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四つ打ちロックでDJミックスを録った製作記

 Numark PartyMix2の記事で「なんかMIX録るよ~」と言ってから音沙汰なしで早数ヵ月。一応ハウス系で候補を出したりと行動は起こしていたのですが、候補が200曲オーバーと完全にバカのサイドリストになってきたのでこれはアカンやろとイチからテーマを決めなおし、ちゃっちゃと作ることにしました。
 記事のタイトル通り、邦楽ロックの四つ打ちからボカロとかいろいろ好きなものを選曲してミックスしてみたという運びです。良ければ聴きながら記事をお読みください。


セットリスト




なんか知らんが世界7位のダンスロックDJになった

 それでびっくりしたのがこれを公開したらMixcloudからメールが来て「君が作ったミックスがダンスロックのジャンルで世界チャート8位になったよ」とか言われました。ちなみにこの記事を書いている最中にもう一通メールが届いて7位になっています。


 っはァ~~~……やっぱバレちゃいましたかね?おれのオーラ?つか才能?隠しておけなかったかァ~~~~~~!?

 アッスwwwwアザザッスwwww!!ま、世界7位ということでね!!!!これから四つ打ちのダンスロック界隈ではそこそこ名の知れてるっつうかね!!!有名になっちゃうかもだけどもね、ぜんぜん遠慮とかしないで今まで通りに話しかけてもらっていいんで!!!!!あ~~~~天才ってつれえわ~~~~~~!!!フゥ~~~~~~~wwwwwwww↑↑


タネ明かし


MixCloudにダンスロックを投稿してる人が15人しかいない


 うん…………。

 みなさんなんとなく察していたかと思いますがそういうカラクリでした。つまりおれが投稿した時点でなんもしなくても世界チャート15位以内は確定、SNSでフォロワーにちょっと聴いてもらえたのでそれで7位まで上がったということです。異常に競争率が低いのと100%みなさんの善意のおかげであっておれ何もしてないんですね。まあ普通そう簡単に世界チャートとか取れるわけないよな!!!!!!

 MixcloudってのはそもそもDJのコミュニティですから、どちらかというとHIPHOPやエレクトロが主戦場で激しく競われており、そこでチャート上位とったらそりゃすごいという話になるかと思います。
 まあよしんば過疎ジャンルの7位でも世界7位なので、おれは世界7位を豪語し続けていきます。物は言いよう。


本題

 さて、コントはここまでにしてミックスを作った感想を書いていこうかなと思います。
 作るにあたって講座や指南を読みながら実践したのでそのへんの技術的な話と、それとは別に「この曲のここが好きでね~」という選曲面の話をしていくつもりです。技術的な話はちょっと堅苦しいかもしれないので読み飛ばしちゃってもいいですよ。

技術的な話

 今回はとくに前回はじめてミックスを作ったときにできていなかった、BPM調整キーに応じた曲の並べ方に注意を払いました。自分で言うのもアレですが、かなり出来ていると思います。

 一般的にDJプレイにおいてBPM(曲のテンポの指標)はいま掛けている曲の5%くらいの差で次の曲を選んだほうが良いと言われていて、できる限りそれに合わせてちょっとずつ速い曲になるように並べました。
 なんでそんなことする必要があるの?って理由としてはわりと単純な話で、あんまり差がありすぎるとピッチをいじくって補正してもめちゃめちゃ変な音になっちゃうし、曲を重ね合わせたときにビートが合いづらいからですね。もともと同じくらいのテンポの曲を選んだほうが元の曲を速く・遅く加工しすぎなくていいし自然に合わせやすいね、ということです。

 ただねぇ、そうは言っても実際にやるのが難しいんだコレが……。今回ロックを選んだのもあってつなぎがきっついのなんのって。
 ロックは我が強いんですよ。一曲一曲だいたい何かしらの楽器の音が強く鳴っているので主張が強い。曲をつなぐ方法のひとつとしてだんだん曲をフェードアウトさせて次の曲をインするロングミックスいう方法があるのですが、それをうまくやるには今かかっている曲をスーッと勢いを殺しながら次に繋げる必要があるのであんまり勢い良すぎるとキツイ。

