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会話のルールはこの4つをみる

新入社員→
「先輩!ライバル社が、あの土地を購入して、新しく会社を立てているらしいっすよ!」
先輩→
「マジか!それは確かな情報なのか!?」
新入社員→
「いや、僕も聞いた話なんすけどね。あの報告書はいつもの棚の中に入れてありますよ。先輩」
先輩→
「お、おう。ありがとう。それでその情報は・・・。」
新入社員→
「いやーそれが、いつものカフェでコーヒーを飲みながら、報告書をまとめていた時なんすよ。隣に座った女の子が、別の男性と話しているのが聞こえてきてですね。なにやら男性の会社が結構大きい印象だったもんで、報告書の手を止めて聞き入ってしまったんです。そしたら・・・」
先輩→
「お前の話、分かりにきぃ!!」

 私たちは家や会社で生活を送っていると、色んな人と会話をすることがあります。上のような会社での会話も、その一つでしょう。
 家にいると「今夜の晩御飯は何にする?」「日曜日って何かある?」
外食に行くと「ご注文は何になさいますか?」「3,450円になります」
人は誰かと一緒にいる限り、まるで呼吸をするかのように、言葉でのやり取りをするでしょう。

このように私たちは日々の中で、色んな人と会話をしますが
そのほとんどが食い違うことがなくスムーズに
やり取りをすることが出来ます。
それは私たちが『協調の原理』と言われる会話のルールを
自然と身に着けているからです。

協調の原理

協調の原理(ポールグライス)
社会科学、特に言語学の分野において人々が一般的な状況において会話をする際に目的・会話の方向を考慮に入れて会話を行っているという理論である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%94%E8%AA%BF%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86
出展:httpsuxdaystokyo.comarticlesglossarycooperative_principle


 簡単に言うと、スムーズに会話をするために、無意識にみんなが守っている決まり事やルールのことですね。
その4つを見てみましょう。

質の公準

 話す人は、聞いている人に本当のことを伝えましょう。
嘘や紛らわしいこと、定かでないことは話してはいけませんよと言うルールです。
ここで大切なことは、自分の知識にない事は『分かりません』と言えることです。明確に意思を表す事においては、嘘ではなく正しい事実になります。

しかし、真実ばかりを話すことはできないので、質の公準違反を回避するために、私たちは『たぶん』や『〜かもしれない』という言葉を付けます。

関連性の公準

 話す人は、話題に沿った話をしましょう。自分勝手に話題を変える
ことは、いけませんよと言うルールです。
しかし、私たちの日常会話をよく見てみると、コロコロと話のテーマは変わっていくものです。
 テストの話をしていたかと思うと、急に恋愛の話になったり、またテストの話題になったり、目まぐるしい。
 急に話題を変えるのは関連性の公準違反になりますが、間に『ところで』や『話は変わるけど』、『…ってかたい、あれはどぎゃん?(熊本弁)』などの言い方をする事で、違反を回避する事はよくあります。

量の公準

太郎の車は慣れない道を長時間走り、ガス欠寸前です。
そこに地元の人と思われる花子が通ります。

太郎『ガソリンスタンドはどこにありますか?』
花子『熊本市にありますよ。』

 確かに、花子は太郎の質問に、本当の事を伝えているし、関連のある事を伝えています。質の公準にも、関連性の公準にも、どちらにも違反していません。しかし、明らかに太郎が知りたがっている事には、情報の量が足りません

 このように話す人は、聞いている人が求めている情報に合った量を話をしましょう。情報量が多くなると思われた場合(量の公準違反)には『もしかしたら知っているかもしれないけど』などを文頭に付けると回避できるでしょう。

様態の公準

二郎『桃太郎の話って時代によって話が変化しているんだって。最近聞かないから、どんなだったっけ?』
マリ『んーと、桃太郎は桃から生まれるんでしょ。そして鬼を退治するんだよ。鬼ヶ島にいくんだよね、その途中で、きび団子をあげて、3匹の動物を仲間にするんだけど・・・』
二郎『ん?ん?3匹同時に仲間になるんだっけ?』

出来事やストーリー、約束などを説明する時
私たちは時間を追って、順序良く話したり、要約したりしながら
聞いている人が理解しやすく話します。このことを様態の公準と言います。

この様態の公準を違反しそうな時は
『うまく説明できないんですけど』『なんと言ったら良いものか』などを
文頭につけることで、様態の公準違反を回避することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
私たちが日々の中で話をするときに、無意識にこのようなルールを
守りながら話をしています。どの公準をとっても、話の聞き手に対する心遣いであることが、分かっていただけたと思います。

4つの公準に従っているだけでは、私たちの会話は無味乾燥なものになります。他者とつながるためには、時にはあいまいな表現も必要です。
そんな時には『たぶん』や『ところで』など回避表現をうまく使いながら
聞き手に優しい会話をしたいものですね。

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