第三部 その1 『ギャラリー』
ろうかをぬけると、そこは、『ギャラリー』。
『ギャラリー』には、ひとがいっぱいいた。
そのほとんどが、いや、ぜんいんがおとなで、おのおの、『ゲルテナ』のさくひんを見ている。
『ギャラリー』にあるさくひんは、おおきいのが二つ。
(大きいえ、と、ゆかにあるのは、これは…………?)
かべにかかっている「大きいえ」は、ちゃんと「え」だ。
でも、ゆかに……「かかれている?」「おかれている?」「しかれている?」さくひんは、どうなっているのか、なにでかかれているのか、さっぱりわからない。
ただ、ずかんでみた、「しんかい」のようだ、ということはわかる。
しんかいは、かんじでかくと、『深海』。
ずかんでみたから、かけるし、よめる。
(じゃあ、さきにこっちをみよう…………)
『深海の?』
「ヒトが立ち入ることは 許されない
その世界を??するため 私は
キャンバスの中に その世界を?った」
むずかしくて、よめないじもあったけれど……
(……つまり、これは、『深海』の「え」)
この「え」をみた、さいしょのかんそうは、「こわい」。
「深海」のさかな?は、おおきなくちと、「なんにもない」めで、なにかをたべようとしていて、こわい。
もういいかな……
となりのへやにいこうかな……
かべの「え」もみたかったけれども、いや、でも、こっちもなんだか、「こわい」えだ。
さっきの「こわい」とはちょっとちがうけれども、でも、これは…………「こわい」。
それは、ピアノをひいているおとこのこが、おかあさん?に、おこられている「え」。
ピアノのれんしゅうを、さぼったのかな?
それとも、さぼってないのに、おこられてる…………?
わたしのおかあさんも、おこるとこわい。
あの「え」は、なんだか、そのときのことをおもいださせてくるから、どんどん、わたしのこころも「こわい」かんじになってくる。
(いこう……)
わたしは、さっさとつぎのへやにいくことにした。
……いちおう、この「え」のタイトルだけは、みておこう。
『悪意なき??』
むずかしくて、よめないじがある…………。