【ゲーム紹介】Ghostwire: Tokyo
ゴーストワイヤー東京がPS5のフリープレイとして配布されていたので、プレイしましたが、とてもはまりました!!
前々から気になっていたものの、発売当時はPS5を持っていなかったこともあり、また、発売当初は「プレイ時間が短い」とか「ストーリーが微妙」とか「オープンワールドが狭い」など評判がよくなかったこともあり、買うのを控えていましたが、今回フリープレイでプレイしたところ、個人的には大当たりでした!
■イントロダクション
■このゲームの主役は東京!
とにかくこのゲームの主役は物語の主役の暁人やKKではなく、東京が主役です。東京都心に在住の私からすれば、「よくぞここまで本物の東京を再現してくれた!」とスタンディングオーベーションですよ。
敵とのバトルなんて飾りですよ、偉い人にはそれがわからんのですよ。
もちろんこれまでも『龍が如く』で新宿歌舞伎町をモデルにした「神室町」がありましたし、田舎を舞台にしたゲームもいくつもありました。
しかしながら、このゲームほど実際の東京の空気感を再現したゲームはなかったと思います。
やはりPS5によるフォトリアルな建物や細部までの作り込み、線路の上から地下街まで、「これぞ東京!」というのをこれほど見せてくれるゲームはなかったと思います。
物語の始まりは渋谷駅ですが、その渋谷駅の作り込みも半端ない。行ける場所は限定されていますが、それでも渋谷駅の山手線のホームから電車の中、地下街から地下鉄まであります。
さらには、北側には谷中商店街のような景色が広がり、他にも水天宮っぽい神社や都心から少し離れた場所の(足立区や東京郊外にありそうな)古い団地まで、とにかく生活感や生活の匂いが凄まじいのです。
画面越しでもゴミの臭いが感じ取れそうな一戸建てのゴミ屋敷も再現されている一方、それまで平和に暮らしていただろう綺麗な一軒家もあります。
その作り込みが凄まじすぎて、ただただ街を歩き回っているだけで楽しい気分になってしまうのです。
(むしろ、敵との戦いはスパイスぐらい)
しかも、それだけではなく、カラス天狗やお札を使って、縦横無尽に動き回ることが可能ですし、一定時間飛行も可能になるので、ビルの屋上などを飛び回ることもできます。
まあ、現実でもこんな能力があったらやってみたい、という能力で、作り込まれた東京をいろんな角度から見せてくれます。
夜だけではなく、朝や日中もあるので、ずっと真っ暗で陰鬱な気分という感じもありません(朝や日中も天気は悪いですが)
それを見るだけでも楽しいです。
■ユーザービリティに優れている
実はそうした作り込まれた東京をストレスなく見せるために、ゲームのユーザービリティが結構優れています。
例えば、ゲームは東京の各所にたくさんいる幽霊を救出することで、経験値をもらえるわけですが、これがどこにいるかなかなかわからない。
けれども、物語の途中で手に入れる数珠を使えば、その幽霊がいる場所に案内してくれますし、貴重なアイテムも教えてくれます。
また、神社にお賽銭をすれば、やりこみ要素であるお地蔵さんや狸の居場所も教えてくれます。
とにかく東京が細部まで作り込まれているために、とてもじゃないですけども、貴重なアイテムや路地裏の幽霊までは見落としてしまいがちです。
それをちゃんとフォローしてくれるような仕組みもつくってあり、そうしたユーザーに寄り添う姿勢は、さすが長年ゲームクリエイターをしてきた三上真司さんのゲームスタジオだなと思います(もちろん誰が発案したのかはわかりませんが)。
だから、アイテム収集するために同じところをぐるぐる回って、イライラしてストレスがたまることもあまりありません。
(他のゲームだとよくあるんですよね……)
そうした細かい点ですが、とても重要なケアも行き届いていて、非常にやりやすかったです。
■正しい日本文化を世界へ
ハリウッドのとんでも日本が未だに作られている現在、このゲームは正確な東京や日本文化を世界へと発信する姿勢が見て取れます。
それはこのゲームの舞台となる東京の作り込みもそうなのですが、日本の文化的なアイテムを収集する作り込み要素もあります。
それらひとつひとつにどんなものか説明書きがついていて、日本の正しい知識を広めているように思いました。
ただ、これは物語に深く関わるわけではないので、興味がある人だけ読めばよいという点でも、とても好感が持てました。
■ひとりだけど寂しくない(相棒が一緒にいるから)
ゲーム中はほぼ暁人ひとりしかいません。
般若によって渋谷周辺の全人類24万人は消失させられてしまったために、人は幽霊以外出てきません。
でも、寂しくないのはKKという相棒がいるからです。
彼は暁人の体に取り憑いて、最初は反発し合いながらもだんだんと仲を深めて、最終的には相棒として信頼関係や友情を結びます。
最初、井上和彦さんという大ベテラン声優さんを起用したことに(井上和彦さん大好きですが)ベタ過ぎるような気がしました。
でも、プレイしていく中で、「やっぱりKKはこの人しかいない!」と思わせるところはさすがです!
