【エッセイ】業界人
Twitterでこんなマンガが掲載されました。
現在ぬこー様ちゃん@絵日記毎日18時更新さんのTwitterで毎日掲載しております。
この話はイラストだけではなく、自分のようなシナリオライター業界でもあるあるの話なのです。
■あるシナリオ講座で出た質疑応答
このマンガが出るずっと前に、あるシナリオライター講座で私が受講していた時、受講生の方から先生に対してこんな質問が出ました。
「ゲームシナリオライター志望(女性)なんですけど、ある有名ゲーム会社の方(男)からTwitterのDMでシナリオの書き方を個人的に教えてあげると言われたんですけど、どうしたら良いでしょうか?」
その講座の先生も同席していた他の受講生もみんなで「会うのはやめておけ」って言いましたね。
(先生も有名なシナリオライターですが、このDMの男とは全くの無関係)
若い女性が素性もわからない男にふたりきりで会うというのは、かなり危険です。しかも、肩書きを盾にして、いきなりTwitterのDMに凸するような輩は危険すぎます。
私も個人様相手のシナリオ講座を開いていますが、あくまでも依頼があってから対応しますし、営業するとしても専門学校や大学相手ですし、シナリオライター志望者にいきなり営業することなど決してありません。
もし直接話すのが怖いようでしたらリモートでの対応も承っています。
また、自分も肩書きや実績を出すことはありますが、これもあくまでも依頼を受けやすくするためであって、異性と仲良くなるためには使いません。
ただ、方々から聞いていると、そういう輩が多いのが困りものです。
■自分の失敗経験談
上記のようなあからさまに怪しい依頼もある一方で、見分けにくい依頼もあります。
自分が5年以上前にこんな依頼が来ました。
クライアント
「初めまして。自分は○○(地方都市の名前)で社団法人の代表をしている。地域活性を目的として若者の活動を様々な形で支援している。
若者に親しみを持ちやすいように、秋月さんには自作のマスコットキャラクターを使った物語を作成してほしい。
そのキャラクターを使って、今後様々なイベント活動をしていく他、現在地域の企業とのタイアップによる話し合いも進めていて、冊子をつくっていく。ぜひ秋月さんに協力してほしい。もちろん秋月さんの名前も載せる」
というようなものでした。
地域振興の社団法人からの依頼ということもあってびっくりして地方行政かどこかの大きい企業みたいなところからの依頼かと思ったら、
「大学卒業後に仲間たちと共に起業した20代前半の地元の個人経営のお店の経営者」
でした。
それを聞いた時点で、「うっ」と自分の中の危険信号が鳴りました。
ただ、その方は熱く夢を語るわけです。
「若者たちと共に地元を盛り上げたい。今地元の企業にも出資してもらって、高校生たちのイベントを企画している。他にも地元企業とタイアップした他のプロジェクトも進めている」
やたら熱く語るので、若者や地元を思っているのだろうとほだされた自分は協力することにしました。
ただ、最後に、ネットでよく出てくるセリフを言われました。
クライアント
「起業したばかりでお金がないので、○○○○円でやってくれませんか? でも、次回予定している企業とのコラボでつくる冊子は企業のスポンサーからお金が出る予定なのでもっとしっかりした報酬が支払えるはず」
それを信じて仕事を引き受けましたが、イベントもそのコラボで作る冊子もよくよく話を聞いてみると、計画があまりにもずさんで、本の作り方も知らない上に、
クライアント
「コミケで本を出そうと思っている。でも、あれってどうやって本をつくってるんですか?」
ここまで聞いて一気にやる気がなくなりました。
あなた、コラボでつくる冊子は最初、地元企業や地元本屋で出すって言ったよね!?
ここまで来てかなりやる気をなくししていたわけですが、責任感が強い自分はひとまず地元イベントで出すというシナリオだけは最後まで全うしようと思いました。
これも作品にあれこれと注文をつけてくることに対しても素直に引き受けておりまして、ひとまずシナリオを最後までつくって納品したところで問題が発生しました。
クライアント
「やっぱりこの世界観はやめて、○○(有名アニメ)みたいな作品にしたい。分量も増やしてラノベ文庫本一冊分くらいお願いしたい。
お金はないので報酬はそのままで」
さすがにここで堪忍袋の緒が切れました。
今まで働いた分の(超安い)報酬だけもらって降板しました。
最後まで彼はなぜ私が怒ったのかよくわからないようでした。
こういう案件は本当にごろごろ転がっています。
依頼者本人も何がいけないのかよくわかっていないようでした。
ぬこー様ちゃんさんのマンガに出てくるようなあからさまに悪意がある人物も要注意ですが、悪意がなくとんでもない依頼をしてくる人もいます。
……思い出すだけで腹が立ってきた。
ナチュラルに失礼なことをしてくるので、最初は見分けがつかないんですよね。
個人依頼だから危険、大企業だから安心、ということは決してありませんが、実績のあるところはある程度は信用して仕事を受けられます。
同時に、リスクマネジメントというか、はしごを外されても大丈夫なように、リスクヘッジをする必要性はあります。
心のどこかで「裏切られるかもしれない」と思いながら仕事をするのは、本当は嫌ですけども、自分を守るためには仕方がないことですね。
逆に自分は誠実であろうとは思っています。
報酬は適正価格のものを支払うようにします。
大多数の人はそうやって誠実に仕事や人と向き合っていると思いますが、悲しいことに人を食い物にするような連中は反省もせずに、何度もくり返すので被害がなくならないんですよね……。
ぬこー様ちゃんさんの「業界人と戦った話4話」を読んで、自分の辛かった諸々を思い出して泣きましたよ。
自分もぬこー様ちゃんさんのように信頼できて守ってくれる人がほしかったですね。
自分は本当に手探りでやってきているので。
どうか本当に大丈夫かと思う案件の依頼が来たら、一度信頼できる知り合いに相談してみることをオススメします。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
余談
ちなみに、その社団法人の代表のクライアントが企画していた地元若者によるイベントは、確かに開催されましたが、毎年開催するといっていたものの、結局、その年で終了。
社団法人(NPO)として様々な取り組みについて掲載していたHPも、HPの表紙はあるものの、リンク先は全部エラー表示になりました。
そのクライアントの個人経営のお店は何年か前までは更新されていたので、今も残っているかもしれません。
ただ、自分がメールやチャットワークも消したので、もうその方の名前も会社名も忘れてしまいました。
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これまで70タイトル以上のゲーム・ラノベ・シチュエーションドラマ・YouTube動画などの制作に関わって参りました。
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