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今年の映画納め「ロボット2.0」ネタバレ有り感想


はじめに


チネチッタさんでの「ザウンドレボリューション2023-24」で、大晦日の上映にラジニカーント主演「ロボット2.0」があると知って、いそいそと行ってきました。こんな年末に映画館に行くこと自体も初めて。そしてラジニ様の映画を映画館で見るのも初めて。お初ずくしの映画納めです。

何が一番うれしかったかって、ARラフマーン先生の音楽をチネチッタさんの最高音響で浴びられたこと。
実は映画始まって、オープニングのスタッフ表記見るまで、音楽担当が誰だかノーチェックだったもんで。名前見た瞬間、うわーってテンション爆上がりしました。

あと今回、当時のパンフをチネチッタさんが販売してくれたのも感謝。当時はまだインド映画と出会っていなかったからね、知る由もない。
映画当日に買って鞄で折れたら嫌なので、前日に買って帰ったけれど、当日買って待ち時間に読めば良かった。(家でゆっくり眺めます)

それにしても……何故、このタイミングで「ロボット2.0」の上映なのか。
KGF2作、パターン、ブラフマーストラは今年日本公開だから判る。
バーフバリもRRRも人気根強いから判る。
そこへ唐突な「ロボット2.0」と「きっと、うまくいく」の大晦日連続上映。(ちなみに「きっと、うまくいく」も未見だったので行きたかったのだが、時間がなくて断念)

事前情報はなるべく見ずに……と言いながらも、つべに上がった当時の予告動画は1回だけ見てから行きました。というか、予告ナレが山ちゃん(山寺宏一)なんて、それだけ当時も日本公開に力入れていたのかなとうかがえる……。


ここからネタバレ有りの初見感想。

ラジニ様のロボット映画というざっくりした知識しかない状態での、初鑑賞。
チネチッタさんの良い音響できくオープニング、SF風の映像と音楽があいまって、一瞬「IMAX」見に来たんだっけか?と思うほど。
ラフマーン先生の音楽、メルサル、ムリダンガム……といった系統の音楽しかまだ知らない初心者なので、こんなSF作品の音楽も担当するんだなぁとちょっと新鮮な気持ちに。近未来な雰囲気の中にも、どこか懐かしメロディラインがやはり心地よいです。

さて冒頭。
一人の男性がとぼとぼ歩きながら電波塔で首つり自殺。
近未来エンタメと言いつつ、そこは不穏なところから始まるの、流石インド映画。
工科大学の学生たちが、ラジニカーント氏演じるバシー博士の研究所(?)へ見学(?)に。……というか、ラジニ様ロボット役だけじゃなくて、ちゃんと人間のキャラの役あるんだね(そこから?)。
場面かわって、町のあちこちでスマホが突然手を離れ、宙を飛んでどこかへ消えてしまう事件が増発。
警察に被害届が殺到するが、原因もそしてどこへ消えたかも不明。
チェンナイ中のスマホが消え、携帯会社が他州から取り寄せたスマホも輸送途中にトラックの荷台を飛び出して消失。
さらに携帯販売店の社長(多分)が自宅で、スマホに襲われ謎の爆死。
そして携帯会社の社長も郊外でスマホに襲われ死亡。
特別委員会で対策が検討される中、メンバーであるバシー博士は、軍の出動は危険と主張し、今こそ(自分の作ったロボット)チッティの出動をと提案。
しかし同じく議会のメンバーであるディネンドラ(※映画見ている時はキャラ名わからなかったので、今ウィキで調べました)は、人間に危害を加えるチッティの行動に言及し、反対。
バシー博士の作ったロボットのチッティは、前作の映画で暴走してどうやら裁判所から「使用禁止」扱いになっている様子。前作みていないからどうしようって一瞬なったけれど、その後の流れで、前作知らなくても全く問題はなかった。
チッティの使用は、色々な法的措置をとらないと出来ないとして、否定され、一旦議会は解散。
どうやら前作の映画で、ディネンドラの父親ボラ博士は、チッティに殺されたため、息子である彼はバシーに真っ向から対決する姿勢。

使用停止命令のため保管されていたチッティの首(だけ保管されていた……笑)を、助手ロボットのニラーと共に、保管施設に忍び込んでこっそり持ち帰って、水面下で修理をはじめるバシー博士。
おいおい、盗んだのバレたら許可おりないんじゃないの?というツッコミはこの際不要なんだろうな。
軍が電波塔の警備をするも、忍び込んできた大量のスマホに主導権を奪われ、電波塔の建設工事は中断、作業員も死亡。
州知事(?)も謎の死を遂げ、ついに大臣はチッティの出動をバシーに伝える。