 そこでどうするかというと、11曲目のKEYTALK「暁のザナドゥ」から12曲目Official髭男dism「ESCAPADE」のあいだでやったようにスターンッ!と前の曲を切って次の曲を突っ込むカットインという手があります。これはもう前の曲をぶった切っちゃうので非常に楽で、さらにBPMがかなり違う曲でもつながりを考えないで入れることができるんです。打ち込みの曲とかだと一瞬無音になるブレイクの瞬間を狙って入れたりしますね。ただまあこれをやり過ぎると聴いてる人が頻繁に耳にショックを感じるので、あんまり多用すると疲れちゃう。難しいですね。

 そんなわけで打ち込みの曲のやり方が通じにくいのでかなり頭を悩ませて苦しんだのですが、思ったよりカットインに頼りすぎずうまくロングミックスで繋げられたかなと思います。マジ難しかったからな!!CDJでシュタタタターン!とかできてねーからな!!マジでよぉ!!!!

 逆に課題点としては、マスタリング方面がか~なり、くやしい。ゲインがゼロdBを叩いちゃってるところで音質が落ちちゃってるんだよな…。
 たぶんね……聴いてて「ちょっと音悪くない?」と思う箇所があると思うんですけど、音源自体はぜんぜん問題ない質のものを使ってるの。問題はゲインにあります。
 音楽を聞いてると経験があると思うんですが、違うアルバムの曲を聞いたときに音量差がすごかったりするじゃないですか。プレイ中にアレが起きると最悪なので、DJが使ってるソフトは一曲ずつ自動で音を増幅したりして調節してくれてるんですけど、そうは言っても一曲の中で音がデカいところと小さいところがあるので細かくチェックする必要があるんですわ。

 そこでおれがミスってしまったのが、音を増幅するゲインが高まりすぎてゼロdB(デシベル)を超えるところを見逃して調整しちゃったことですね。「ま、ちょっとだけオーバーならええやろ?w」と思ってた。良くない。曲の中でちょっとでもゼロdBを超える(ゼロを叩くとも言うらしい)とその瞬間音が割れてノイズが乗るらしい。ゼロdBは侵すべきでない神の聖域なんやな……。
 かといって小さい音にしておけばいいかというとそもそも聞こえないか他の曲と差が生じるので難しいところ……。次回は気をつけたいね。


選曲面の話

 そもそも今回四つ打ちロックで作ってみようと思ったのは、実は夜の本気ダンスがかなり好きだからです。それに合わせて選んでみよう、ということでこの選曲になりました。そのへん、いくつかのアーティストをピックアップして選んだ理由をつらつら書いてみます。
 あ、ちなみに音楽について駄弁ってるけど間違ったこと言ってるかもしれないから軽く笑って流してね。あんまり深いこと言ってないです。

 まず1曲めのヤバイTシャツ屋さん。いいですね。いい感じにアホです。このミックスを聴くのに知能指数は不要だよということを表明しています。
 でもヤバTがすごいのってオマージュ元の良いところをよく勉強してるところなんだよね。元ネタのShots作ったLMFAOに褒められてるし。実は才能があるのに中古のギターと錆びた弦をネタにして自虐してるところが好きです。

 フレデリックはもう四つ打ちでメチャクチャ有名だし去年リバイバルヒットしまくったので言うこと無いですかね。
 個人的には「音楽という名前の服」という曲が好きなんですが、曲をファッションとして軽く楽しむ風潮に対して「ヘッ!どうぞどうぞ!そうされたところで俺らの曲は流行りが終わろうがいつまでだって価値を失わないぜ!」と挑戦的に歌っているのがウオッ…この人たち器でけえな…と思います。いい曲なんでこれもぜひ歌詞と一緒に楽しんでみてね。

 ナユタン星人は「四つ打ちを聴かせたろう」という気迫がめちゃめちゃすごい。どの曲もだいたい四つ打ちですからね…。本当はスマッシュヒットしたダンスロボットダンスを入れたかったんですが、キーやBPMの関係で断念しました。残念。
 ちなみにsouのカヴァーバージョンを織り交ぜたのはふたつ理由があって、Mixcloudは全く同じアーティストの曲を入れまくると規約に引っかかるからっていうのと、彼の歌うミスターフィクサーをID:INVADEDのオープニングで聴いて哀しげな歌声が気に入ったからです。

