蒸気船に別れを告げるとき:蒸気船マークトウェイン号11
募集の張り紙が掲示されたのは、前の年の12月頃だ。
内容は、翌年の秋にオープンする新アトラクション「スプラッシュマウンテン」のキャストを募集する。希望者は、応募用紙に志望の動機等を書いて提出して下さい、と。
応募用紙の通し番号は50番
応募用紙の配布が始まってからだいぶ日がたっていた。急がなければ。
応募用紙は運営部オフィスで配布していた。
運営部オフィスは、僕らが着替える場所、ワードローブビルの2階にあった。当時は出勤前に必ず立ち寄ることになっていたので、その際に申告。
「あの、スプラッシュの応募用紙はありますか」
と聞くと、
「はーい。今出しますね」
事務の女性キャストが、引き出しから取り出したA4サイズの用紙を渡してくれる。
用紙の右下の隅っこに通し番号が打ってあった。僕がもらった用紙は50番。
自分の前に、49人も希望しているのか。
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