2020年9月28日に原神がリリースされてから、まもなく2年を迎えようとしています。
TwitterやYouTubeにて公式から情報公開されている通り、ver.3.0『知恵』の国『スメール』の実装が近づいています。
今回は、そのスメールのモチーフであろう国や地域を考察していきます!
主人公、旅人がテイワット大陸にやって来て、離れ離れになっている肉親を探すために、4番目に訪れる国、スメール。『知恵』を理念とする『草元素』の国。そのモチーフは一体どこなのか?
1.スメールの名称
スメールの名称の由来を、メソポタミアに嘗て栄えていたとされる『シュメール』ではないかと考察する人がいます。
しかし、その考察は誤りであると言えます。
スメールは、英語で"Sumeru"と表記し、中国語で"须弥"と表記します。
そのまま、「スメール」と検索すると、サジェスト機能で『スメール山』と出てきます。
スメール山は、英語で"Sumeru"、中国語で"须弥"と表記されています。
以上のことから、スメールという名称の由来はメソポタミアの「シュメール」ではなく、古代インドの世界観からの『須弥山』または、『スメール山』が由来であると考えられます。
2.ゲーム内から得られた情報より考察
(1)スメールの神『クラクサナリデビ』の意味とモチーフ
魔神任務第二章第三幕にて八重神子から明かされたとおり、スメールの信仰する神は『クラクサナリデビ』です。
この名前を分解すると
クラ/クサナリ/デビ となります。
『クサナリ』の部分にはモチーフがあります。
テーラワーダ仏教の説話「ジャータカ物語」の一つに、『クサナーリ物語』があります。
ジャータカ物語とは、釈尊が前世に菩薩として修行していたとき、生きとし生けるものを教え導いたエピソードを集めた物語です。歴史的には『イソップ物語』や『アラビアン・ナイト』にも影響を与え、日本にも「本生話」「本生譚」としてその一部が伝えられました。
クサナーリ物語をまとめると
中国語表記では、『小吉祥草王』となっており、このことからも『クサナーリ物語』が草神「クラクサナリデビ」のモチーフになっていると考えられます。
また、英語表記では、『Lesser Lord Kusanali』となります。
(2)NPC「立本」の証言とスメールの地理的環境
イベント「百貨珍品」でお馴染みのNPC「立本」は、スメールについて過去にこう証言しています。
*この当時の画像がないため、以下のリンクを参照。
雨林を除けば砂漠しかない。つまり、スメールの地理的環境は、熱帯雨林と砂漠の二つに分かれていると解釈できます。
これとほぼ同じ、というかこれに合致した地理的環境を持つ国が一つあります。
それは、『インド』です。
インドとパキスタンとの国境付近には「タール砂漠」が広がり、インド南部や東部(バングラデシュとの国境付近)には「熱帯雨林」が広がっています。
(3)イベント「エネルギー原盤・後序」で出てきた用語
イベント「エネルギー原盤・後序」でNPCホッセイニやNPCヘティーヴのセリフで出てきた
スメールの六大学派とされる『スパンタマッド』『サルヴァタット』『アムリタ』などの用語は、ゾロアスター教において最高神アフラ・マズダーに従う七人の善神の名前から取られています。
以上のことから、ゲーム内には主にサンスクリット語やパーリ語などインドに関連した用語が多く用いられていることが分かります。
3.公式PVから伺える情報
(1)原神 公式PV 「足跡」より
原神リリース当日の2020年9月28日に、公式からYouTubeにて公開された"【原神】公式PV 『テイワット』メインストーリーチャプターPV 「足跡」"には、『虚空劫灰のプラーナ』という言葉が用いられています。
プラーナは、サンスクリット語で「呼吸」「息吹」などを意味すると考察している方がいますが、おそらくそれも誤りであると言えます。
言葉の意味自体は正しいのですが、英語版のPVでは、プラーナのスペルは、"Purana"となっており、呼吸や息吹などを意味するプラーナ(prāṇa)とはスペルが違います。
では、このプラーナ(Purana)の意味は一体なんなのか?
