【RTA記録レポート】 DQ6RTA(状況再現&乱数固定技使用) 5:44:18
本記事は、2024年7月27日に達成したSFC版DQ6RTA 5:44:18の記録レポートです。本記録はSFC版DQ6RTAの全カテゴリの記録の中での最速記録となっています。 → 更新しました。
概要
記録: 5時間44分18秒
達成日時: 2024年7月27日
達成者: Maru
操作環境:
本体: スーパーファミコン
コントローラー: アスキーパッド
ラップタイム
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\begin{array}{|l|r|} \hline
塔の兵隊撃破 & 24:14 \\ \hline
ブラディーポ撃破 & 43:52 \\ \hline
ホラービースト撃破 & 1:00:41 \\ \hline
ムドー1撃破 & 1:28:09 \\ \hline
ムドー3撃破 & 1:55:54 \\ \hline
ブラスト撃破 & 2:22:45 \\ \hline
ジャミラス撃破 & 2:35:49 \\ \hline
しれんその3撃破 & 2:51:54 \\ \hline
ミラルゴ撃破 & 3:12:26 \\ \hline
グラコス撃破 & 3:41:45 \\ \hline
魔王の使い撃破 & 4:16:59 \\ \hline
デュラン撃破 & 4:30:55 \\ \hline
嘆きの巨人撃破 & 4:49:56 \\ \hline
アクバー撃破 & 5:00:06 \\ \hline
ズイカク\&ショウカク撃破 & 5:10:58 \\ \hline
デスタムーア撃破 & 5:23:12 \\ \hline
THE\ END & 5:44:18 \\ \hline
\end{array}
$$
先行の取り組み
乱数固定現象
「必ず会心の一撃が出る」、「モンスターが必ずアイテムをドロップする」「モンスターが必ず仲間になる」などの現象は10年以上前から複数の報告があり、その存在は認知されていました。下記の動画は2013年に投稿されているものです。他にもいくつかに攻略サイトにも掲載があったと筆者は記憶しています。
いくつかの報告では「熱暴走によって本現象が発生している」などの推察がされていましたが、
発生している現象はいずれも乱数値が0の場合に発生するもの。
DQ6の乱数遷移式は、RNGが一度0になればその後永遠に0に収束すること。
などから、筆者はソフトウェアの実装依存で発生する再現可能な現象であり、何らかの要因でRNGが0になると発生する現象であると確信していました。(ある程度知見がある方なら挙動を見ればわかると思います。)
しかしながら、その発生条件と再現手順については確立されていないため、RTAにおいてこの現象を前提とした戦略を構築するのは不可能な状態となっていました。
乱数固定現象を発生させる状況再現の確立
2023年2月、かくれみさんによって乱数固定を発生させる状況再現が発表されました。これにより、RTAにおいても乱数固定を意図的に発生させる手段が確立されました。
このときに発表された状況再現は上世界のダーマ神殿で行う手法だったため、乱数固定が可能なタイミング上世界のダーマ神殿復活以降(ムドー3撃破以降)に制限されていました。
乱数固定現象発生時のより詳細な挙動についてはこちらを参照ください。
乱数固定を取り込んだRTAチャートの開拓
その後、えいきさんによって乱数固定を取り入れたRTAのチャートが開拓されました。この際に、ルート取りやボス戦の行動をはじめとした、攻略全般にわたる戦略の確立に貢献されています。その中でも特筆して通常RTAと異なる点を下記に列挙します。
百烈舐めと忍び足習得を中心とした転職プラン
ドロップアイテムの応用
熟練度稼ぎでのオークマン狩り&力の種ドーピングによる火力向上
キラーウェーブから海鳴りの杖を入手し、バーバラの武器に応用
爆弾岩からメガンテの腕輪を入手し、金策への応用
メガザルロックからメガザルの腕輪を入手し、テリー戦に活用
洗礼のほこらでの道中メタルスライム狩りによるレベル上げ
その他、不要になったアイテム回収や買い物などの最小限化
小さなメダル回収の全カット
これらの戦略の採用により、2023年12月20日に6:00:45の記録が達成され、通常RTAを含めた全てのDQ6RTAの記録の中での最速記録となっていました。
サンマリーノでの状況再現の確立
2024年7月22日(記録達成の5日前!)、かくれみさんによってサンマリーノでの状況再現方法が発表されました。これによりムドー3撃破前でも乱数固定を発生させることが可能となりました。
戦略
えいきさんのチャート をベースに、下記の更新点を加えました。
ムドーの島突入前に乱数固定技を使用
ムドー島突入前から乱数固定技を使用するようにしました。これにより、炎のツメの回収をカットすることが可能となる上に、ムドー2~3を確実に突破できるようになったため、タイムと突破率の両方を向上させることが出来ました。
職業プランの変更
職業プランは下記のようにしました。
アークボルト連戦前の稼ぎ (62戦)
