仮説の構築と検証を、より早くよりクオリティ高く
3連休明けの初日は、朝8時の現地調査からスタート。調査メンバーは今日のまとめを終えたら、明日に備えてみんなさっさと帰宅。
修行時代のぼくとは随分ちがう働き方になった。当時は早く仕事を覚えたくて、土曜も含めて朝9時から終電まで図面を描きパースを作っていた。その甲斐あってか色々あって5年目に退職する頃には「とりあえず一通りのことはできるかな」と思えるようになっていたし、今ではありがたいことに少しずつ仕事が増えたり専門誌に作品を発表したりできている。そう考えれば多くを捧げた修行のリターンも確かにあった。けれど、要らない苦労もたくさんあった。それはスタッフにさせたくない。
たとえば、ぼくがスタッフ時代に習得したことを半分の労力でマスターできるようになれば、十分な睡眠をとりつつ資格の勉強に打ち込み、5〜6年くらいでひと通りのことをマスターできる事になる。もちろん簡単ではないけど、なんとか出来そうなレベルだと思う。
実際、スタッフの稼働時間は160時間/月くらいに設定していて、20代のぼくのちょうど半分くらいだ。月あたりの稼働時間はぼくの半分で、かつトレーニング期間はぼくと同じ5〜6年で仕事をマスターできるという仮説である。単純計算で、仕事中に学ぶスピードを20代のぼくの倍にすれば良いことになる。そう考えるとやっぱり大変そうだ(笑)。
しかしまぁ考えてみれば、成長する方法としては「稼働時間を増やす」よりも「効率を高める」方が良いに決まっている。稼働時間を2割増やしても成果は2割も増えないし、逆に疲れは2割よりも増えてしまう。そもそも時間は有限で、睡眠と食事以外を全て仕事に費やしてもせいぜい周りの2倍が限界である。
一方で、効率を高める作業は理論的には上限なくどこまでも伸びていく。
メールを1往復減らすだけでも15分くらい確保できる。簡単なヴォリューム模型が1つ作って、隣のスタッフに一言コメントを貰うくらいは出来る時間だ。ユーザー辞書を編集して、「O」をタイプすれば「お世話になっております。渡邉です。」と予測変換が表示されるようにしておく。
最初はちょっとした誤差かも知れないけれど、こういうことの積み重ねが取り返しのつかない大きな差を生むと思う。
自分(たち)の達成感や疲労感に惑わされず、仮設の構築と検証のサイクルをどれだけ早く・クオリティ高く回せるかにコミットしていきたい。
建築家はコストが無くても素晴らしい作品を作ることができるように、時間がなくても良い建築はつくれる。はずだ。たぶん!