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恵方巻に頼る
母には一人になりたい時間がある。
「お母さん戦おう?」「お母さんこっちに来て」「今日のご飯は何?」
本を読んでいても隣からこんな声がどんどん飛んでくる。
まるでページが進まないじゃないか!
本来かわいいはずの子供達の声を鬱陶しく感じてしまうのも、なんだか嫌な気分だ。
だからと言って、しゃべらないで!とも言えない。
トイレにこもることもできるが、結局トイレの外から話しかけられる。
「お母さん今お仕事中だから」とか
シンプルに「ちょっと待って」は子供達には効かない。
ちょっとでいいから、一回静かにしてほしい。
しゃべるのをちょっとストップしてほしい。
話しかけないでそっとしといてほしい。
そんな私の願いを叶えたのは、他でもない恵方巻だった。
「恵方巻は黙って食べる。じゃないと願い事は叶わない。」
そう私の母から教わった息子は昨日、私が恵方巻を食べている際中に
話しかけてきたが、間もなく母に止められた。
「今お話ししちゃだめよ。お母さん恵方巻食べてるから。」と。
すると息子はすんなりと言うことを聞いて、おしゃべりを止めて、他の事を始めた。
なんと、子供が近くにいながらも、トイレにこもる必要もなく、
静かな時間を過ごせるではないか!
ゆっくり食べれば大体5分くらいだろうか。
もっと静かにしてほしければ、10分だってきっと可能だ。
黙ってほしけりゃ、恵方巻を食べよ。
あ~もう、うるさ~い!!!
と叫びそうになったら、恵方巻を食べよ。
恵方巻がなければ、太めの海苔巻きをササっと作って食べよ。
そうすればそれを見た子供たちは、
「あ、お母さん今願い事言っているんだ。」と思って静かにしてくれるだろう。
節分だけじゃなく、1年365日、叫びそうになる時はやってみよう。
ちなみに昨日はみんながリビングでくつろぐ中、
息子は私の母が作った恵方巻きを一人窓に向かって静かに黙々と食べていた。
私が近づくと、「もう食べれない。5万円が175万円になるようにお願い…あ!言っちゃった!」と言って、再び食べ掛けの恵方巻を口に運び、
一人窓に向かって静かに食べ始めた。
厳密に決まりを守る息子。
若干6歳のその後ろ姿には、何とも言えないシュールさが溢れていた。