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田中昭全
2020年5月17日 17:27
夕食が終わって、ぼくと祐人は部屋に戻った。一旦はそれぞれの部屋に戻ったものの、間もなく祐人がパジャマ姿でぼくの部屋にやって来た。「フミ、何してる?」 ぼくは机で、詩作の手帖を開いたままぼんやりしていた。何か新しいフレーズが出て来そうで、出て来ない。そんな時間が30分くらい続いていた。「ぼんやりしてた……」 ぼくは手帖を閉じながら祐人に言った。祐人は早速、ぼくのベッドにダイブする。「今夜
2020年5月16日 10:49
夕刻。屋敷に戻ると、さすがにみんな起きていた。昨夜はあれだけ乱痴気騒ぎしてたのに、今夜はみんなすきっとしている。いつもの日常的な夕飯だ。 ぼくと祐人も席につく。 昨夜の残り物を中心に出されているのに、盛り付け方やアレンジが違うからか、残り物には見えない。トウコさんはそういう工夫がとにかく上手なのだ。 この屋敷は人里からかなり離れているので、食材も大切に使わないといけない。庭の一角に菜園や鶏
2020年5月14日 13:13
正午を過ぎて食堂に下りたら、トウコさんがおにぎりを作っていた。「食べなさい」とふたり分を渡されたので、それをお弁当箱に詰める。「祐人と遊んで来ます。」 トウコさんはニコニコ笑いながら、塩まみれの手を振った。「いってらっしゃーい。」 ぼくの手を取り祐人が先導する。「この間の台風で倒れて、手当てしてる薔薇だけちょっと経過観察しておきたいんだ。」 薔薇園の入り口にある石積みのアーチをくぐる。
2020年5月5日 10:45
それから1時間ほどして、祐人も目を覚ました。今度こそ、ちゃんと。「フミ、おはよう……」「うん、2回目のおはよう!」 祐人はまだ眠そうな目をこすりながら、大きなあくびをしている。普段、仕事のある日はかなり早朝から働いているのに、休日ともなるとこんな感じなんだな。「とりあえず、シャワーでも浴びて来たら?」「そうする……」 祐人はよろよろと、部屋を出て行った。ぼくは足音を立てないようにそ