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ちょっとまじめに考えた。 〜3度目の倉敷回顧①〜

予定をだいぶ前倒しにして行った3度目の倉敷市真備町。最初の滞在で一緒だった王子こと橋本さんにお誘い頂き、ぎりぎりまで迷っていましたが、車で行くとのことで同乗させていただきました。真備で作業などに入ったお宅でお会いした人の中に顔を覚えてくれている人もいてまた来たのなんて言われて嬉しい限りです。今回も家の床剥がしや、壁剥がし。物資の配布もありました。今回ははじめてタイル張りの風呂の解体も行いました。

途中、何度か所用のためボランティアセンターなどにも脚を運びましたが、ボランティアの人たちの会話の中で気になったのが「ボランティアは業者の仕事を取ってはいけない」という話を耳にしたこと。どなたが言っていたのかはわかりません。滞在中はゆっくり考える時間もなく、東京に戻ってきてから改めて考えてみました。

ボランティアの作業が業者の仕事と重なることは多々あると思うのですが、どこからどこまでが業者の仕事で、どこからどこまでがボランティアの仕事かというのはとても線引きが難しいと思います。作業をしているときも家の方からそんな相談を一緒に作業をしている方が受けている姿を見かけることもあります。一緒に作業をする西岡さんが「業者のボランティアをしてはいけない」とよく言っています。これは被災者さんから業者がお金をもらって受けている仕事の手伝いをボランティアがしてはいけないということ。至極、全うなことだと思います。ボランティアは被災者さんの助けになるように動きましょうということだなと理解しています。

そして、「ボランティアは業者の仕事を取ってはいけない」というのは、ボランティアが作業をすることで業者が利益を得られるはずだった仕事がなくなってしまうのはNGということ。
西岡さんの言葉と対比して、業者の仕事はとってはいけないというのは業者目線の発言だから気になったんだとわかりました。で、私が違うなと感じたのは、平常時と非常時の差という点です。もし災害でない平常時ならばはあてはまることだと思うのですが、今回のような非常時は別ではないのかなと感じています。というのは、被災の復旧にかかる費用は、災害がなければ本来は全て必要のない経費だと思うのです。なので、業者の仕事でもボランティアがやってもいいのではないかと思っています。もちろん、保険などに入っていたとかいないとか個人の状況によって変わってくるところはいろいろあるという前提で考えてですが、もし保険などに入っていなくて本当に自力で全て再建しなくてはいけない人がいた場合、そういった助けがあるということが大きな支えになると思いました。

そして気になったことふたつ目。物資の配布のお手伝いもすることがあるのですが、こちらは地元の方々が協力して団体を立ち上げたそうです。行くたびにお世話になっているポプリの徳田さんが中心になり、「スマイリング」として物資配布の活動を行なっています。今後は地域のコミュニティの場も提供できるようにするとのこと、行動力がすごいです。見習わねば。
物資の配布でもいろいろ感じるところがあります。簡単に言ってしまうとやはりモノの授受にはその人の品格が露骨に出るということに尽きると思います。特に無償提供の場合は顕著に出るように感じます。配布の際に罹災証明などは確認して渡しているようなのですが、やはり欲の強い人はキリがない。周りのことをしっかり考えている人は余計なものは持って帰りません。作業に入っている家の方が避難している仮説住宅に、一緒に作業をしている人が洗濯機を届けたことがあります。行ってみて物が全くなくてびっくりしたと言っていました。次の家がどうなるかわからないからしばらくこのままでいいと言っていたそうです。冷蔵庫もなし。クーラーボックスに氷を入れて冷蔵庫代わりにしていたそうです。そういう人に限って物資をお渡しできますよと言ってもいらない、もっと困ってる人にあげてとかいうし、作業に行くとめちゃくちゃもてなしてくれます。逆の感じの人は字にするとせつなくなるのでそちらは触れないでおきます。『節度』『品位』という言葉の大切さを改めて感じました。

あとは物資配布に関しては、集める方法と範囲についても難しいなと感じました。こちらは物資を提供する人や集める人の考え方でだいぶ変わってくると思います。今回、倉敷行きに誘ってくれた橋本さんも「王子プロジェクト」として物資の募集をしています。橋本さんのように考えを行動に起こせる人と、考えを行動につなげられない人、考えが至らない人。差があると思います。その差がひどい場合があるなと感じました。
特に辞めたほうがいいと思っているのは、知り合いに集めている人がいるから周りの人に声をかけて、けっこう集まったんですけどどうすればいいですか⁉︎という人、自分で送る場所を聞いて然るべきところに送ればいいんです。大型とか特殊なものの場合、送り方をどうすればいいかとか引き取りに来てもらえないか相談するとかにしましょう。なんでもかんでも取りに来てくれとか、仕事しながらやってる訳ですから無理だと思いませんか。集めに行きますと言っていてもあげる側が主催者が配布しやすいようにもっと考えるべきだと思っています。みんなに声がけして実際に動いている人はこんなこと言いません。物資が集まって被災者さんに届けばいいと思っているから。だからこそ物資を集めている人のこともちょっと考えたほうがいいと感じました。面識のないSNSだけのつながりとかの場合特に。

あげるモノについてもそうです。あげるモノの状態です。古着を綺麗にしてから渡すのがマナーなように、家電、家具も受け取った人がもらって嬉しい状態にしてから渡してはどうでしょうか。この辺は個人の感覚によるところが大きくなるかもしれません。

最後は、遠隔地からの輸送も今後は考えなければならないところだと思います。小型の物資や衣服なんかはそんなに経費がかからず送れると思うのですが、大型の家具・家電なんかは送付費用とかをしっかり考えないと、新しく買ったほうが安上がりだったということも出てくるんじゃないかなと思っています。全て被災者さんの利益と言ったら語弊があるかもれませんが受け取る人の効果が最大になるような方法を考えていかないといけないのだなと思いました。

こんなことを考えながら物資の配付の準備を手伝っていました。主催されている方々の中にはご自身も被災されている人がいたり、仕事をしながら配布が滞りなくできるよういろいろな問題に対応していたりしています。なので今後もできることはどんどんお手伝いしていきたいと思っています。
続く。

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齋藤映博 Akihiro Saito
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