それは、ヒンドゥー教の聖典の総称から来ていると考えられます。
古き物語・・・・・・。
原神で言えば、既に亡くなった先代草神のことを指しているのでしょうか?はたまた、500年前に滅亡したカーンルイアのことを指しているのかもしれません。
(2)スメールプレビュー動画02,03より
先月、YouTubeにて公開された"スメールプレビュー動画02―霧雨と飛砂"、"スメールプレビュー動画03―聡明なる序曲"から伺えることがいくつかあります。
まず、スメールの建築には、おそらくイスラーム建築によく見られる「イーワーン」を模していると思われる形状が見られます。
イーワーンは、以下の画像のようにスペード♠️のような形状が見られます。
次に、エジプト🇪🇬のピラミッドのような遺跡やオアシスが見られます。
また、地下にあると思われる遺跡には、2体の象が見られます。
犬や狼を模した象と隼などの鳥を模した象が見られるため、エジプト神話に出てくるアヌビス神やホルス神などをモチーフにしていると考えられます。
また、"【原神】公式PV 『テイワット』メインストーリーチャプターPV 「足跡」"で登場しているスメールのキャラクター"セノ"は、被り物や衣装などその見た目から、セノのモチーフがアヌビス神ではないかとリリース当初から考察されています。
ニィロウのモチーフは、インドの国花である『蓮』だと考えられます。PVに映っているニィロウが立っている床やニィロウの衣装の一部などに蓮を連想させる模様が見られます。
また、ニィロウ(Nilou)の名前の語源は、おそらくペルシア語の"Nilūfar(二ルーファル)"だと考えられます。二ルーファルは、『睡蓮』を意味します。
そして、字幕にて明かされた『マハールッカデヴァタ』『アーカーシャ』『大マハマトラ』の語源について見ていくと、
まず、『マハールッカデヴァタ』
マハー/ルッカデヴァタ に分解できます。
2代目草神クラクサナリデビの名前に「小さい」という意味が付けられていたのと対照的に、先代草神ルッカデヴァタには、「大きい」を意味する「マハー」が付けられたのではないでしょうか?
続いて、『アーカーシャ』
最後に、『大マハマトラ』
4.その他、考察要素
(1)一部スメールキャラクターのモチーフについて
先日、公式PVより、複数のスメールキャラクターのビジュアルが公開されました。その中でも、過去に実在していた人物がモチーフであろうキャラクターが2人いると考えられます。
それは、『ティナリ』と『アルハイゼン』です。
まず、「ティナリ」
また、ティナリの名前表記について
原神の英語版公式でもティナリのスペルは、"Tighnari"となっています。
Twitterで「Tighnariのghは英語で無声音だから発音しないだろ」とか「ティグナリと呼んでいるやつは、リークを見た奴だ!」みたいなツイートを見かけたことがあります。
Wikipediaでもティナリやティグナリとなっている箇所があります。そこでTighnariの発音が気になったため、調べてみました!
ティナリのモチーフは、アラブ人であるため、アラビア語でどう発音するのか調べたところ
どうやら、Tighnariの発音は、『ティグナリ』または、『ティグナリー』が正しい発音のようです。
原神公式がTighnariを「ティナリ」にしているのは、表記ミスなのでしょうか?
はたまた、意図的にティグナリまたは、ティグナリーではなく「ティナリ」にしているのかもしれません。
続いて、「アルハイゼン」
彼の名前も意図的に「アルハイゼン」としているのかもしれません。
(2)スメール教令院のモチーフ
スメールは、草の国で『知恵』を理念とする国です。既にゲーム内情報より明かされているとおり、スメールには『スメール教令院』があるようです。
スメール教令院のモチーフは、一体なんなのでしょうか?
調べてみると、スメール教令院のモチーフになりそうなものが見つかりました。
それが、『知恵の館』です。
また、イスラム黄金時代とはなにか?
これらのことから、知恵の館がスメール教令院のモチーフに、アッバース朝やイスラム黄金時代が『知恵』を理念とする国、スメールのモチーフになっていてもおかしくないと思われます。
5.まとめ
以上のことから、スメールの「主な」モチーフは『インド』で、それに加えて古代エジプト〜古代ペルシアまでの『古代オリエント』を統合したものがモチーフになっていると考えられます。
インドやメソポタミア、エジプトなどに共通する要素としては、いずれも『古代文明が勃興した地域であること』です。それらが、『知恵』の国、スメールのモチーフとして一つに統合されているのかもしれません。
皆さんは、スメールのモチーフが「エジプトだ!」とか「インドだ!」とか何かと一つの国に縛られているようですが、実は、原神公式やゲーム開発会社miHOYOは、『七国のモチーフは一つである』とは言及していないんですよね。
つまり、モチーフとなった国や地域が複数ある可能性は十分にある訳です。
というわけで、私は、"スメールのモチーフは主なモチーフとして『インド』と『古代オリエント』を統合したもの"と考察しておきます。