【発達支援】練習って具体的にどう考えるの?
日常的に不器用さがあり、上手くボタンが留めることが出来なかったり、ボールが狙ったところに投げれなかったり、字を書くと枠からはみ出してしまったり、困っているお子さん方がいらっしゃいます。
これらについて、これまで発達性協調運動症(DCD)について記事をまとめてきました。
発達性協調運動症とは?
発達性協調運動症の診断基準や検査とは?
科学的に根拠のある評価と練習方法とは?
今回は、これらの苦手感を学校で抱えていらっしゃるお子さんに実際にアプローチしている研究について記事にしたいと思います。
今回紹介する論文は、実際に診断名が付いているわけではなく、限局性学習症(SLD:Specific Learning Disorder)の疑いのあるお子さんが対象となっています。
検査
子どもの行動チャックリスト(CBCL:Child Behavior Checklist)
保護者用/教師用日本版感覚プロファイル(SP-J)
臨床観察
検査結果
上の検査を行った結果が下のようになっています。
『外向尺度』と『微細運動・知覚』が気になるところですが、全体としては、チェックリストでは正常域か・・・。
参考までに
子どもの行動チャックリスト(CBCL)はとても便利な検査で、本来はASEBA (Achenbach System of Empirically Based Assessment)という検査になります。
検査を受ける対象者が、環境に対する心の状態を表す検査であり、対象年齢は幼児を対象としたもの、学齢児を対象としたもの、青年後期から成人を対象としたものの3つに分かれています。
検査は質問紙法となっており、対象者自身が記入するもの(YSR:Youth Self Report)、親が記入するもの(CBCL: Child Behavior Checklist)、教師が記入するもの(TRF: Teacher’s Rating Form)の3つに分かれています。
検査の結果については、8つの項目(ひきこもり、身体的訴え、不安抑うつ、社会性の問題、思考の問題、注意の問題、攻撃的行動と非行的行動)と2つのグループ(内向尺度、外向尺度)で表されます。
アプローチ方法
また臨床観察でも、病的反射や姿勢の崩れやすさ、感覚探求行動などがあり、それらがお子さんの学習に対する著しい困難感へとつながっていることが分かりました。
それらの特性について図にすると、下の相関図のようになり、お子さんや保護者、教師に対して、図の右の①~⑨の支援を行いました。
実際の変化
全部で7回(8ヶ月間)の介入で、このように変化がありました。
全体的にノートの使い方がきれいになり、枠からはみ出して書いていた文字が、枠内に収めることが出来るようになりましたね。
(8ヶ月間でこれは凄い・・・。)
こんなにも変化が起きるものなんですね。
ただし、子どもの行動チェックリスト(教師用)での前後比較では、外向尺度が正常域→臨床域となり、総合では正常域→境界域となっているそうです。
お子さんに様々な環境の変化があったのですが、詳しくは下の引用文献を見てください。
まとめ
今回は発達や学習に困難さを抱えたお子さんへのアプローチについて紹介しました。
通常学級に在籍しているお子さんですが、感覚特性があることで、こんなにも教科学習への困難感が生じるんですね。
また教科学習だけでなく、社会的な適応状態が保てなくなりのが分かりました。
細かいところまで評価し、1つ1つ丁寧に対応することが専門家として求められていることだと分かります。
お子さんの特性に応じた支援と環境調整、関係者同士の情報共有など、日々の臨床に大きな気づきとなりました。
引用・参考文献
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