episode2 「ガラスの仮面」張りの演劇少女時代
前エピソードで明るく変貌した私。
次の転換期は小学校4年生の終わりのクラブ発表会でした。
次年度のクラブ選択の目安にもなるイベントです。
その時に見た演劇クラブのステージに惹きつけられました。何に惹かれたのか、今となっては記憶にないのですが、多分一生懸命表現をする姿を見て、私もやりたい!と思ったのかもしれません。
その後の5年生から中学、高校と、ずーっと演劇漬けになりました。
そもそも初めて演劇を好きになったのは、小学校低学年の時に学校に来た劇団の芝居でした。
見慣れた体育館がまるで別世界に変貌!幼かった私の心に強烈な印象を残しました。
中学校の時にも劇団が来て、芝居の後の演劇教室では演劇部ということでステージに上げられてパントマイムの実演、プロの俳優を前に興奮したのを覚えています。
それこそマンガ「ガラスの仮面」にも夢中!中高校生の頃はバイブルのように何度も読みました。
ちょうどその頃の連載の作中では色んなお芝居が展開し、今のように連載が滞ることもなく(笑)一番面白かった時でした。
私は北島マヤのような天才型ではなく、姫川亜弓のような努力型の女優になりたい!と本気で思っていました(爆)
なにも最初から自信満々で女優になりたい!と思っていたわけではなく。
元々人見知りだし、それほど前に出ていくタイプではありません。部の先輩に対してのアピールも下手だし。
中学1年生の最初の舞台では同級生のうち数人が抜擢されて舞台にあがりました。それがなんか悔しかったのでしょうね。
その舞台の脚本1時間分を丸暗記。誰かが練習を休んでも代わりに入れるように準備しました!
そして思惑通り、代役で稽古に入る事ができて、先輩の私を見る目が変わりました。
2年生になると割といい役を付けてもらえるようになり、段々自信がついたのだと思います。
高校生の時には脚本も書くようになりました。好きで読んでいた本の中から舞台になりそうな題材を見つけて、脚本化するという作業。
この頃から文章を書くことは好きだったようですね。
時は流れ、高校卒業後の進路を考えた時に、本気で俳優になりたいと考えるようになりました。
当初は某大学の芸術学部を目指していましたが、私がやりたいことは大学に行くことじゃない!と思い、高校3年生で進学をやめて現場に出よう!と決心。
その時は進学クラスにいたのですが、担任の先生は夢に理解を示してくれて応援してくれました。
一度、平日昼間に舞台のオーディションがあり、どうしても受けたくて早退した時も咎められることもなかったです。
私は本当に先生に恵まれました!
ちなみにこの時のオーディションの舞台は、今は亡き蜷川幸雄氏演出のものでした。蜷川氏の前でメチャクチャ緊張してロクな演技もできず落ちました(^^;)
そして進路先未定のまま卒業しました。
卒業から2ヶ月ほど経った頃、求人雑誌の中に「劇団員募集」の記事を発見!!
その頃は演劇の中でも特にミュージカルが好きだったのですが、その劇団もミュージカルを上演すると書かれていて目が釘付けに。
ドキドキして記事を何度も読み返して母に相談。やってみたら?と背中を押されました。
勇気を出して劇団へ。その劇団は私がかつて好きだった、学校を巡回して上演している劇団だったのです!
入団当初は基礎レッスンから。その時に指導してくれた師匠は俳優の先輩でもあり演出家。私の演技を気に入ってくれて、同期の中でいち早く現場に送り出されました。
劇団経営者である社長は3つの劇団を運営していました。劇の内容も洋物、和物、ミュージカルとそれぞれ特徴があり、多い時は5本の芝居を抱えて全国を回っていました。
学校が長期休暇の時は本公演と称した興行をしていました。築地本願寺のブディストホールでの上演では役付で舞台に立ち、地元の友達もたくさん観に来てくれ、夢を叶えたね!と喜んでくれたのが今でも忘れられません。
高校の時に応援してくれた担任の先生や、中学校の時にお世話になった担任の先生も駆けつけてくれました。本当に有難い!このお二方とは今でも年賀状のやりとりが続いています。
18歳で入団した劇団には2年弱在籍しました。
その間、日本全国(沖縄、四国以外)の小中学校を旅して回り、たくさん芝居をしました。今思い返しても貴重な経験ばかり!なかなか出来ない事を若い時に経験できたのは、その後の私の人生の大きな財産になったと思います。
そして何よりも、やりたい事をやれた、ということが自信にもなりました。
劇団を辞めた理由はいくつかあります。
劇団経営者の社長の方針についていけなかった事。若かったから理解できない事も辛いと思う事もあった気がします。
自身が20歳という節目の歳を迎え、将来を考えて一度演劇から離れようと思った事。
好きなことを仕事にするのは幸せだし楽しい事もありますが、その分辛い事もあったんですね。壁にぶつかっていたのかもしれないし。
そもそもそれほどの才能もなかったかもしれません。
結局離れてよかったし、そのまま俳優の道に戻ることはありませんでした。
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episode3 に続く。
episode1はこちら↓