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私がダンスに辿り着くまで6(ビビビ⚡)

発表会は散々だった。

楽屋はダンスキッズたちであふれかえり、騒がしすぎるし肩身が狭い。他のクラスの大人女子はド派手でザ・ダンサーって感じで怖い(@_@) 子供女子も怖いw
舞台袖で初めて間近で見る照明器具や装置にプロの裏方さんたち。
自分のダンスが全く持ってHIPHOPではないのはわかる。振り付けはたぶん覚えてると思うけど、途中で真っ白になったらどうしよう・・・
こんなに不完全なままで本番を迎えるなんて大丈夫なのだろうか?!
客席なんて全く見れない。何をどうやって踊ったのか、間違えずに踊れたのかも覚えていなかった。

そんな発表会でひとつ強烈に覚えていることがある。
インストラクターの中に一人、異次元な人がいたのだ。
背が高くてものすごく細い。髪が巨大なアフロ!明るい茶色の緩めのスパイラルパーマ?遠くからでもぱっと目を引く、灯台のようだ(本人曰く「マッチ棒」と呼ばれていたらしいw)。
衣装は黒のジャケットに白シャツの胸元はフリフリで、パールのネックレスがじゃらっと。胸に白いバラのコサージュ。ボトムはぴったぴたのブルーデニムのフレアパンツ。サイドが上から下まで編み上げで素肌がチラリ。下着どーしてるん?! 体の三分の二が脚!!
時々笑顔も浮かべているけど近寄りがたい、オーラが凄すぎて。でも頭一つとびぬけているので、集合場所の目印にされていたww

私にとっては初めて生で見るストリートダンス界隈。
体操界はちょっと髪を巻いたりメイクをしたりするだけで「そんなことにうつつを抜かしているから勝てないんだ!色気づきやがって。」だった。
真面目だけど馬鹿ではなかったので「んなわけあるかこのくそじじい!」と思ってはいたが口には出さず。
(でも小学校の卒業式は自分でこだわって選んだ全身真っ青のコーデだったな。自分なりの美意識はあった。)
盛り盛りの衣装とヘアメイクで、舞台の上で堂々とドヤった者がかっこいい、という価値観はカルチャーショックだった。
体操では宙返りの高さで静かにドヤってたんだけど・・・(^^;) 華のあるタイプではなく、職人タイプを目指してたかも。憧れは男子選手のどっしりとした強さ、だった。

とにかく超異文化体験で、その中でひときわ異様なオーラを放っていたのがマッチ棒の人だった。
発表会のDVDが届いて真っ先に見たのがマッチ棒の人のクラス。

雷が落ちた。
か、かっこいい・・・!!私がやりたかったんこれですやん!あーいいな、でも自分にできる気がしない、あれはあの人があのプロポーションであのビジュアルで踊るからかっこいいんやろ。(←違いますちゃんとかっこよく見えるテクニックを駆使してらしたんですごめんなさい🙇)
生徒さんたちの踊りは申し訳ないが、先生とは全く違うものに見えたのだ。


HIPHOPの先生が大学卒業と同時にインストラクターもお辞めになった。
私が通っていた時間のレッスンを新たに担当するのは・・・
あれ?この名前・・・マッチ棒の人だ!!え、どうしよう!!やば、うそ、どうしようどうしよう・・・
でも、嬉しいかも??もはや私の中であの人は芸能人になっていた。ただのファン。『推し』なんて絶対言えない、スーパースター☆
でもでもレッスン怖かったらどうしよう~(@_@)
などとぐるぐるしてるうちに初レッスンの日に。
どきどきしながらスタジオで待っていると・・・

「ど~も~~~♪(👏パチパチパチ👏)」と漫才師のように小走りで満面の笑みを浮かべながらあの人が入ってきた!!(;・∀・)
え、めっちゃおもろいやんこの人!超絶オーラぶちかましてたあの人と同じ人??なんなら今はかなり親しみやすい感じやで・・・??かっこいいけど❤
マッチ棒の人のダンスのジャンルはJAZZで、最初のエクササイズや基礎はバレエがベースなんだそうな。最初にゆっくり説明しながら動きを教えてくれて、音楽とともにエクササイズが始まる。一応体操の練習でバレエのバーレッスンの真似事のようなことは経験があるので、なんとかついていける・・
が、振り付けになると難しい!でもかっこいい!そして自分は全く違う形になってしまう(TT)
頭の上にはてなが飛び交っている私に気づいて、こっちにやってくる!や、ちょ、来ないで!!緊張する!!眩しすぎて見れない~(/ω\)
「ーーーーー、ってするといいよ!」きらーん☆彡「は、はいぃァリガトゥゴザィマスㇲㇲㇲ・・・」(ふわぁああ芸能人がこっち見た!目ぇ見れへんかった・・・)
踊ってる場合ではなかった。

それから約15年の間、マッチ棒の人、もとい、師匠のレッスンに通い続けることになる。
師匠ワールド(先生が作るダンス作品の世界)の魅力にどっぷりハマり、師匠のお人柄と丁寧なレッスンに惚れ、5年ほどかかってやっと目を見て話せるようになり、師匠ワールドを具現化する事が生きがいになった。

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