【まとめ記事】感覚調整機能
これまで自閉スペクトラム症のお子さんに見られる、感覚の調整機能について記事にしてました。まだ見てないよーって方は、参考にしてみてくださいね。
私たちは、毎日いろいろな感覚を感じて生活しています。ドリルで壁に穴を開ける音を聞いたり、スマホでユーチューブを見たり、牛乳をコップに移す時、こぼれないようにそーっと注ぐ感覚、などなど挙げ始めたらきりがないですね。
過反応(感覚過敏・感覚回避)
パソコンのキーボードで文字を打ち込んでいる時には、頭の中で『どんな感じで表現したら、読んでいる人が分かりやすくなるかなぁー???もっと簡単な言葉で・・・』なんてことを考えているわけです。
そんな時に『シャツの袖が固くて、気になって仕方ない』とか、『誰かが階段を上がってくる音がして気になりすぎる』なんてことは考えつきません。
しかし、感覚に特性のあるお子さんは、この感覚が鋭すぎて気になりすぎるということがありましたよね(感覚過敏)
また、注意のコントロールが難しかったり(シングルフォーカス)、感覚情報の意味が分からなかったりすることで、不安になったり、さらに不安が強くなることで感覚過敏がより強くなることを記事にしたかと思います。
感覚過敏がある場合には、まずは安心して生活できる環境を提供することが第一ですね。身の回りが危険だらけだと常に【逃げるか、戦うか】判断をし続けなければいけません。どこにいても疲れるでしょう。
余裕が出てきたときに、分かる事柄を身に着けたり、できる事柄を1つ1つ増やしていくことで、感覚の過敏さに対する調整ができていくといいですね。
低反応(低登録)
感覚過敏とは反対に、ほかの人に何かされても気づきにくいという特性もありましたね。
『〇〇くーん、ねぇねぇ、〇〇くん!〇〇くんってば!』名前を何回も呼ばないと聞いてもらえない。
聴覚の低登録があれば、こんなこともあるかもしれませんね。
もちろん、感覚への反応の乏しさだけでなく、注意の面も関係してきますので合わせて確認が必要ですね(シングルフォーカス)
低反応への対策については、『感覚刺激には意味があるよー』っていうことを学習することが必要でしたね。
自閉スペクトラム症のお子さんは元々、人の声には注意が向きにくいという特徴があります。『人と関わると、こんな楽しいことがあって、こんな便利で、こんな快適なことがあるよー』っていうことがわかると、自然と人への注意が向きますよね。
感覚探求
私たちでも喉が渇いたなーって思えば、お茶や水、コーヒーを飲みますし、長時間のパソコン作業の後には背伸びをしたくなります。感覚探求行動は、この状態が過剰になっていると考えられます。
体を動かすことが好きなお子さんは、椅子にじっと座っていることが難しいでしょうし、好きな音楽があればずっと聞いていたいと思うでしょう。
基本的には、感覚を満たしてあげて、落ち着いたところで必要な支援を導入することが大切でしたね。
しかし、自閉スペクトラム症のお子さんは、終わりが分からないことでパニックになることもあります。感覚を満たしてあげるときには、その遊びがいつ終わるのか?終わったら何をするのか?を明確にしておくことも重要です。
感覚特性の確認
うちの子は感覚に偏りがあるのかしら?やっぱり気になる!という時には、簡便に利用できるチェックシートがあります。こちらを参考にしてみてはいかがでしょう?
感覚の偏りがあるとなった時に、私たちは『偏り』と聞くと、どうしてもネガティブなイメージを思い浮かべてしまいます。
他のお子さんよりもずば抜けた才能を示すのも、『偏り』がなせる技と理解することができます。
何か決断を迫られたときに、考えを変えないことを、『自分の芯を持っている』と捉えるのか、『融通が利かない』と捉えるのか考え方によりますよね。
感覚特性を理解することで、前向きにお子さんを捉えなおせると良いですね。
まとめ
これまでの過反応、低反応、感覚探求についてまとめてみました。
どの感覚調整障害においても言えることは、【大人が子どもの感覚特性を理解して、共感的姿勢であること】、【安心させてあげること】、【分かること、できることを増やすこと】が感覚特性をコントロールする第一歩ですね。
さて、これらの感覚調整障害が、お子さんの運動機能にどのようにかかわっているのか。脳に入ってくる感覚に偏りがあることで、どのような運動機能の苦手さ、不器用さにつながるのかを、次回からみていきましょう。