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洋上の学びの場「世界青年の船」事業レポート#2 メキシコ寄港地活動~¡Hola! México~

「世界青年の船」事業では、毎年、各寄港地で施設訪問、現地青年との交流などの寄港地活動を行っています。今回の寄港地はメキシコ・エンセナーダで、メキシコが寄港地に選ばれたのは約20年ぶり。「世界青年の船」事業の参加国には、各国の既参加青年にて構成される同窓会組織が存在している国が多く、メキシコはその活動が最も活発な国のうちのひとつです。今回の寄港地活動も、メキシコの同窓会組織が企画や運営の全面協力をし実行委員会を立ち上げてくれていました。
2週間かけて太平洋を横断してきて、メキシコに滞在できるのはたった3日。ちょうどプログラムの折り返し地点でもある、メキシコの寄港地活動での様子をまとめてお伝えします。

1)太平洋横断後に待ち受けていた温かい歓迎

1月30日、夜明け頃に目を覚ますと、水平線の向こうにアメリカ大陸が見えていました。横浜を出港してから2週間、途中で給油に半日寄ったハワイ以外は陸地を目にしておらず、エンセナーダの町の向こうに昇る朝日を甲板から眺めるのは、なんとも感慨深いものでした。港に着く朝は、船で私が大好きな瞬間のひとつです。

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1日目は、エンセナーダの属するバハ・カリフォルニア州の政府関係者をはじめとする来賓が参加して埠頭で歓迎イベントが行われ、マリアッチ(楽団)のパフォーマンスとダンス、先住民族パイパイ族による儀式で暖かい歓迎を受けました。

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続いて港からすぐのリビエラ文化センターでランチレセプションとなり、オーケストラの演奏の中でメキシコ料理が提供されました。リビエラ文化センターは、かつてカジノ・ホテルとして使われていた歴史感の溢れる建物で、エンセナーダの歴史を見て取ることができるほか、一説によるとエンセナーダが発祥地とされるカクテル、マルガリータも提供するカフェ・バーが備わっています。久々の陸地に足をつけ、温暖な乾いた気候の中でいただくマルガリータは最高でした…!

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午後は二つのグループに分かれて施設訪問をし、私はナノサイエンス・ナノテクノロジーセンターを訪れました。最も古い国立大学のキャンパス内にあり、到着すると現地学生が迎えてくれ、交流と施設見学を行いました。時間が少なく、現地学生とじっくり話せなかったのが残念なところ。海の見えるキャンパスはとても開放的で、のびのびとしたキャンパスライフを送れそうでした。

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その夜は、にっぽん丸のダイニングホールで、レセプション・ディナーが開かれ、来賓のほか、メキシコ参加青年の家族、実行委員会メンバー、既参加青年など100人を越えるゲストを迎えた盛大な会となりました。今回のプログラムのメキシコ参加青年枠に対しての応募者数は3,000人以上で、高い倍率をくぐり抜け選ばれることはとても名誉なこと。自分の息子・娘の晴れ姿を見るために駆け付けた家族・親戚も多く、プログラムの半分を共に過ごしてきているメキシコの青年たちの親族に会うことは、他の青年たちにとっても嬉しいひとときでした。

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2)「国境」の象徴を肌で感じる

2日目は、エンセナーダの北に位置するアメリカとの国境の街、ティファナにバスで移動しました。日々何千人もの人が二国を行き来し、米ドルも流通している一方で、アメリカとメキシコの国境に築かれている塀の西端を海岸で見ることができる場所でもあります。ここでの主な目的は、その海岸を訪れて、移民や国境を巡る課題を考えることでした。

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この訪問は私たち全体にとって強いインパクトを与えるものでした。メキシコ、ペルー青年の中には、実際に家族や友人がアメリカ入国を巡り辛い経験をした参加青年もおり、その体験談を共有してくれました。日本を含め島国の出身の青年と、隣国と陸で接している国出身の青年とでは、感覚に違いがあるのではと思いますが、移民の受け入れについては万国共通の課題になっているのではないでしょうか。日本は観光目的の訪日外国人に対しては「おもてなし」と言う一方で、難民の受け入れ、技能実習生の受け入れを巡る課題もあわせて、果たして異国から日本に来る人々を迎えることができているのか疑問に感じました。

ちなみに、この日のランチは私が待ちわびた、シーザーサラダでした。でもただのサラダではありません。

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実は、今や世界中で食されているシーザーサラダはここティファナのCAESAR’S RESTAURANTE BARで生まれたもの。ランチ・レセプションの会場では全参加青年に対して、そのレストランからシーザーサラダとタコスが振舞われました。今まで食べたどのシーザーサラダよりも奥行きが深い味でした。レシピをもらったのですがいまだに再現できていません。

3)メキシコ食文化の理解を深める、心もお腹もいっぱいの最終日

最終日は、エンセナーダからバスで30分程のグアダルーペ・バレーのワインミュージアムを訪れました。バハ・カリフォルニア州のワインの歴史は、18世紀初頭にスペイン人の宣教師によってワイン造りが伝えられたことにさかのぼり、そのワインの生産量は全メキシコワインの9割を占めています。ここではワインの歴史のほか、メキシコ半島で古代文明時代から食されてきたチョコレートの文化についても学ぶことができました。フレッシュなカカオの実は産地でない見ることができないのでとても興味深く、カカオ豆を除いた後の白いわたのような部分は食べてみるとヨーグルトのような味でした。

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最終日のランチも、もちろんメキシカン料理で、タコスやタマーレ(コーンミールに肉などを詰め、とうもろこしやバナナの葉で包んで蒸したもの)は3日連続で食べたけれどその中で一番おいしく、船での食事が恋しくなくなるほどでした。ワイン農園が広がるグアダルーペ・バレーの景色を眺め、心地よい乾燥した風を感じていると、もう少しこの国の文化や人々、歴史のことをよく知りたい、もう少し長く滞在したいという気持ちが募るばかりでしたが、残りの航海を進めなければなりません。

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午後8時頃、にっぽん丸は帰路の航海に旅立ちました。実行委員会のメンバーたちは、船が見えなくなる最後の瞬間まで埠頭で手を振って私たちを見送ってくれ、たった3日間の滞在でも遠く離れた異国に知人ができたことで、メキシコという国がぐっと近くなったように思います。そして船上のパーティーで既参加青年が同期と久々の再会を喜ぶ様子を見て、この事業が一度きりの縁で終わるのではなく、世界中の友人と一生続く繋がりが残せるのだと再認識できました。

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#3 そこにある気づきと成長の機会


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「多拠点生活」×「パッチワークキャリア」を軸に、自分のパフォーマンスが高まる場所で生活し、自分の専門性や持ち味を活かした仕事・活動を組み合わせキャリアを築くライフスタイルを模索中。大阪にて大人の学びのサードプレイス「Leaning Bar CF曽根崎」企画運営。趣味はウイスキー。