バシー博士、復活したチッティ、助手のニラーの3人(というか一人と2体)は、スマホがどこへ消えたのかを追う内に、とある鳥類の研究者パクシ・ラジャンに行き当たる。
スマホの電磁波や電波塔の影響で鳥類が絶滅の危機に瀕していることを訴え、多すぎる携帯会社への規制や、スマホの使用制限をかかげてきた彼だが、裁判では負け、誰からも相手にされず、自分が大切に育てていた鳥たちが近くに建設された電波塔の影響で次々と死んでいく状況に絶望し、電波塔で首つり自殺をした。
それが冒頭のシーン。この辺りのパクシの活動を追う中盤シーンは美しい映像と音楽でぐっとくる。
映画の感想ツイみていたら、ここが長くてつまらないって評価している人も居たけれど、ここ大事よ。どれだけ足掻いても理解されない苦しみ。絶望して自殺した彼の負のエネルギーが、最終的に巨大なスマホの怪鳥というビジュアルになって人々を襲うわけだから。
負のエネルギーに対して、正のエネルギーをぶつければ、中和されるっていう解決法、強引だけど嫌いじゃない。そう。ロボット技術凄い博士なのに、最終的に物理で殴る展開、さすがインド映画。
スマホ怪鳥相手に、用意した機材で正のエネルギーを浴びせるも、苦戦。
というか、専用トラック1台に積まれたエネルギーで、チェンナイ中から集まったスマホで出来た化け物を中和できるって思うのが無理ないか?なんて思いつつ、これはウルトラマンに出てくる隊員たちが、ウルトラマン自体に頼らず、なんか自分達で頑張って敵を倒そうとして奮闘している姿に通じる地味だけど頑張っている感がある。
ちょっと吹替版としてこれ、ニチアサ枠でやって、子供に見てもらいたい気になってくる。
そういや、この再生したチッティ、スーツ姿でサングラスで、めちゃくちゃ普通のビジュアルで、動きはロボットだけど、移動時は靴底がローラースケートみたいになって動くし、ちょっとチープ感があるところが可愛げがある。そして街中で怪鳥と戦うから、まぁその被害は凄いんだけど、基本的に人間守ろうとしているから、配慮もある。ちょっと優しい感じなんだな、あとから振り返ると判る。

で、一旦は正エネルギーで中和して、なんとかスマホの化け物を抑え込み、バシー博士は称賛され、チッティの軍用利用のための増産が発表されるが、面白くないのはボラ博士の息子であるディネンドラ。
彼は、保管されていたパクシのデータを盗み出し、一度は中和されたそれに負のエネルギーをぶつけて、パクシを復活。
パクシの怨念が、バシー博士の身体をのっとり、街で暴れ始める。
暴走を止めるべく駆け付けたチッティとニラーだが、自分達の親であるバシー博士の肉体を殺すはめになるため、相手を攻撃できずにいるところ、パクシはチッティの両手両足をもぎ取り、破壊。
ラジニVSラジニの図。
闇落ちラジニ様、これは美味しいですよ。もっと見たい。
と思ったけれど、このシーンは少なかった。

首だけになったチッティを持ち帰るニラー。
そして一人になってしまった彼女は、前作の暴走したチッティのデータを盗み出し、量産型で製造途中だったロボットの身体にそれを埋め込み、チッティ2.0バージョンとして復活させる。
ここで、俺様モードのチッティ登場。そうか、これが前作のチッティってことか。なるほど。
さっき破壊されたチッティは、博士が穏やかな性格にした方のチッティだったのかな。穏やかな分、パワー出しきれていない感じだったし、感情で敗北したわけだけど。
結局、俺様なチッティであれば、バシー博士の身体をのとったパクシに対しても容赦なく攻撃できるっていうやつですね。
大量のチッティ2.0を準備している間、サッカー場に現れたパクシことスマホ怪鳥は、観客を場内にとじこめてスマホを介して、電磁波を呼び寄せ(?)皆殺し作戦を宣言。
その場に居合わせたディネンドラは、たまたま目が合ったパクシに最初の犠牲者として選ばれ、自分は仲間であり、封印されていたパクシを蘇らせたことを明かすが人間に嫌悪をいだいている相手は聞く耳もたず、サッカー場の真ん中で彼は焼失する。
(息子の復讐……の割には詰めが甘いというか、自分を除外するプログラムくらい、パクシに搭載しておきなよっていうツッコミ入れたいが、彼はあまり科学の専門性はないのかも)
怯える観客たち。
そこへ大量のチッティ登場、観客がいるのも構わず、パクシを倒すために暴れまわるし、機関銃(?)大量に撃ちまくる。明確に人が撃たれるシーンはここではないが、どう考えても、これ観客にも犠牲者出るだろっていう位の荒仕事。
当初は優勢だったチッティ達も、次第に劣勢になり、エネルギー切れに。
(2.0になってもそこはウィークポイントなのか)
ニラーが用意した小さなチッティ3.0こと「クッティ」が鳩にのって登場。鳥を盾にされて攻撃できないパクシ。見上げれば、大量のクッティが鳥たちに乗っかって会場に集まってきている。
「ここに電磁波を落とせば、人間よりも先に鳥たちが犠牲になる」と、どちらが悪党なのかもう判らない、脅し。
最終的に、鳥たちを使ってサッカー場からパクシの怨念をバシー博士の身体から引きはがすことに成功し、その怨念を誘導して、宇宙開発センター跡地につれていき、そこで巨大装置を使った正エネルギーを浴びせて、勝利。

