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障がい受容なんてできない...?(後編)

 これまで前編や中編で、母親の障がい受容の方略や、障がい児を育てる母親の強みについて記事にしてきました。

 もちろん、皆さんもお分かりの通り、障がいを持ったお子さんを育てるのは母親だけではありません。母親だけでは限界があります。父親や障がい児の兄弟、または祖父母、叔父・叔母といった家族全体で子育てを行っていくのは言うまでもないでしょう。
 そこで『家族レジリエンス』という概念が重要になってきます。

家族レジリエンス

 家族が危機的状況の中で、開かれたコミュニケーションにより、感情や情報を共有し、家族の相互理解を促進させる。そして、家族メンバー間や周囲の人々との関係を再組織化し、対処行動を変化させ家族内外の資源を活用し、家族の日常を維持するために家族機能を再構築し、家族が成長していくプロセス
発達障がい児とその家族の支援―家族レジリエンスの視点から―

 ここで言う『危機的状況』とは、発達障がいのお子さんを授かったものの、一般的な育児では上手くいかず、どのように子育てを進めていくと良いのか、母親だけでなく家族全体で混乱していることを指すのでしょう。

 また『レジリエンス』とは、一般的にしなやかさや、回復力の事を表し、困難な問題や状況、ストレスといった要素に遭遇しても、すぐに立ち直ることを言います。

関係性に着目する

 障がいを持ったお子さんと両親の関係、夫婦同士の関係、または兄弟との関係に着目します。

 たとえば、父親の仕事が忙しく、家庭内の状況が把握できていないという状況や、母親が父親に頼ることを辞め外部資源に依存している状況が相互に絡み合ってくると、子育てにおける家族レジリエンスに影響します。

家族間の認知・感情のずれに対処する

 診断前から子どもの違和感に気づき不安を抱え、診断時にはショックを受けながらも違和感の正体に気づき安堵することも多い母親と、診断時に初めて障がいの可能性に気づき、否定的感情に苛まれることの多い父親という構図が生じやすいと言われます。

 どちらか一方に家族支援を施すことは、関係性の崩れを招く恐れがあります。家族それぞれの障がいに対する捉え方を把握し、知識や感情を統一していけるように支援することが大切でしょう。

長期化する課題に立ち向かう力を手に入れる

 障がい児の育児に関するストレスは逓減してくと言われていますが、将来の不安については長期間持続します。そこで、この家族レジリエンスが大切であり、問題へ立ち向かう力になるのではないでしょうか。

まとめ

 障がい児の子育ては、一般的なものでは上手くいかないことが必ず出てきて、不安になることがよくあります。正常に発達し、日常を何気なく過ごしている私たちには想像もつきません。

 人は原因が分からないものに直面したときに最もストレスが生じます。
そんな時に、家族が団結することで、育児に関するストレスが分散されます。家族全員が笑顔で、子どもと向き合え、子どもがより成長していけると良いですね。

引用・参考論文

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