鉱工業生産指数は6月20日発表の4月確報値から2020年基準に。5月商業販売額・小売業の前年同月比は4月+5.1%を若干下回るか。―日本の主要経済指標予測(2023年6月20日)―
5月の鉱工業生産指数(速報値)は4カ月ぶり前月比低下を予測(6月30日発表)
5月31日に発表された4月・鉱工業生産指数・速報値は前月比▲0.4%と、半導体製造装置などの生産用機械工業が低下したことなどから3カ月ぶりの低下になりました。生産は全15業種のうち5業種で下落となりました。韓国、中国、米国向けの輸出が減少した半導体製造装置などの生産用機械工業の生産は▲7.4%の低下になりました。
6月20日に発表された4月・鉱工業生産指数・確報値から2015年基準から2020年基準に変更になり、過去の数字が変更になりました。4月の前月比は+0.7%の上昇で3カ月連続の上昇になりました。速報値の低下から、上方修正されたと言えるでしょう。
5月の鉱工業生産指数(速報値)の前月比は▲1.8%程度と、4カ月ぶりの低下になると予測しました。また、5月の前年同月比は+4.2%程度と7カ月ぶりの上昇になると予測しました。
製造工業生産予測指数の5月は前月比+1.9%の増加見込みです。しかし、過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、5月の前月比は先行き試算値最頻値で▲2.6%の低下になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲4.4%~▲0.8%になっています。
5月の財務省貿易統計で輸出金額の前月比は▲3.1%になりました。日銀の輸出物価指数の5月の前月比は+1.7%です。5月の日銀の実質輸出の前月比は▲3.5%になりました。
一方、景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は22年10月45.3、11月45.2、12月44.4、23年1月43.1、2月43.6、3月46.8、4月46.2、5月48.6と改善傾向で推移しています。このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。
5月商業販売額・小売業の前年同月比は4月+5.1%からやや鈍化するか(6月29日発表)
5月31日に発表された4月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.0%と3月確報値の+6.9%から増加率が鈍化しました。6月15日に発表された4月確報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.1%と僅かに上方修正されました。
6月29日に発表される5月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+4.8%程度と4月確報値の+5.1%から増加率がやや鈍化すると予測します。
5月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+8.3%で4月の+14.9%から6.6ポイント鈍化していることなどを参考にして、各種商品小売業・5月前年同月比は4月の+7.0%から増加率が鈍化するとみました。
一方、自動車小売業の5月前年同月比は4月の+14.8%から増加率が高まるとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の5月前年同月比は+28.4%で4月の+18.5%から増加率が高まっているからです。燃料小売業の5月の前年同月比は4月の▲2.9%から減少率がやや縮小する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、5月は▲0.9%程度と4月の▲3.1%程度から下落幅が縮小しています。
なお、景気ウォッチャー調査で4月から5月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、48.9から48.5へ若干低下しています。これらを総合的に判断し予測しました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。