主人公: 僧侶(1戦) → 戦士
ハッサン: 遊び人(11戦) → 戦士
ミレーユ: 戦士
チャモロ: 魔法使い(1戦) → 魔物使い
バーバラ: 盗賊
グラコス撃破後
チャモロ: 戦士
バーバラ: 無職
えいきさんのチャートでは「チャモロ盗賊、バーバラ魔物使い」の職業プラン(以降バーバラ採用と呼称)であったところを、2者の職業を入れ替えて「チャモロ魔物使い、バーバラ盗賊」にしました。これに伴って、中盤は主人公、ハッサン、ミレーユ、チャモロがメインパーティとなります(以降チャモロ採用と呼称)。この変更により、下記の恩恵を得ることが出来ました。
しれんその1前の転職カット
バーバラ採用の場合、しれんその1に百烈舐めを先制させるため、しれんその1戦の前にバーバラを踊り子へ転職させる必要がありました。
チャモロ採用の場合、チャモロは魔物使いのままでしれんその1に先制することが出来ます。この影響により、しれんその1前のダーマ神殿の移動と転職のタイムロスを削減することが出来ました。
洗礼の洞窟のメタルスライム狩りの作戦替えカット
バーバラ採用時ではマホトラ習得後に作戦を変える必要がありましたが、チャモロ採用では不要になりました。
いどまねきの撃破ターン数削減
バーバラ採用の場合、いどまねきに百烈舐めを先制で入れられない関係で1ターン目のおたけびを受けざるを得なく撃破に3ターンかかっていました。
チャモロ採用の場合、先制で百烈舐めを入れることが出来るため、おたけびを防ぐことが出来ます。これにより、いどまねきとの2戦闘が1ターンずつ、合計2ターン削減出来ました。
海鳴りの杖の完全金策化
バーバラ採用時には、ひょうたん島入手後にキラーウェーブと戦闘を行うことで海鳴りの杖をドロップさせ、以降のバーバラの武器として使用していました。
チャモロはグラコスの槍を装備可能なため、グラコス以降デーモンスピア入手までの武器として採用することが出来ます。これにより、キラーウェーブからドロップさせた海鳴りの杖を完全に金策に回すことが出来るようになりました。
バーバラ採用時ではハッサンにグラコスを槍を装備させていましたが、それまでのハッサンの武器である炎のツメとの攻撃力の差は5しかなく、使用期間もライフコッド連戦からキラーマジンガ戦までと短いものでした。この間での必要攻撃回数に変化はなかったため、本戦術によるデメリットは無いと判断しました。
その他、バーバラよりHPが多いことによるボス戦の短縮化
詳細は後述で説明します。
ボス戦の最適化
えいきさんのチャートを中心に、いくつかのボス戦において戦闘時間を短縮するための最適化を行いました。特筆すべきボス戦は下記です。
vsミラルゴ
回復役にチャモロのベホマを採用することによって、主人公のゲントの杖による回復が不要となりました。
これに伴い主人公も攻撃に参加することで、撃破ターン数を4ターン短縮しました。
vsテリー
ハッサンのバイキルト気合正拳、ミレーユとチャモロの攻撃参加によって、撃破ターンを6ターンほど短縮しました。
これに伴い、メガザルの腕輪の必要個数を3個から1個に削減出来るようになったため、メガザルロックとの戦闘回数の削減も同時に実現出来ました。
vsアクバー
チャモロ採用によって主人公のゲントの杖による回復が不要となりました。
これに伴い主人公の攻撃回数を増やすことで、撃破ターン数を1ターン短縮、かつアクバーの行動を1回削減することが出来ました。
更なる更新の余地について
本チャートでの記録の限界は5:40弱になると考えています。本記録ではムドー1撃破まではほとんど理想的な内容が引けている一方で、2回目の状況再現で5分ほどロスしている他、様々な点で道具管理や操作のミスなどの改善余地があります。
また、本記録では採用されていないもののチャートレベルでの改善の余地があると筆者が考えている点を下記に簡単に列挙します。
より早期の時点からの乱数固定の使用
本記録ではムドー1撃破後から乱数固定を使用していますが、より早期の時点から乱数固定を使用することによってタイム短縮が見込める可能性があります。特に、ムドー1の戦闘時間は有意な短縮が見込めるでしょう。一方で地底の魔城のエンカウント増によるタイムロスも発生するため、これらのデメリットを合わせた上でのタイム短縮効果の調査と採用の判断、戦力増強などの最適化が必要となりそうです。
熟練度稼ぎの戦闘回数の削減
本記録では熟練度稼ぎのために62回の戦闘を余計に発生させていますが、そのうちいくつかの戦闘を道中で発生した戦闘で補うことによって、タイム短縮が見込める可能性があります。一方で力の種の数の減少による火力低下、忍び足の習得タイミングの遅れ、道中の敵対処時間などのデメリットなども吟味した上での、戦闘回数の最適化が必要となりそうです。
海底神殿及びグラコス戦の最適化
グラコス戦でチャモロを採用することによって、主人公の攻撃回数が増え戦闘時間を短縮できる可能性があります。一方で、最適な戦闘パターンの構築や、コマンドなどを含めた戦闘時間短縮効果の調査と最適化が必要となりそうです。
謝辞
本記録の達成にあたりまして、特に下記の方の成果を参照致しました。改めましてここで感謝の意を申し上げたいと思います。ありがとうございました。