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自作の小説の冒頭を語らせてみた『売れないシナリオライターと爺くさい猫』
秋月大河(紲星あかり)
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自作の小説の冒頭を少しいじって話させてみました。
――――――――――――――――
「……はあああああ」
私はノートパソコンの前で大きくため息をこぼした。
型落ちしたパソコンの画面にはメールのアプリが開かれている。
件名には『ゲームラグナロク・リングにつきまして』という文字があり、その下には担当者からの悲しげなメッセージがつらつらと書かれている。
「どうした? 世知辛いため息をこぼしおって」
後ろから声がかかる。
振り返るものの、六畳間の部屋に置かれたベッドには誰もいない。
いや、一匹の三毛猫がくあっとあくびを上げている。
声をかけてきたのはこの猫なのだが、私は驚きもせずに答える。
「もう、聞いてよ! 私がシナリオを書いていたソシャゲが開発休止になったのよ」
「それは難儀なことじゃな」
猫は言葉とは裏腹に、気にもせずに手を舐めている。
全くもって腹が立ってくる。
私はフリーランスのゲームシナリオライターとして仕事をしている。
元々はラノベ作家としてデビューしたものの、鳴かず飛ばずで三冊だけしか本が出せなかったし、出版社に新しい本の企画を出しても返事が来るまでに一ヶ月も二ヶ月――場合によってはそれ以上の時間がかかることも多い。
みるみる貯金が減っていって、あっという間に進退きわまった。
そこで、フルタイムでバイトをしたり派遣で働いたりしたこともあったが、フルタイムで働いてしまうとどうしても疲れが出てしまって、なかなか執筆する気力も体力も残されていない。
我ながら情けないことこの上ない。
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「……はあああああ」
私はノートパソコンの前で大きくため息をこぼした。
型落ちしたパソコンの画面にはメールのアプリが開かれている。
件名には『ゲームラグナロク・リングにつきまして』という文字があり、その下には担当者からの悲しげなメッセージがつらつらと書かれている。
「どうした? 世知辛いため息をこぼしおって」
後ろから声がかかる。
振り返るものの、六畳間の部屋に置かれたベッドには誰もいない。
いや、一匹の三毛猫がくあっとあくびを上げている。
声をかけてきたのはこの猫なのだが、私は驚きもせずに答える。
「もう、聞いてよ! 私がシナリオを書いていたソシャゲが開発休止になったのよ」
「それは難儀なことじゃな」
猫は言葉とは裏腹に、気にもせずに手を舐めている。
全くもって腹が立ってくる。
私はフリーランスのゲームシナリオライターとして仕事をしている。
元々はラノベ作家としてデビューしたものの、鳴かず飛ばずで三冊だけしか本が出せなかったし、出版社に新しい本の企画を出しても返事が来るまでに一ヶ月も二ヶ月――場合によってはそれ以上の時間がかかることも多い。
みるみる貯金が減っていって、あっという間に進退きわまった。
そこで、フルタイムでバイトをしたり派遣で働いたりしたこともあったが、フルタイムで働いてしまうとどうしても疲れが出てしまって、なかなか執筆する気力も体力も残されていない。
我ながら情けないことこの上ない。
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