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トルコ旅15<開かない鍵と幼馴染たちのパーティ>

さて、どうしたものか。鍵が開かない。壊してしまったのだろうか。鍵屋を呼んで開くものだろうか?もし鍵が開かなかったらどうなるのだろうか?せっかく好意で貸してくれたのに鍵を壊してしまったか?と焦っていた。オーナーは「何かあったら連絡して」と言っていた。ホンザと話し合った結果、宿に戻ることにした。

先ほど車で来た道を歩いて戻る。案の定ホンザが道を覚えていたし、私も何となく道を記憶していた。トレッキングルートがすぐ近くにあるようで、ヨーロピアンらしき人が歩いていたりもする。実際歩いてみると目の前に迫ってくる岩やその大きさに驚き、車で走った時とはまた景色が違って見える。ここは本当に異世界だ。

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車で来た時には遠く感じたが、徒歩で宿までは20分程度の距離だったので思っていたよりも近かった。

宿に到着し奥さんと娘さんに「鍵が開かなくなってしまった、壊してしまったかも」と言ったら「大丈夫よ、多分壊れてないわよ」と笑っている。え?笑うとこ?よくあることなの?と思ったが、「大丈夫よ、大丈夫」と。

娘さんに詳しく状況を話したら、鍵の回し方を間違えていた模様。ホンザはヨーロッパの開け方でやっていたが、どうやら回し方が違った模様。ホンザは「そういえばその回し方、試さなかったかも!」と。試さなかったんかい!思い込みや日頃からの習性とは恐ろしいものである。私があの時に交代して試していたらもしかしたら開いていたかもしれない。ただ、これ以上鍵穴をガチャガチャ回したら壊れるかも、と思い私は鍵を回さないでいたのだ。回し方が違ったと知ったホンザは苦笑いするしかなかった。

ただ、万が一それでも開かなかった時の事を考え、オーナーと一緒に鍵が開くか確認をしたかった。が、オーナーは留守だった。娘さんがオーナーに電話をしてくれ事情を話すとオーナーはガーデンハウスの近くにいると言う。そんなわけで私たちは再びガーデンハウスに戻ることにした。

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先ほど歩いた道をまた戻る。もうルートは覚えていた。ガーデンハウスからほど近い場所で「こっちこっち!」と呼び止められた。オーナーだった。オーナーは友人たちと3人でバーベキューをしながらお酒を飲んでいた。オーナーは「鍵の回し方だよ。大丈夫だよ、問題ない!」と笑いながら言う。私がそれでも心配だと言うと、

後で一緒に行って試してみよう。大丈夫だよ。ほら、そんな心配しないで!せっかくここにいるんだから楽しんでほしいよ。人生は楽しまなきゃだめだ。ほらほら、お酒飲んで飲んで!

ごもっともである。そしてこのオーナーの言葉で不安が一気に吹き飛んだ。私もホンザも断る理由はないので、そのガーデンパーティに参加することになった。ちなみにオーナーの名前はアリさんと言うので、これからはアリさんと書いていく。

ガーデンパーティをしていた場所はガーデンハウスから徒歩5分くらいの場所だった。ここは一緒にいる親友Aさんの所有する土地だそうで、庭にはテーブルと椅子が置かれ、少し離れた場所に小屋があった。家は別にあるそうで、ここでは果物を育てたり、こうやって仲間たちとの時間を楽しむ時に利用しているそう。

このAさんとBさん、そしてアリさんは幼馴染で年はアリさんが一番年下らしいが、ギョレメで共に育ってきた親友なんだそう。この2人もレストランを経営するなどビジネスをやっていたが、定年になり自分たちは身をひいたんだと。そして今はこうやって3人でのんびり庭で話したり、酒を飲んだり、時には一緒にキャンプしたりしているそうな。この2人も観光客相手のビジネスをしていたこともあり、アリさんほどではないが英語も話せたので、話も楽しく色々な話を聞かせてもらった。

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「RAKI」というお酒を飲め飲めとすすめられた。RAKIは葡萄を原材料としたトルコのお酒だそうで、アニスで香りが付けられているとのこと。お酒自体は透明なのに、そこに水を注ぐと一瞬で白くなる。その不思議なお酒に私もホンザも興奮。ほのかに香るお酒で飲み口もよい。アルコール度数は強いだろうなと思いながらも、ホンザも私もグビグビ飲ませてもらった。氷で割って飲むとこれがまた最高にいいとのことで、私たちは言われるがままに氷で割って飲んでいた。

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そして、ここの庭で採れたという葡萄やリンゴを出してくれたりバーベキューで焼いたチキンを食べさせてくれたりした。チキンはとても柔らかくて美味しかったので作り方を聞いてみたらヨーグルト漬けにしたりしているそう。簡単簡単!と言っていたが、レストランをしていただけあってやはり料理上手なんだと思う。気合を入れたバーベキューではなく、あくまでも酒のつまみとして作っているような感じだけど、こういうのがいい。頑張りすぎず気取らないのがいい。私たちはトルコ人のおっさんたちが作った料理を美味しくいただいた。

アリさん以外の2人は久しぶりに外国人と話をするからなのか、それともいつものガーデンパーティにゲストが加わったのが嬉しかったのか、とても興奮気味に色々と話してくれた。私たちも彼らに「幼かった頃は岩に住んでいたのか、それとも普通の家に住んでいたのか?」と言う質問をしたり、カッパドキアの暮らしの話を聞いたりしていた。そしてこの3人を見て、幼かった頃はきっとヤンチャ坊主たちだったんだろうなと思った。年を重ねてもこんな風に会える幼馴染っていいな。と、しみじみ感じていた。

旅の素晴らしさを挙げたらキリがないし、人によっても旅の楽しみ方は様々だけど、私にとって現地の人と触れ合う時間は、何よりも旅の醍醐味である。

もっと飲め、これも食えあれも食え・・・と色々とすすめてくれてとてもありがたいが、私たちは酔っ払ってしまう前に鍵が開くかどうかを確認したかったので、キリのいいところでアリさんと一緒にガーデンハウスに戻った。

教えてもらった回し方でホンザが鍵を回したら・・・開いた!

あれほど開かなかった鍵が、すんなり開いたのであった。私たち3人は笑いあった。アリさんは「じゃ、もう大丈夫だね。俺は行くよ」とまたガーデンパーティに戻っていった。

もうネタでしかないし、思い出すと今でも笑いが込み上げてくる。鍵の回し方という単純なことだったのだ。しかし、鍵が開かなかったからこそガーデンパーティで楽しい時間を過ごすことが出来たので、鍵が開かなかったことにも意味があったんだな。とポジティブに考えるようにしている。

さて、鍵も無事に開け閉めできるようになった。もう大丈夫。散策にでかけますか。



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