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「バブル期に現金の運び屋?先代社長の父から学んだお金の教育」(前編)
~林ゆきおの「経済よもやま話」~
こんにちは。
私の友人(以下T氏)は、建設会社の二代目社長です。先代の社長であるT氏の父は、13年前に肝臓を患って逝去しました。
私は生前のT氏の父に一度だけお会いしたことがあり、緊張で背筋がピンとした記憶が今でも蘇ります。
T氏の父は角刈り頭で眼光鋭く、まるで任侠映画に出てくるような貫禄のある風貌でした。
生前の父はネオンが光る六本木や赤坂に毎週繰り出しては、一晩で1000万近く使ったという逸話もあったそうです。
そんな波乱万丈な人生を歩んだ父の思い出をT氏に語ってもらいました。
只今、村西とおる監督の「全裸監督2」が大好評ですが、まさにその時代を生きた人の話です。
平成2年、T氏が高校生だった時の出来事でした。日本がバブル崩壊直前の頃。T氏は中型バイクが欲しくて、父と口論を繰り返しました。
父は若い頃にバイクで大怪我をしたことがあり、息子のバイク購入には猛反対。母からの説得もあり、父から条件付きでバイクの購入を許されました。
T氏は夏休みに父の会社でアルバイトができたので、バイクの資金はすぐに工面できました。
バイクを購入してから間もなく、父からバイクで現金を配達する使いを命じられます。
「赤坂のAさんに100万届けてくれ」
それから、父から頼まれて六本木や新宿、横浜など方々へ現金を運ぶように。
現金を届けるだけでなく、500万円もの大金を預かってくることもありました。未成年が、リュックに大金を詰めて、バイクであちこちを駆け回る。
しかも、大金の受け渡し相手も、一般人と名乗るには到底呼びたい怖い風貌の面々ばかり。
運送中に警察の検問にあわないか?誰かに現金を盗まれたらどうしよう?
T氏が緊張と不安の限界を感じた時、いったい、このお金の正体について、勇気を出して父に尋ねました。
すると父はこう答えます。
「無尽(むじん)と言ってな。親と子を決めてお金を出し合う、一種の投資みたいなもんだ。俺は付き合いでやっているようなもんだが」
後編はコチラ
https://note.com/akne_jp/n/n263e447e613b