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読書履歴 〜他人を尊重するということ〜

一穂ミチ 『恋とか愛とかやさしさなら』

初めて一穂ミチさんの作品を読みました。すごかったです。何がって、心に抱くもやもやのリアリティが。

ごく平凡なアラサー社会人のヒロインと、その恋人。プロポーズされて婚約者になった翌朝、ショッキングな出来事が!・・・という冒頭の展開なんですけど、ショッキングがその選択肢!?私が作家でも絶対思いつかないな。完全にアウト。なのに絶妙に微妙。その証拠に、受け止める感覚がみんなバラバラ。そりゃあ、どこまでももやもやです。

ージャムも煮ず、ただ悩んでいるだけのずるさ。我が子を守るために必死になって、もう一人の我が子にそっぽを向かれた。あなたはかすり傷一つ負っていないのに、どうして被害者みたいな顔をしているの?ー
ジャムを煮ることでストレス発散する、彼の母親の神経を逆撫でする言葉。・・・なのに、ちょっと分かるとか思ってしまうのよね。「この事態を収めたのは、私。なりふり構わず息子を守り切る覚悟を持って、効果的に実行した私。」と思ってしまう母親の気持ち。

・・・だけど、「尊重されるのって、いいもんだね。しみじみするね。忘れないからね。」にガツン!とやられた。
何を大事にするべきか、見失わないようにしなければ。

心を揺さぶられた、いい作品でした。是非多くの方が出会って欲しい!

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