「型」・適材適所・守破離
私はライトノベル・ゲーム・ASMRなどいろんな仕事をしてきました。
そのたびに痛感するのが型(フォーマット・テンプレ・仕様・レギュレーション)というものです。
■ライトノベルで好まれるジャンルや「型」
例えば、今のWEB小説は異世界もの・悪役転生・悪役令嬢・中華後宮もの・現代ラブコメ(恋愛小説)といったジャンルが愛されており、それ以外のジャンルだとなかなか読んでもらえない、評価されないといったことがあります。
また、WEB小説サイトによっても人気ジャンルが異なります。男性向けが強いカクヨムがあれば、女性向けが強いアルファポリスがあります。
つまり、そうした小説サイトには、それらを読む読者層があり、その層から外れるとなかなか読んでもらえないわけです。
■ASMRで好まれる「型」
男性向けASMRも同じように、「型」が決まっています。
・基本癒やし
・主人公(聞き手)は受け身
・主人公(聞き手)を全肯定 ※決して否定しない
以上のような型から外れてはいけません。
中には聞き手を馬鹿にするようなものもありますが、それは相当ニッチであり、それでも愛を感じられるものでなければいけません。
■ゲームやソシャゲにも「型」はある
ゲームやソシャゲも同じように作品によって求められる内容が異なります。
いわゆるレギュレーションというものです。
ルールと言い換えてもよいかもしれません。
基本的にそうしたルールから逸脱した作品を書こうとしても許されません。
特にゲームシナリオは現在膨大な量のために、何人ものライターがシナリオを制作します。1人のキャラクターのシナリオを複数人のライターが執筆することも当たり前です。
それゆえに、レギュレーションをきちんと定めることによって、誰が書いてもキャラクターがぶれることなく、均一な内容になるようにしているわけです。
それはアニメで作画監督が他の人が書いた原画や動画を手直しして、結果としてそのアニメを見ても、キャラクターが急に別人が書いたとわからないようにするようなものです。
■「型」破りを求められているようで、実は「型」を求められている
公募の募集要項では新しさを求められているように見えますが、実は「型」から大きく外れた作品は求められていません。
少女向けのレーベルに、少年向けバトルもの作品を持っていても跳ねられるだけです。
そこまで極端ではないとしても、WEB小説サイトで流行のジャンルから外れたものだとなかなか読んでもらえません。
とある大ヒットマンガは作者がジャンプに持ち込んだ時に、編集者さんに「ジャンプを持ってこい」と突き返されたそうです。
聖書に続いて売れた『ハリー・ポッター』も11社の出版社で断られました。
それは就職活動にも似ていて、企業が求める人材というのは明確に決まっていて、そこから外れてしまうと、飛び抜けた才能の持ち主でもない限りは不採用になるわけです。
■自分が活躍できる場所を見つける
公募やコンペで不採用になったからといって、その作品やその人自身を否定しているものではないわけです。
マッチングしなかったのかもしれません。
もちろん力量不足というのもあるでしょう。
そのどちらが理由かはわかりません。
ただ、その作品や自分が活躍できる場所というのは、他にもあるはずです。
コンテストも公募も今は山のようにありますし、執筆する仕事もたくさんあります。
だから、1つの場所ばかりに止まらずに視野を広くすれば、きっと自分が活躍できる場所が見つかるかもしれません。
■まとめ
今、執筆の仕事をしていて、改めていろんな仕事があると思っています。
例えば、WEB小説では悪役転生・悪役令嬢・中華後宮もの・現代ラブコメが主流となっていますが、ソシャゲではアイドルやSFや青春ものなど他にもジャンルがあります。
アイドルものはアニメやソシャゲでは人気のジャンルですが、ラノベだとなかなか難しいジャンルではあります。
また、近年では漫画原作の公募も結構あります。
縦読みでは現代ダンジョンもののの無双系、悪役令嬢もの、現代不倫もの、溺愛ものなど、こちらもこちらで好まれるジャンルや「型」があります。
そのどちらが上か下かという話では決してありません。
ただ、自分が書きたいものや表現したいものが、プラットフォームに合わないのであれば、思い切って別の場所に移るのもありだと思うのです。
夢や憧れは自分の視野を狭くする危険があります。
けれども、視野を広くすることで自分が活躍する場所や、自分が好きなものに挑戦する場所が見つかるかもしれません。
そんなわけで、一度立ち止まって、自分のやりたいことや表現したいことと、そのメディアやプラットフォームがマッチしているか見てみるとよいと思います。
また、その公募やコンペやプラットフォームに挑戦するなら、型をちゃんと履修することが大事ではないでしょうか。
新しいものを生み出すとしても、まずは「型」を学ぶことが大事です。
それは「守破離」に繋がると思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。