腋の薔薇時計#毎週ショートショートnote
鏡の前に立つ彼女が
「これでは、ダメね・・・両サイドが見えない」と呟いた
「どこかに大きな三面鏡がないかしら」
手元にあるベルを鳴らす
執事と思われる男性がやって来て会釈をする
「すぐに大きな三面鏡を用意しなさい。」と彼女
「かしこまりました。すぐにお運び致します。」男性は退室する。
彼女は、12年ごとに行われるこの行事が気に食わない
昔は、それが、裕福で強い象徴だったのかもしれないが、
その為だけに努力しなければならないのが嫌だ。
慣習や慣例や伝統などと、ごまかしだ。
「コンコン」ノックの音がして鏡が届く
三面鏡が開かれた
彼女は、ぱぁーっと笑顔を見せた。両サイドの鏡をみながら
両腕を上げてポージング。
上腕の内側から脇を通りウエストまで
薔薇が絡んだ時計の刺青が美しく開く。
「腋の薔薇時計。この日の為に男女問わす゛鍛えぬく。」
貧相な家では無い証らしい。
決して、12年ごとの親族総出の宴会芸ではない。たぶん・・・(410字)
初めまして、秋月めぐみです。
ショートショートは、初めてです。どうぞよろしく。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。