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『わかりません』をいうための方法

サキヨミ

  • 「わかりません」は、この流れで理解する。

  • 私たちの「?」に注目する。

  • 具体的なポイントは2つ(気遣いと練習)

私たちは、毎日何気なく誰かとお話ししています。
 ・家で妻や夫と週末のお出かけ先の話。
 ・職場の上司や同僚と仕事の話。
 ・学校の友達と最近あった出来事の話。
 ・親友とこれからの人生についての話

 慣れ親しんだ人との会話の中では、相手の性格や考え方、生活のイメージなど知っている分、「わからない」と感じる事も少ないですが、やはり、ふと理解できない時があります。

そんな時、あなたはどのようにして「わかりません」を伝えますか?

 ・大学の教授と論文についての話
 ・職場の社長や会長と仕事の改善の話
 ・議員さんと街の活性化についての話

 そんなに親しくない人と話すときには、相手の話に十分注意を向けるため、話の筋道はわかるでしょう。しかし、やはり理解できないことは出てきます。

そんな時、あなたはどのようにして「わかりません」を伝えますか?

 発達に特性のあるお子さんは、集団の中で、何か指示を出された時、この「わかりません」を言えない事が、特に多い傾向にあります。
 授業中、しっかり椅子に座っており、ノートも開いて鉛筆を持って、顔も黒板に向いている。
 先生側から見ると、『おっ、授業にしっかり参加しているな』と判断しそうな気がしますが、実はお子さんの頭の中では情報が大渋滞していることがあります。

『分からない』と感じるまでの流れ

 私たちが「わからない」と感じ、それをどのように相手に伝えるのか、少し細かく見て見ましょう。

  1. 相手が自分に何かメッセージを伝える。

  2. 自分に何か予測のつかないことが起きる。(※)

  3. 相手の話が止まるタイミングを見極める。

  4. 相手の話のどこが分からないかを整理する。

  5. 質問をするために、話す内容や順番を組み立てる。

  6. 話す言葉を選ぶ。

  7. 分からない内容を相手に伝える。

 このような流れで、相手に「わかりません」を伝えて、自分の理解を深めるということを、私たちは行っています。
 大切なのは「2.自分に何か予測のつかないことが起きる。」部分になります。
 具体的には「何か分からない」ことが起きると思ってください。

何か分からないこと

  • 相手が言っている言葉の意味が分からない。
    「些少ですが収めてください」→「些少?」

  • 相手が置かれている状況が分からない。
    「私は思わず、とびのったんだよね」→「とびのった?どこに?」

  • 相手の気持ちが分からない。
    「悲しすぎて笑えてきた」→「悲しいのに、笑うの?」

  • 相手が言っている言語が分からない。
    「연필을 복용」→「は?」

  • 相手が言った事を覚えられなく分からない。
    「2番目の部屋に入って、奥の戸棚の、上から3番目にあるコーヒーカップと煎餅を持ってきて」→「部屋のコーヒーと・・・?」

  • 不注意で聞き逃して分からない。
    「・・・は、せずに、十分な休憩を取ってください」→「なんだっけ?」

  • 相手が言っている、言葉の裏が分からない。
    「ゴミを出さないなんてないよねぇ」→「出さないの?」

  • 相手の話を具体例を考えたり、抽象的にまとめられない。
    「防災グッズの準備をお願いします」→「なんだっけ?」

 このように、私たちは相手との会話の中で、予測にないことが起きると、そのたびに、相手に説明をお願いするようにコミュニケーションを取ります。
 しかし、発達に特性をもつお子さんの場合、予測にないことが起きると対処ができません。

 また、話し言葉というものは、文字や絵と違い、聞いたその場から頭から消えていってしまいます。『分からない』を伝える流れの2〜7を考えている間に、相手の話はどんどん進んでいって、結局、何を伝えるのか分からなくなってしまいます。
その結果、頭の中が大渋滞になってしまいます。

「分からない」を表現できる工夫

 では、どのように「分からない」を表現したらいいでしょう。そのポイントをまとめてみました。

  • 話す人が、聞いている人に、理解度の確認を適度にとる。
    話す人が、聞いているお子さんに特性があると分かっている場合には、適度に理解度を確認しましょう。その時点で「分からない」を表現する機会を設けましょう。

  • 「ちょっと待って」カード、「わかりません」カードの利用
    特性のあるお子さん自身が、カードを利用して「わかりません」を表現できるようにしましょう。しかし、カードを利用するには、小さい集団でまずは練習が必要になります。

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