上海で、危機一髪のところ命拾いした話
私は一人で上海浦東空港にいた。
wifiが使えなかったので、とにかくホテルへ行くべく、地下鉄乗り場に向かった。
大きいお札しか持っておらず、券売機でチケットを購入できない。困っていたら、隣の券売機で券を購入していた若い男性が奢ってくれた。
これが、彼との出会い。
ここからとても長い話が続く。
まず、一緒に地下鉄に乗った。空港から3駅、その後は徒歩で行ける場所にホテルがあったので、そこまで送ってもらうことにした。
彼は英語も日本語も全く話せない。私の同時通訳アプリはwifi下でしか動かないため、彼の携帯の同時通訳を使い、会話をした。「もう少しだよ。」「時間があるから大丈夫。」と、凄く優しくしてくれた。
地下鉄を降りて、地図を見せたら、そのホテルは中国の地図アプリに載っていなかった。日本で見た時には載っていたし、ホテルのWEBサイトもしっかりしていたのに。
彼は、あの手この手でそのホテルを探し出そうと努力してくれた。ホテルに何度も電話をかけ、かけるたびに「分からない」と困った顔をし、道行く人にもたくさん声をかけてくれた。
タクシーを捕まえて、ドライバーならわかるだろうと任せたら、ドライバーの方も分からなかった。付近を何度も巡回して、ドライバーの彼も、道行く人に何度も場所を尋ねてくれた。
それでも分からなくて、もう私はwifiも無ければ、2人と会話もできなければ、睡眠不足と車酔いで気持ち悪くなっていて、全然考えられなくて、ずっと「どうしよう」と彼の通訳機で言っていた。彼は、地下鉄を降りてからずっと、「大丈夫。君を必ずホテルに送り届けるから安心してね。」と言ってくれていた。
迷った末、「タクシーもバスも通らない、あまり安全ではない地域にあるホテルだ。地元のタクシードライバーが知らないホテルは、安全ではない。」と彼が教えてくれた後、そのまま彼が安全なホテルを調べてくれて、そこまでタクシーで連れて行ってもらった。
私は調べることもできず、彼に頼ることしかできず情けなかったが、危機一髪の命拾い。本当に助かった。
彼のお陰で、安全なホテルに宿泊でき、無事に上海の旅をスタートできた。
中国は、一人っ子政策の関係もあり、女性にすごく優しい国らしい。女性に財布を出させないのが当たり前になっているみたい。私を助けてくれたお兄さんは、地下鉄代もタクシー代も払ってくれた。本当に有難かった。
行ったことのない土地で、No-wifi/No language は、過酷すぎた。私は若い女性で、日本人。どこの国に行っても狙われやすいので、もう二度とこんな経験はしたくないが、生まれて初めて「死ぬかもしれない」と思ったし、難しいこと何も考えられなくて、「どうやって生きるか」という一番生物の根本にある欲と向き合った。
その後の彼は、言葉も通じない私に恋をしてしまったらしく(日本人女性が海外でモテるのは有名な話)、重たい愛のメッセージに、ホテルへの宅配、ホテルに会いに来るという怖い執着心に迷惑しているところである。「彼氏がいる」なんて、何もバリアにもならない。
全然諦めてくれないし、言葉通じないのに会ってどうするのって思うし、言葉通じないのに電話してくるし、wechatの方がコミュニケーションしやすいのに、距離を縮めたいんだかなんだか謎だが、まあそんなこんなで、安全に五体満足で帰国できるよう今日も頑張ることにする。
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