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道程

僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄(きはく)を僕に充(み)たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため

       『道程』  高村光太郎

完璧な言葉。
完璧な音。
高村光太郎の詩は何故ここまで心に響くのだろう。

この詩を紹介する以上どうしても共に伝えたい絵がある。

《道》1950(昭和25)年制作・東山魁夷 42歳
紙本・彩色 134.4cm×102.2cm/
東京国立近代美術館蔵

とても有名な日本画なので是非検索してご覧になって頂きたい。

私はどちらの作品にも、同じ時期に触れることが出来た。
だからこそ、
この「道」の持つ力を言葉にすると「道程」となり
「道程」が放つ風景を描くなら「道」しかありえない。
そう思っている。

ひとすじの野原の道以外、何も描きたくなかったと述べる
画家の心情が胸を打つ。
僕に後ろに道は出来ると言い切る眼差しの
なんと力強いことか。

これ以上語る術を私は持たない。
道は続くのだ。
人が、進もうとする限り。



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