朗読劇 READING WORLD 約束の果て(STORY要約・感想)
※これから台本を見られる方もいると思うので、極力セリフは使用せず、異なる部分はありますが、簡略化したセリフで構築しております。
※情景がイメージしやすいように、一部アレンジで記載している部分がありますが、大きな変化はありません。
【prologue】
終戦後、満州から日本に帰還する船。日本兵を乗せた船は敗戦した日本へ帰国(ダモイ)するはずだった、戦争には敗れたが、やっと帰れると安堵する日本兵。しかし、たどり着いたのは日本ではなく極寒の地、シベリアだった。
日本兵は戦争により極東開発が遅れているソ連で、強制労働をさせられる為の捕虜として抑留生活を送ることになったのだ。
衛生環境の悪い強制収容所ラーゲリでの生活は過酷なものだった。
逃げ出したり逆らったりするものは、容赦なく射殺され、寒さに耐えながらも食事も満足に与えられず不自由な環境で何年もの間拘留を余儀なくされてしまう。
【大森、竹本、島津】
この物語、ラーゲリでのストーリーは3人の男の話を中心に語られていく。
リーダー的存在で冷静な大森中尉(緑川光さん)
寡黙で厳格な性格の竹本(下野紘さん・岡本信彦さん)
明るく元気でムードメーカー的存在の島津(佐久間大介さん)
【ラーゲリでの生活】
過酷な生活が続いたある時、大森の幼馴染の沢村(岸尾だいすけさん)が病に倒れ、隔離病棟に入ってしまう。沢村は死が目前に迫っており、大森に『俺は最後まで戦ったと両親に伝えてくれ』と言い、息を引き取る。
友を失い悲しみの底にいる大森に、島津は『遺言を伝えるために生きて帰りましょう』と前向きに励ます。竹本は『泣き言は言うな!』と厳しく叱咤しながらも、埋葬してやりたいという大森を反対するロシア兵から庇うなどし、二人なりのやり方で大森を支えていく。
【日本への手紙】
ある日、日本にいる家族に手紙を送ることが許可された。大森や島津は家族に向けて手紙を書くが、竹本は何もしようとしない。竹本の家族は戦争で全員が亡くなっており、出す相手がいないのだという。
そんな竹本に島津が、『じゃあ自分の母に手紙を書いてください!』と言う。
竹本は『お前は何を考えているんだ?』と言わんばかりに島津の行動を不審がる。
しかし島津は臆する様子もなく『竹本さんは僕の兄のような存在だから、僕の家族同然です。日本に帰ったら仲良くしてくださいね』と言う。その言葉は帰国しても待っている家族が誰もおらず、天涯孤独となってしまった竹本への、島津なりの愛情でもあり、島津は竹本を本当の兄のように慕っていたのだ。『…お前の母の名前を教えろ』と竹本は島津の母に宛てた手紙を書き始めた。その言葉に満面の笑みを浮かべる島津。
そんな折、島津が体調を崩して作業を休んだ。『変な物でも食べたかな、腹の調子が悪くて…明日は元気に2日分働きますからね』と心配そうに見つめる大森と竹本に向かって精一杯の笑みを浮かべる島津。翌日顔色は悪いが『大丈夫ですから』とラーゲリを出た島津だが、作業中に吐血して倒れてしまった。
その夜。『病棟の空きはないらしい』と竹本。『何とかならないか』と大森も考えるが、島津は『病棟に行くと本当に病気になってしまいそうで、病棟に行くのは嫌だ』と言う。極寒のラーゲリの中、竹本は島津に上着を貸し、大森はみんなで寄り添うように寝て体を温めようと提案する。
徐々に息も絶え絶えに衰弱していく島津に『必ず帰ろう』と大森は言い、『家族に会うんだろう?』と竹本は言う。
『そうですね…竹本さんも家族ですからね』と弱弱しくも微笑む島津。
『それは、考えておくよ…』とそっけない竹本だが
『きっとですよ…』と震える声で幸せそうにそっと微笑み、島津は目を閉じた。
22歳という若さだった。まるで暖かい布団で眠るような、穏やかな表情の最期だった。
同じ頃の日本、島津の母と妹の元にラーゲリから2通の手紙が届く。島津が書いた『僕はとっても元気だから心配しないでください』という趣旨の、長文の幸せそうな手紙に安堵する母と妹。そこには竹本という兄ができたとも書いてあった。
その竹本からの手紙には『島津君と必ず一緒に帰ると約束したので、心配しないでください…』と書いてあった。
なんとありがたい事だろうと喜ぶ島津の母と妹…。
【ダモイ】
そしてついにダモイの日がやってきた。大森の帰還を喜ぶ家族。竹本は女性に声をかけられるが、その息子は帰国していなかった。どうして同じ部隊にいたのにうちの子はいないの?なぜあなただけ帰ってきたの?と泣き叫ばれて責められて謝ることしかできない竹本。息子がいないと泣き叫ぶ、女性の叫び声だけが港に響いていた。帰る人がいて再会できる家族、いなくて何度も港に足を運ぶ家族…港には悲喜こもごもの感情が行き交っていた。
その後大森は幼馴染の沢村の家に行き、両親に『息子さんの最期は立派でした』と伝えられた。ありがとうと感謝するも悲しそうな沢村の両親…。
その足で島津の家に行くと、竹本がそこにいた。港で知らない女性に自分だけが戻ってきたことを責められていた竹本は『家族のいない自分が島津の代わりに死んでいればよかった』と島津の母に言うが、『そんなことはありません、手紙に書いていましたが、あの子にとってあなたは大切な兄でした』と言う島津の母。そこに島津の妹がやって来る。『あなたが…竹本さん?お兄ちゃんの…お兄ちゃん?じゃあフミコにとってもお兄ちゃんだ!』嬉しそうな妹。島津の家族もまた、島津と同じように暖かく竹本を迎えてくれたのだ。『約束を守れずにごめんよ…また会いに来るからね…』と竹本。大森にこれからどうするのかと聞かれた竹本だが、『自分の罪を背負って生きる、私の事は忘れてください』と言い残し竹本はどこかへ去っていく。