 キュウソネコカミ。面白いですよね。メガシャキのCMで有名になりましたが、そのことにすらも「テレキャスばっか」の歌詞で無茶苦茶言ってます。過激な歌を出すばかりでなく自分に関しても自虐するそういう精神性、好きです。

結局メディアが流行を作ってるのさ
一億人の耳に届いてないのさ

キュウソネコカミ「テレキャスばっか」

 ただひとつ言っておくとシュタタタターンでミックスはマジで出来ないのでそれは名誉のために言っておきます。マジでよ!!!!!!!!!!!

 KANA-BOON、正直ミックスを作るにあたって初めてしっかり聴き込んだんだけど、めちゃ良くないすか。アニソンへの提供も多くて、からくりサーカスの「ハグルマ」とかもう完璧な作品理解よ。サーカスで用いられる哀愁漂うフレーズを、人を笑わせて心では苦しみの涙を流すゾナハ病になぞらえて練り込んでいる。
 今回ミックスに入れた中ではtalkingが良い。もともとは大人の恋愛の駆け引きをテーマにした曲だけど、これをあとから「すべてがFになる」のオープニングに採用したアニメスタッフ陣がすげえなと思っていて…。「すべてがFになる」の探偵役、犀川創平という男はかなり頭のいい人なんですが、どこか自分を冷めた目で見ていて「本当に頭のいい天才が世の中にはいくらでもいるさ」とコンプレックスを持っているんですね。そんな彼が事件を推理していくうちにどうもその「本当に頭のいい天才」を犯人として相手取っていることに気づき始める。

作戦決行 これは結構 勝率の低い決闘

KANA-BOON「talking」

 そういうことなんですね。いや~~これを取り入れたアニメスタッフすごいって。恋愛の曲を別の切り口から再解釈してるんです。サビの”Talking 君と話がしたいぜ”も、終盤に犀川が犯人と印象的な会話をするシーンがあるのでたまんないんですよね。「もし自分より上で本物の才能を持ってるやつがいたら、話を聞いてそいつの頭の中を覗きたくないか?」と。
 まあ、おれはおれより格上の神絵師とか神ライターとか神DJと出くわしたら腕をもぎとって食らい才能を我が物にしたいですが……。

 最後に夜の本気ダンス。いや~~~本当にかっこよくて好き。
 一聴してパリピが好きそうな音楽だなぁと思わせるんだけど、中身はどうかというと「ロックの持つ気持ち悪さを残したい」とか言ってる相当の変態なので、そこがいい。”Feel so good”のMVとか見てみるとわかるんですが

 なんちゅうかカッコいいけどヌルっとしたちょい気持ち悪いダンスを踊るんですよね。これは岡村靖幸さんに影響を受けていて、セクシャルで官能的な要素を押し出したダンスなんですよ。
 歌詞ももちろん意味は込められてるんですが、どちらかというと響きや発音を使って「声という楽器」での演奏によりグルーヴを作り出すことに注力している。
 つまり計算して、意図してノリの良い耳触りの良い音楽を作った上で、ロックの持つ自己主張性・エゴイズムの「気持ち悪さ」を骨格にしてしっかり残す完璧な組み立てをしてるバンドなんすね。聴いてるこっちは頭空っぽで聴けるけど、作ってる人は緻密に考えて作ってる…身がギチギチに詰まったバンドなんですよ。ぜひインタビューとかも読んでみてほしい。
 これも今回はミックスの組み立て上泣く泣く外したんですけど、「Gavlillo」が一番好きなのでよかったらどっかで聴いてみて。


Outro

 タイプに任せて文字打ちまくってたら5000字に到達しようかとしています。小論文か????
 そろそろ書きすぎなのでこのへんで締めますが、次回は反省を踏まえてよりいいミックスを録りたいと思います。とりあえず見繕ってるハウスから気楽に練習で作って録っちゃうのもいいかな。

 おれが世界チャート7位獲ってるダンスロックもこのままだと寂しいので、有志のDJの方、だれかMixCloudのdance_rockタグでダンサブルなロックを投稿してください…。このままではおれが身内から世界7位で永遠にイジられてしまうので……。


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