刑法犯総数の認知件数増加。一方、「東京で現金を落としても半分以上戻る」状況―景気の予告信号灯としての身近なデータ(2023年4月11日)―
刑法犯総数の認知件数、23年1~2月は+22.9%の大幅増加
景気の動きを敏感に反映する、身近な社会データは、明暗入り混じっている状況で、景気の基調判断が「足踏み状態」にあると判断されていることと整合的だと思います。
犯罪統計などでは芳しくない動きがみられます。刑法犯総数の認知件数は、21年も56.8万件と前年比▲7.5%減少でしたが、22年は前年比+5.9%の増加に転じました。組織的な強盗のニュースが多く報じられた感がある23年1~2月は+22.9%の大幅増加になりました。
また、自殺者数の前年同月比は21年7月~22年4月まで10カ月連続して減少でしたが、22年5月~23年2月では10カ月連続増加になりました。これも暗いデ―タです。
22年に増加した金融機関の店舗強盗件数、23年は2月までで1件にとどまる
暗い中にも明るい兆しが見えるデータもあります。金融機関の店舗強盗件数は22年では17件になり、15年以来7年ぶりの前年比増加となりました。しかし、23年1~2月は1件で、前年同期の4件を下回っています。23年に入ってからは明るさが出てきました。
遺失届現金に対する拾得届現金の比率10年連続改善で22年は57.5%
警視庁「遺失物取扱状況」によると、22年の遺失届現金は、69.5億円。19年の84.4兆円をピークとして、新型コロナウイルスの影響で、20年61.1億円、21年60.3億円と減少しましたが、22年に戻りました。22年の拾得届現金は、40.0億円になりました。20年33.1億円、21年33.8億円と落ち込んだが、22年はコロナ前の19年38.8億円を上回りました。なお、このデータは年に一度の公表で、22年分は23年3月に発表されました。
遺失届現金に対する拾得届現金の比率は12年までは30%台でしたが、長期間の景気拡張局面があったこともあり、13年41.4%から22年の57.5%まで、10年連続で改善しました。「東京でお金を落としても、半分以上戻ってくる」という明るいデータもあります。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。