最初は暁人の体を奪おうとするのですが、だんだんと暁人と憎まれ口を叩くようになり、黙っていると話しかけてくれたりします。
(テレビのスピーカーとコントローラーのスピーカーから同時に話しかけてくれるのがまたいいのですよ)
とにかくいっぱい話しかけてくれるし、そこにKKの優しさや人間性が垣間見えて、本当に一緒に戦っている気になります。
悪友といるような、年の離れた友達といるような、お父さんと一緒にいるようなそんな不思議な感覚にしてくれます。
ずっと彼と一緒にいたいと思わせるような温かみのある関係性と、それをちゃんと声で表現した井上和彦さんは本当に素晴らしいです。
■売り上げが悪かったのが残念
オープンワールドも決して狭くないですし、いろんな東京を見せてくれるので、決して見ていて飽きることもありません。
さらには、プレイ時間も本編クリアだけなら10時間程度ですみますが、ここで述べたように、このゲームはお散歩ゲーなので、いろんな場所を巡って、いろんなサイドミッションをこなすこと自体に意味がある作品なので、普通にプレイしていれば、20時間以上はかかります。
ただし、ストーリー的な面白さを求める人には合わないと思います。
もちろんダイナミックな展開はあるし、あっと驚くようなストーリーはありますが、ドラマ自体はあんまりしっかり見せてくれないので、そこまで感情移入できないままどんどんストーリーが進んでいきます。
そのため、映画的なストーリーを求める人にはいまいちかもしれませんし、サイドミッションやお散歩をしないと、KKの人柄や人間くささなどもわからないために、いまいち面白みに欠けると思います。
本作は売り上げが振るわなかったせいか、ディレクションを務めた三上真司さんは退職され、タンゴゲームスはスタジオ閉鎖になってしまいましたが、ゲームとしては非常によくできていたと思います。
ストーリー以外では、どうすればよかったかというのは、ちょっと思いつかないレベルでよくできていました。
やはり一番の原因はPS5限定だったのが原因かなと……。
秋月としてはオススメの1本です!
ここまでで気になった方はぜひゴーストワイヤートウキョウを購入しましょう。今ならセール中で安くなっていますし、PC版も出てSteamでも非常に好評がたくさんついているので、ぜひプレイしてみてください!
■物語のテーマは死生観(ネタバレ注意)
ここは賛否が分かれるところですかね。
物語自体は多くを語らないために、主人公達がどんな人生を送ってきたかわからないです。
そして、特に物語の最後で暁人が目的は達成したものの、そこで失ったものがあまりにも多くて、すっきりしないのが評価が分かれるところかなと。
テーマとしては「死んだ人は生き返らない」「少年の独り立ち」というところだと思いますが、それにしても暁人が頑張ったことに対する報われなさがあまりにもないところが悲しいと思いました。
ここは万人向けを目指し、敵役の般若と対比するのであれば、やはり「死んだ人を復活させることよりも、生きている人を大切にしよう」というところでよかったのではないかと思います。
だから、ストーリーだけ追いかけて最速クリアを目指すゲーム紹介系YouTuberの評価が微妙になってしまったところかなと思います。
大作でやるにはテーマがあまりにも悲しいものだったと思います。
結局のところ、般若ひとりと対決しているようなものですし、KKの仲間は個性的ですけど、ほぼ姿は見せないですし。
万人向けを目指すなら、もうちょっとわかりやすい物語でよかったと思います。
ここら辺は誰か指摘する人がいなかったんでしょうかね?
最後の最後で主人公が救われる展開があるだけでも、ずいぶん印象が変わると思うのですが……。
そこだけが非常に残念でした。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。