カワウソ似な彼について
交際して3年の彼について語りたいと思う。
彼と出会ったときのことは今でも画として鮮明に覚えている。
ちなみに出会った瞬間、びびびとはきていない。
なんだか、小動物系の可愛い顔の人だなと思った。
私たちの出会いは昭和風だが、私がお金がなくてスナックでバイトしているときにきたお客様が彼だった。そのスナックで接客したお客様第一号。
可愛い顔だと思った彼は話してみると、見た目にはそぐわず小学生男子が喜ぶような下品な話がどんどん彼の口からとびだした。若干引き気味な私。でも、見た目の毒気のなさからなぜかみんなに好かれてる変なやつ。これがその日の第一印象だった。
そこからしばらくしてお店でも話す機会が増え、ドキドキするような雰囲気はなかったものの、一緒にごはんを食べたり、自然に二人でいる時間が増えた。
過ごすうちに彼の内面に惹かれていったのだが、彼は今まで私の周りにいたどの男性とも異質な存在だったところが後に彼にはまっていくポイントになった。
私は今まで、見た目じゃなく振る舞いがスマートな男性に惹かれる傾向にあった。これぞ、大人の男性。と思えるような人。
対してカワウソに似ている彼。とにかく分かりやすく素直。いつもにっこにこ!!悲しい時はしょんぼり顔。
おいしいねー!、
わあーい!、
それいいねぇ!
突然お菓子を爆買いしてくる彼。
苔玉をつくりたいと突然苔をネットで購入したする彼。(そして枯らす。)
わたしにマッサージをしてあげるからと、ヘッドマッサージの講習を受ける彼。(予想通りすぐ飽きる。)
食器洗いをやっただけでドヤ顔の彼。(いつもは私の係。)
と目を輝かせてこちらに顔を向ける彼がいつしか愛おしくなった。
こんなにくるくる表情をかえて全身で気持ちを表現できる人っていいなあ、と自分には出来ないからこそ羨ましさもこもってそんなふうに思うようになった。
わたしたちは真逆なようで、本質は似てるのかなと思っている。
わたしだって昔はうれしいことがあれば飛びあがったり、悲しければ号泣したりしたはずだった。
でもいつしか色んなことを最初から諦めてたり、期待しなくなったり、自分が傷つかないように恥をかかないように、いろんなところで保険をかけたりしてたからこうなったのかな、なんて思ったり。
つい先日、なにかの拍子に彼が、わたしたちが子どもの頃教育テレビでやっていた番組で流れていたような歌のフレーズを口ずさんでいた。
「うれしーことーははーんぶん♪たのしーことーはふたーりぶん♪」
なんだっけそのうた?と言いながら、
歌詞に共感した。
わたしが静かに悲しんでいるときは表現が豊かな彼も怒ったり悲しんでくれる。
楽しいときはふたりでうでを組んでぐるぐる回って喜んだりする。
マンガのNANAのタクミみたいなかっこつけたやつが好きだけど、わたしにはカワウソ似で、パイの実をあげると飛び上がって大喜びする彼でなければ、こんなに毎日を楽しく過ごせていないだろうなと思っている。
明日も良い日でありますように。