後日、むち打ち症の首用コルセットをつけて、病院のベッドに横になっているバシーの元へ、大臣が礼を言いにやってくる。
いつでも第2のパクシのような存在は現れるだろうと匂わせ、大臣はもう懲りたのか、スマホ会社を減らすことや電波塔を減らすことなどを約束。

SFものだし、バシー博士の愛しの相手は電話の声でしか出てこないし、これはダンス曲なしで終わるのかと思いきや、ニラーとチッティ(多分大人しいモードの方)のダンスソング有り。ロボット同士の恋愛ソングよ……。
ダンスソング中にエンドロールが流れ出し、これで大団円化と思ったら、その後にエピローグが。

退院して家に戻ったバシー博士。
一人ベッドにつくと……スマホに非通知の電話が入り、スマホが手を離れ、窓に張り付く。
まさかまた第2のパクシが?……息をのむ博士。
するとスマホが、クッティに変化。(小さい彼は戦闘中にも何度もスマホに擬態している)
最後はクッティの決め科白で、落ちも決まったところで、エンドロールの続きが。

アクシャイ・クマール氏に脱帽。

実は映画を見る前日にパンフを買った際に、乱丁チェックのためにちらっと中身を見たんですよね。文字までは読んでいなくて。その時にアクシャイ・クマールさん出ているって書いてあって、そういえばディシュームでしかまだ見た事ないなぁくらいに思っていたんです。

で、実は映画の中盤までどこに出てくるんだろうって思ってました。

パクシが怨念化して、スマホに取り込まれた後の凄い形相のところで初めて「え、パクシ役がアクシャイ・クマールさんだったの?」ってなったんですよね。それくらい、メイクも含めて、完全に騙されてました。
あの首つったおじいちゃんに扮していたんですか?!
いやいやもう、全然判りませんでした。判らなくてすみません。いやこれは見事というべきか。

個人的にツッコミどころは、1日あたりに亡くなる人間の数の例として、広島の原爆の人数を引き合いに出されたところ。これはちょっと日本人の一人として、そういう話題で例示されたくない案件でしたね。

ウィキペディア見ると、当初、敵役はハリウッドからのゲストということでシュワちゃんを予定していたみたい。でも実現はしなかった。結果としてアクシャイさんで良かったと思うけれどな。

パクシを一度は封印して、中締めみたいに博士が称賛されたシーンで、鳥類の件に一切触れていなかったあたりで「ここで終わるわけはないよな」とは思ったし、そもそも息子の出番がなかったから、もう一山くるなとは思っていたけれど、案外息子が活躍しなかった辺りが勿体ない。
あくまでもパクシがラスボスなのね。
結局のところ、本来の優しいパクシが豹変してしまったあたりをもう少し汲んであげて欲しい気もするんだけど、でもスマホを現代社会で否定するわけにもいかないから、規制を匂わすところで切り上げたのはあっさり気味だったかな。
それでもハリウッドの制作陣と協力して作り上げたこのエンタメっぷり、映画館で浴びて良かった。完全なSFに振り切らず、中盤でパクシの過去シーンを丁寧に描いたところも良かった。

タレイヴァー……、バシー博士、失礼ながら最先端技術扱う技術者というより、圧倒的なボス感で、アナログを愛する感じなのよね。
消えたスマホの行方を追うシーン、電磁波装置?を持って歩き回るんだけれど、その電磁波装置、最先端の測定器というよりは色形からしてもニチアサ特撮の子供向け判りやすい「スーパーアイテム感」をまとった……地雷探知機ぽさ。そして凄い技術搭載しながらも、パクシの対抗策が物理で殴り掛かる感じとか。
そういう全体に漂う、どこか我が家みたいな安心感が良かった。


リンク

日本公開当時の公式サイトまだ存在している。




何故、このタイミングで再上映したのか。

もしかして……なのだけれども、ラーム・チャランの次作の監督がこのシャンカル監督のようなので、もしかしてその日本公開の伏線なのだろうか、などと邪推してみたんだけれども、チネチッタ一か所での上映なので、あまりこの線は関係なさそう。
案外、チネチッタさんのパンフ在庫にロボット2.0のがあったから……思い立ったみたいな身近な理由だったりするのだろうか。
ともかく、DVDを借りてみるくらいしか機会がないと思っていた作品だけに、映画館で見られたのはとても良かった。有難うございます。

これでやっとタレイヴァーのロボットのチッティを知ることが出来たので、ちらと出演しているらしいという噂の「ラ・ワン」をそろそろ見る時が来たのかもしれない。
あと、シャンカル監督、「マッスル踊る稲妻」の監督なんですね。これはやっとDVDを見る時がきた。来年こそはDVD見る時間を作らないと。