおばちゃんになってしまった『お浜さん』のような演出。
♪らーぶあげぇーん、あの日あーのばーしょーでぇ、おーなじー空をーみーてーいたーねぇ♪
なんの茶番劇ですか。
なんの罰ゲームですか。
♪
たとえーいつかぁー
わたしぃーが死んでーもぉ
かがやきーはきっともどーらないー
ステージ床に手をつき、希望の光に向かって手を差し伸べる演出。
痛い。実に痛々しい。
いまだに酔ってカラオケでこれ入れてしまうときは、謎の演出が入りますw
ともあれ、ある程度纏まったお金が貯まったので本格的に離婚に向けて動き出すことに。
離婚届に手をつき、希望の光にむかって、いざ!!