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80手前のご近所物語

私はどうやら壮大な勘違いをしていたようだ。
前回の投稿で、近所のおばさまがお土産を買ってきてくれたという話を書いた。しかし、そのお土産は私にではなく、私の両親に宛てたものだったのだ。
私は単なる、受け子だったのだ。
(犯罪行為はしていません)

そんな誰得な話をしたくて今PCに向かっているのではない。
だからと言ってこれから書くことが、みなさまの為になる話かと言われれば、そうでもない。
しかし私は書きたい。とても書きたいのだ。

今、そのお土産を巡って、80手前の母とその界隈の方々が長きに渡って築き上げてきた交友関係にひびが入り始めているという。
もうこの時点で、この話に興味をなくす方もおられるだろう。
しかし、私は書きたい。

事の発端は、私が母への考えを改めるきっかけをくださったおばさま(Kさん)が、お土産やお歳暮など、とにかくそのような慣習を一切辞めにしたいと言いだしたそうだ。グループLINEで。

その日もKさんは我が家に出向き、「いつもかなちゃん経由で渡してしまってごめんなさいね。」と言って、申し訳なさそうに海苔を持って来てくださった。

私が実家に着くなり、「大変なのよ」とそのLINEの話を始めた母だったが、私には何が大変なのかさっぱり共感できなかった。
「辞めたいなら辞めたらいいんじゃない?おばちゃんだけ。」
そう伝えると母は、
「そうでしょ?だから私は『私は辞めてもいいですよ』って返信したのよ」と言うのだ。
ほう、話はそれで終わりじゃないか。

すると母の元へある人から電話がかかってきた。
スピーカーで話しているから丸聞こえである。電話の相手は、同じくそのおばさまグループに所属する、お歳暮は続けたい派のSさんだ。
電話に出るなり、「これは大事になりそうよ」と言うのである。
どうやら、辞めたいと言い出したKさんがSさんのお宅に”最後の”お歳暮を届けた際、対応したSさんのご主人に「私もうこういうこと辞めたいんです!」とそれはそれは深刻な顔で伝えたのだそうだ。

それの何が悪いのか、私には「?」である。

「えー!ご主人に?!まぁなんでそんなことを」と母が驚きをもって答える。
するとSさんは「私もびっくりしたのよ!私にじゃなくて主人に言うんだからちょっとおかしいわよね?だからね、主人がもうKさんとは暫く付き合わない方がいいって言うのよ。あの顔は普通じゃなかったって。火でもつけられそうだって。」と言うのだ。
(ちょ、さすがに盛り過ぎ!と隣で笑いそうになるのを堪える私)
すると母もうんうんと相槌を打ちながら、話はどんどんKさんの悪口へと発展する。
(おそらく本人たちにはその自覚はないだろう)

次の瞬間私は耳を疑った。
母はSさんにこう言ったのだ。
「LINEでさ、もう辞めたいって言われた時に、『私は辞めてもいいですよ』って答えたけどさ、あれはもう、「お付き合いを断ちます」ってことだから。」と。

違くない?うっかり私が口を挟みそうになった瞬間だった。
さっき私に話したのと違う。
しかもその母の賛同にKさんは「ご理解頂きありがとうございます」と返信したらしいのだから、絶対違う。

母とSさんは同じ話を何度もしながら、
こう着地した。「新年会は無しにしましょう。彼女には参加者が少なくなったからキャンセルしますと伝えておくわね。」と。

しかしだ。
しかし、だ。
母によれば、Kさんはお歳暮は辞めたいけれど、新年会やランチなどの集まりには積極的だそうだ。次の新年会には〇〇さんのお誕生日も兼ねましょうなんて提案もしていたそうだ。

なのに母とSさんは、新年会も無くして、とにかくKさんと会わないことを決めてしまったのだ。他のメンバーの意向も聞かずに。
母はリーダーなのか?
いや、母はサブリーダーだ。
リーダーは、間違いなくSさんだ。
(どうでもよすぎるという声がどこからか聞こえてきそうだ)

母は電話を切った後、ため息をつきながら「どうしてこうなっちゃったのかしら」と落ち込んでいたのだ。(元気だけど)
こんな時、父は「女はめんどくせぇなぁ」と笑って言うだろうと思っていたが、父の口から出た言葉はまさかの「大変なことになっちゃったなぁ」だった。と、父さんも?

どうやら両親とご近所さんたちは、食事会やゴルフなど、夫婦で参加するようだ。
なるほど、となると、リーダーはSさんのご主人ということか。
(どうでもいいわ!が聞こえます)

確かにそんなことはどうでも良い。

私が言いたいのは、Kさんの主張は誰も尊重しないんか?ってことだ。

お歳暮を辞めたいということがなぜそんなに悪いんだ?
母にそのまま聞いてみた。
答えはこうだ。
「色々渡し合うの楽しいじゃない。渡したくなるじゃない。」

やりたい人でやればいいじゃない。

そう思うのは私だけだろうか。
なぜ、なぜそんなにもKさんの希望を聞いてあげないのだろうか。
不思議でならない。
女のグループの恐ろしさここにあり。

きっと今に始まったことじゃないだろう。
ちょっとづつ、Kさんだって前から口にしていたのを
みんな真剣に受け取らなかったんだろう。
それがここにきて、本当に嫌になったんだきっと。
辞めたい背景にどんな理由があるかはわからないじゃないか。

贈り物って、want toからhave toになった瞬間、やめたくなるものだ。
誕生日プレゼントだって、お土産だって、マストじゃない。
あ、これあの子にいいかも。ちょうど誕生日近いし。
ってちょっとしたものを贈る、私はそういうのが嬉しい。
またこれも人によって考えは様々かな。

お歳暮はまた話が違うのかもしれないけど、
毎年何を贈ろうって考えるのも、憂鬱にもなるよな。ましてやこんなに頻繁に会っている仲で。
なんて考える。

母は私には強気なことは言っていない。
でも、Sさんと話し始めるやいなや、Sさんサイドに磁石のようにピッタリだ。
電話を切ったあと、ため息をつく母に言った。
「個別に付き合いなよ」と。
グループでいると、個別の行動が非難されるとでも思っているのだろうか。

SさんはKさんとは付き合いたくないならそれでいい。
なぜ母もそれに乗っかるんだ。
一度はKさんの辞めたいという気持ちを受け入れて賛同していたじゃないか。
母だけでもKさんとちゃんと話をしたらいいじゃないか。
又聞きの話だけで判断されたKさんがあまりにも気の毒じゃないか。
それこそ長年の付き合いはどこに行ったんだ。
お歳暮よりも大事なことではないか。
母が見るべきは、月を指す指ではなく、月だ

変化は小さなうちから気づいとけ。
気付いたなら放置するな。
自分の為にも他の為にも。
執着するな、Let it be だ。


と、自分にも言い聞かす。

まるちゃんの父ならきっとこう言うだろう。
女はいくつになってもめんどくせえなぁ。

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