脱皮不全のフトアゴは温浴を避けたほうがいい理由
ネットで「フトアゴの脱皮を促すときは温浴」ということが定説となりつつありますが、レプタイルクリニックの先生からご指摘を受けましたので、備忘録としてこちらへ共有したいと思います。少しでも多くのフトアゴと飼育者様が幸せになりますように!
友人のフトアゴが、色々な箇所が脱皮不全を起こしており「むいてあげようとすると物凄い嫌がって逃げるので手伝ってくれ」と言われたので、まずは見せてもらうことになりました。
ヒゲの部分はおおよそ取れたのですが、お腹の部分は私でも手に負えないくらい分厚く固くなり黄色くなっていました。
ちなみに下痢も起こしていたので、御茶ノ水のレプタイルクリニックへ連れて行くように促しました。(※完全予約制ですので事前に必ず電話で予約しましょう)
その際先生から言われたことが衝撃的だったとのこと。
・脱皮前に温浴をするとかえって皮がくっついてしまう
・野生下では温浴などはないので、人間がかまってあげたくてやっている行為にすぎない。本当は不要
・乾燥しきってぺりぺりとめくれる脱皮が理想
・下痢は温浴の際に水を飲みすぎている為
飼い主は脱皮不全を心配して、ほぼ毎日温浴をさせてあげていました。ネットでも脱皮不全には温浴!という記事をよく見かけるので。先生曰く「ネットでなぜかそういう話が蔓延した」とのこと。
濡らしたティッシュペーパーを水槽に張り付けて説明をしてくださり「せっかく浮いてきた皮がぬれることで体に密着してしまう。脱皮不全に関しては、温浴を控えて、次の脱皮でぺりぺりとめくれるのを待ちましょう」、とのこと。ちなみに一部の皮膚をはがして顕微鏡でも診てもらったそうですが、感染症などは見られなかったそうです。
ちなみに筆者の飼育しているフトアゴの紅丸(べにまる)は温浴が大好きなので、お湯から出すと暴れて湯に戻るくらいなのですが、脱皮不全を起こしたことはないです。私もネットの情報を信じて、湯の中で脱皮の手つだいをしたことも多くあるのですが、おそらくその時に剥ききってあげていたから、大丈夫だったのかと思います。
また、温浴の際に排便をしてくれるので、ほぼ毎日入れていたのですが、温浴の際は腸が活性化して必然的に排便が促されてしまうので、未消化の状態でも出てしまうことがあるそうです。お風呂は野生下では存在し無い状況下なので、あまりよくないのかもしれないですね。
ちなみに今友人のフトアゴは絶賛脱温浴中。お腹の皮は少しずつぺりぺりと乾燥してめくれてきたらしい。下痢もこの調子で治ることを祈ります。
ということで、ネットにまかり通りつつある「脱皮には温浴」説を先生が論破してくださりました。
リクガメなどの別の爬虫類になると話は変わるのかもしれませんが、とりあえずはフトアゴの野生下を想像すると、温浴は不要のようですね。
ただ、まったく温浴しちゃだめ!と言っているわけではないとは思います。飼育されているために、野生下とは異なる人間の大股一歩程度の狭いケージに入れられているので、自分の糞で体が汚れてしまうこともあるだろうから、その場合は温浴をして体を洗ってあげて清潔を保ってあげるべきだと思うので、臨機応変に飼い主が対応してあげる必要があると思います。
「野生でのくらし」をしっかり理解してあげて、「飼育下という特別な状態であること」もしっかり理解して、両者うまいさじ加減で向き合っていく必要があると思います。
すべてのフトアゴと飼育者さんに幸ありますように!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?