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【最新版】発達障がいを見決める5つのポイント

 この記事では、医師がどのようにして発達障がいの診断をするのか、アメリカ精神医学会を基準にして解説していきたいと思います。

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 私たちが何かをする時は、今まで出ている参考になるものをみて決めますよね。他の人へのプレゼントと思うと、やっぱり失敗したくなくて、より詳しく調べる事でしょう。

 医師が、日常生活やコミュニケーションに困難さを抱えている、お子さんの診断に関わる場合、DSM-5もしくはICD-10を参考にして、診断をしています。

DSM-5

DSM-5とは、正式には『精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版』の略した名称になります。
 アメリカ精神医学会が作成したもので、1952年に初版が出てから、7回の改訂があり、現在が8番目なんですね。原本は英語ですが、日本語版(用語翻訳ガイドライン)も論文で出ていますので、参考までに掲載します。

 引用出展元:日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会

 DSM-5で扱うカテゴリーは19の領域があり、どれも精神疾患の診断を行うためのガイドラインを記載したものになります。日本では「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」と訳されており、医師が診断する際に参考にしています。
 その中でも、以前まで広汎性発達障害(PDD:Pervasive Developmental Disorder)と言われてきたものは、一部の疾患を除き、自閉スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)という名称になり、神経発達症群/神経発達障害群というものに含まれるようになりました。

自閉症スペクトラム障害(神経発達症群/神経発達障害群)

次のA~Eの基準を全て満たす必要あります。

A.複数の状況で、社会的コミュニケーションおよび、対人的相互反応における持続的欠陥があること
 1.社会的・情緒的な相互関係の障害。
 2.他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)の障害。
 3.年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害。

B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
 1.常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方。
 2.同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン。
 3.集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある。
 4.感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心。

C.発達早期から1,2の症状が存在していること

D.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

E.これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html
https://esdiscovery.jp/griffin/psycho01/dsm5_09.html

1.複数の状況とは、家庭だけでなく、幼稚園や保育園、公園、じぃじばぁばの家など2か所以上で、コミュニケーションの困難さが、一定期間だけではなく、ずっと生じているということになります。
ここでいうコミュニケーションは、言葉を使ったものだけじゃなく、言葉を使わない表情や動作も含みます。
 熱湯風呂の上で『押すなよ!押すなよ!絶対に押すなよ!』と言っている芸人さんがいます。言葉の通り受け取ると、押さないことが正解になりますが、私たちはそんな事を言われても、押してしまいます。これは芸人さんが、本当は押してほしい事が分かるからです。
 このように言葉通りに受け取るのではなく、その背景にあるものまで汲み取りコミュニケーションを行うことを、『社会的コミュニケーション』と言われます。また、静かにしなければいけない場所では小声で話したり、状況に応じて自分の行為を変化させることも大切になるでしょう。

2.あるキャラクターが好きで、それでばかり遊んでしまう。トイレは和式では無理で、絶対に洋式でないとできない。など他のやり方や遊び方になってしまうと、パニックになるほど心が乱されてしまいます。また、『たかいたかい』が好きすぎて、それでしか人と関われないなど、感覚の感じ方の複雑さにも表れます。

3.発達早期からとは、概ね2歳くらいを指しているようです。

4.1や2の症状があるだけでは診断が確定することはありません。1や2が元になって、お友達ができない、学校生活が送れない、お仕事ができないなど、2次的に影響を及ぼしていることが必要になります。

5.更に1~4の状態が、知的な発達の遅れや成長全体の遅れが原因ではないことが前提になります。

追加された事

 DSM-5から大切な事が付け加えられました。
DSM-Ⅳ-TRまでは、注意欠如多動症が合併していると、ASDの診断がつけられなかったのですが、今回から合併していてもつけられるようになりました。

まとめ

 今回は、医師がどのようにして診断をしているのかを、DSM-5の基準に合わせてまとめてみました。
 ただ、私たちは診断をするのではなく、子どもの成長を親御さんと一緒に見守るのがお仕事です。子どもの成長の中で親が気づける事としては、どのような場所で、誰と、どのようコミュニケーションをとっているのか、また家以外で困っていることはないのか?をよく観察することが大切です。万が一、成長がゆっくりなお子さんでも早期療育に繋げていけると良いですね。

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