政治の世界は金で動く?~仮想通貨の法整備が進まない日本~
こんにちは!
今回のテーマは、
「 なぜ仮想通貨の法整備が日本で進まないのか」
について解説をさせていただきます。
2018年6月25日参議院予算委員会にて、維新の党の藤巻議員が「仮想通貨の税制を緩和したらどうか」という趣旨の質問に対して、麻生財務大臣はこう回答しました。
「汗もかいていない儲けを優遇するのは、国民感情的にどうか」
インターネット上では仮想通貨投資家からこの発言に対して、「こっちは毎日脳みそに汗をかいている」などの反論が多く見受けられました。
また、この時に麻生大臣は「ブロックチェーン技術の育成に関しては日本が一番進んでいる」という趣旨の的外れな発言もあったため、今後の仮想通貨における税制改正は期待できないという意見が広がりました。(麻生大臣に仮想通貨における理解が皆無)
では、なぜ日本は仮想通貨の税改正が進まず、政府の後押しも弱いのでしょうか。
実は新聞などでは語られない政治内部の「金」動きがあるのです。
①仮想通貨税制の現状
現在、仮想通貨の税金は日本では「雑所得」に分類されています。
そして、その雑所得の税率は以下のようになっています。
これに住民税もプラスで払うことになりますので、最大55%もの税金を支払うことになります。
FXや株などは証券会社の特定口座を利用していれば、租税特別措置法によって特例的に税率が約20%に軽減される上に、損失を翌年以後3年間にわたって繰り越しできます。
今回の参議院予算委員会での藤巻議員の発言は、この差について追求したものでありました。
②なぜ仮想通貨の法整備は進まないのか
これには2つの原因が考えられます。
◆国民感情がまだ仮想通貨に対して寛容ではない
◆仮想通貨取り扱い業者の政党献金が少ない
1つ目の原因は皆さんもなんとなく感じるところだとは思いますが、実は政界では2つ目の
「政党献金」
の方が大きな要因となっているのです。
③国民感情を揺るがした「コインチェックの仮想通貨不正流出問題」
2018年1月26日に仮想通貨交換業者の「コインチェック」が仮想通貨「NEM(ネム)」が不正流出したことを公表しました。
それまで、人気芸能人の出川哲朗氏をCMに起用し、多くの反響を呼んでいましたが、この事件以来CMから仮想通貨を知ることはほとんどなくなりました。
もともと仮想通貨には、安全性を心配する声が多く上がっていた中での事件であったため、多くの国民が仮想通貨に対しての信頼をなくしたものと思われます。
またこの事件により、政府側も「あれだけ大きな仮想通貨被害を出した国」というレッテルを貼られることとなったため、仮想通貨に対しての動きはかなり慎重なものになってしまいました。
④「政治献金」とは
2つ目の原因に入る前に、政治献金とは何か簡単に解説します。
そもそも、政治家が活動する資金源には、国民からの税金の他に、政治献金資金があります。
この2つがあることで、議員は選挙などを行うことができるのです。
そして、政治献金は大きく分けて2つあります。
◯企業・団体献金:企業が行う献金。政党・政治資金管理団体のみ支払い可能。上限は750〜1億円。
◯個人献金:個人が行う献金。政治家個人に支払うことができ、上限は150万円。
この資金は政党の政治活動費となるため、政党にとっては非常に大切な役割を果たすものとなります。
⑤仮想通貨取り扱い業者による「政治献金」が少ない
2つ目の理由で挙げた「仮想通貨取り扱い業者による「政治献金」が少ない」ですが、実はこれが仮想通貨の規制緩和が進まない大きな理由でもあります。
仮想通貨交換業に興味を示し、ビジネスとして行っている多くの企業の起業家には若手の割合がかなり多くなっています。
現在の潮流でもあるのですが、若手の起業家は政治に対して無関心な人が多いため、政党への献金などを積極的に行わないトレンドにあります。若手の起業家ほど政治と経済の結びつきに関して理解が浅く、経済における政治の役割を軽視しがちです。(これは私が実際に永田町で働いていた経験から語っています)
もちろん、献金をたくさんすることにより、政治がその通りに動くことはいけないのですが、政治家も人間です。頂いたものに関しては、無意識に恩義を感じてしまうものなのです。
そして、その無意識に感じている恩義が少なからず、議員の感情を変えたり、企業や業界に対しての意識を変えることになるでしょう。
実際に国会議員の元に陳情に訪れる企業のほとんどは、日本人なら誰でも知っているような企業から部長、役員クラスの方々です。そしてそのクラスの人間が毎週のように陳情に訪れるのです。
政治献金により政治が動く。これは日本だけではなく、世界先進国も同じ仕組みとなっています。
アメリカ、ドイツでは政治献金に上限が設けられていません。
(政治資金管理団体の献金にのみ上限が設けられていないということです。)
また、アメリカでは企業や個人が支持政党を明らかにすることは一般的であり、スターバックスの創業者やフェイスブックの創業者も民主党の支持を表明しています。また共和党の支持層には世界一の資産家コーク兄弟が支持を明言しており、実際に副大統領ペンス氏の選挙の際には、弟のデビット氏が30万ドルもの寄付を行っていました。
日本では企業社長が支持政党を表明することはほとんどなく、触れてはいけないタブーのように扱われていますが、世界のトレンドとは乖離していることを理解ください。
⑥最後に
もちろん、このような話は裏の話となり憶測の話でしかないため、メディアには取り上げられません。
しかし、実際には「政治献金」が与える影響があることは事実です。
そうなると、長い付き合いのある企業が不利になるような政策を簡単に打つことはできません。
これにより、推測ではありますが、政治献金を行わない仮想通貨業者に有利な政策を打つことで、長い付き合いのある銀行系を、危機に陥らせる政策は取りづらくなると考えられます。
現状はこの流れが、大きく変わることは期待ができないため、今後も日本の仮想通貨を取り巻く環境は大きく変わらないのではないかと思われます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
この記事が役に立ったと感じられたら、ぜひいいね、サポートを頂ければ幸いです。これからの執筆の励みになります!
Akiyoshi.T
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?