【約束の地へ】
時は経ち…舞鶴の港。引揚記念館の開館式典の日を迎えた。大森中尉の孫娘が、そばにいる青年にこれまでの話をしていた。青年は孫娘に礼を伝え、『大森中尉とお話したいことがたくさんあります』と言う。この青年は亡くなった島津の、妹フミコの息子で、容姿は島津に瓜二つだ。『ほとんど見つからなかった抑留者のご遺体の一部が戻っており、小指の骨ですが、島津秀雄が帰ってきました』と、遺骨を持った青年が嬉しそうにそれを見つめながら話した。竹本はあの後シベリアへ渡り、埋葬された兵士たちの遺骨を探す作業をしていたのだ。『もしかすると遺骨を見つけてくれたのは竹本さんだったのかもしれないですね』と青年は言う。そこに大森と竹本がやってきて、島津にそっくりな青年を見て『なんということだ…島津、島津じゃないか…そんなはずはないが、本当によく似ている…』と驚く。再会を喜ぶ大森と竹本、そして青年。
『再会の約束をしていたからな…』『ええ、たくさんお話を聞かせてください…』と。3人はこれまでの話をし始めた。長い長いラーゲリからの出来事を…。
【epilogue】
大森が空を見上げながら言う、
『お前が約束を果たそうといった夢がここにあるぞ。
なあ、聞こえているんだろう、島津?』
大勢の人が集まる舞鶴の港に、暖かい風が吹き続けた。
まるで島津の笑顔のような、暖かい風が…。
【了】
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★感想★
ラーゲリより愛をこめてを視聴していたので情景がより浮かびやすかったような気がします。史実等の背景は同じですが、人物ごとに様々な物語があったのだなと考えさせられました。戦争の事を見聞きする事があまりない若い世代の人たちにも、こういった戦争の歴史を語り継ぐことで、風化させないようにしていく【語り部】としての役割も果たしていく朗読劇だと思いました。大成功を納めたと思いますので、観劇されていた舞鶴市長様、地元の方々も再演を望んでいるのではないかと思いますので、来年もあると信じております。
オーラスで会場を出る際、スタッフさんの『こんなにものすごい拍手、見たことないな…』というつぶやきが聞こえ、すれ違いざまに思わず心の中でにっこりしてしまった私でした(顔面は爆泣きしてたけど)
あと、下世話と言うか邪心の塊で申し訳ないのですが、どうしてもストーリーの先を考察してしまう悪い癖がありまして、佐久間くんがしゃべり始めてすぐに『あ…多分、島津さん、亡くなる役だ…』と思ってしまい、その通りになってしまいまして…(滝汗)心の綺麗な純粋な人でありたかった…何も考えずに見たかった…と思ってしまいました、ごめんなさい。
佐久間くん演じた島津さんは、緑川光さん演じる落ち着いた雰囲気の大森さんや、下野さんと岡本さん演じる厳格な雰囲気の竹本さんとは違い、ラーゲリで過酷な日々を過ごしながらも、人懐っこく周りの人を元気づける太陽のような明るい役で、まるでこの時代に佐久間くんがいたら、きっとこんな感じだったんだろうなと思えるほどにはまり役でした。 もしかしたら佐久間くんをイメージして配役されたのか、もしくは佐久間くんをモデルに作られたキャラクターだったのかもと思いました。 他の声優の皆様の熱演も凄かったですし、佐久間くんの目と口元だけの表情管理、声の強弱や発声など全てが素晴らしく、鳴り止まない拍手と涙、会場が一体となって感動を分かち合っていると感じました。台本は少し表紙が痛んでいて、ページに赤いマーキングがしているのも見えました。打ち合わせもあまり参加できなかったようですし、台本だけでも…と、相当読み込んで今回の朗読劇に挑んだのがわかりました。特に島津が息を引き取ってからの手紙を自分の声で読むまでの一瞬の切り替えはすごかったし鳥肌が立ちました。さっきまで泣き顔だった人とは思えなかった。
そして、あの場に松野先生の魂が、きっといらっしゃる…そう思わずにはいられませんでした。佐久間くんの新しい挑戦を見届けられる、最高のお時間を共有出来た事が本当に嬉しかったです。
ストーリー要約下手くそでごめんなさい。なんか今読み返したらめっちゃ竹本さん主役っぽいなw
大森さんのシーンでセリフが多いところ(沢村さんとのシーンとか結構長いし、港の所も家族との再会の会話や、家族がお手紙を読むシーンが長めにあります)を省略してしまった為こうなってしまった…
あと一部別担当の方が多ステに関してのお話しを、憶測のみの誹謗中傷的な表現でされていたので補足説明します
●今回FCかイープラスのみで、それ以外の申し込み方法などはありません。2:8ぐらいでFC枠の方が少なかったようでした。
●イープラスの確認不要名義の一般発売ですので、お友達の同行枠、日時がかぶった方との交換などで入られている方が多かったです。自分もFC自名義+イープラス自己当選、友人当選の方で入っております。転売利用等、不正入手ではございません。
関係のないお話でお目汚し失礼しました。