空き家問題と向き合う神戸出張レポート前編~アキカツ会議2024~
こんにちは。空き家買取専科 子育て広報の三輪です。
今回は、7月末に行った神戸出張のレポをお届けします。盛りだくさんの2日間でしたので、2週にわたってレポしていきます。まず前半では、神戸で開催された「アキカツ会議2024」に参加した様子を、後半では、神戸市平野商店街での取組について報告しますね。空き家についてどっぷりと考える充実した2日間の様子をお届けします。
アキカツ会議2024レポ
アキカツ会議とは
7月26日に神戸で開催された「アキカツ会議2024」は、空き家活用株式会社様が主催し、空き家に悩む人も、空き家を使う人にとっても非常に有意義なコンテンツが盛りだくさんのイベントでした。
深刻化する空き家問題の解決に向けて、自治体の事例や国の支援策、民間企業との連携、地方創生や二拠点生活といった新しいライフスタイルの推進などの最新トレンドを発信するカンファレンスで、全国から多くの関係者が集いました。全国の自治体職員や企業、そして空き家問題に関心を持つ市民がオンラインを含めると500人以上集まりました。
イベント全体を通して、様々な学びと空き家問題に取り組む人々との交流を通じて学びを得ることができ、非常に充実した一日となりました。
セッション①特措法改正から半年、これからすべきこと得られること
会議の最初のセッションでは、空き家活用株式会社の和田社長をはじめ、国土交通省の石井さんや神戸市の根岸さんが登壇し、「特措法改正から半年、これからすべきこと得られること」と題して、全国の空き家対策の進捗状況について詳細なデータが示されました。
石井氏からは、「管理不全空家」に対する指導件数が1,091件に達しており、さらに特定空家に対する緊急代執行もすでに5件実施されているという報告がありました。この数字は予想を上回るもので、全国の自治体が空き家問題に真剣に取り組み始めたことがうかがえました。
また、神戸市の取り組みも非常に印象的でした。神戸市は、空き家を魅力的な物件にリノベーションし、まちのにぎわいを創出する「建築家との協働による空き家活用促進事業」や、民間企業との連携による空き家減少策を推進しています。特に、補助率1/2、最大500万円の補助で行うリノベーション事業は、空き家を資産として生かす新たなモデルケースとして注目されました。
セッション②空き家対策での官民連携
次のセッションでは、空き家活用株式会社の坂井さんや全国空き家アドバイザー協議会の理事長である井上さんなどが、空き家対策を進める上での官民連携の理想的なモデルを提示しました。
井上さんは、「政策を効果的に進めるためには型が必要」とし、「都市型」と「地方型」の施策立案スキームを紹介し、官民連携の新しい形として「官民民連携型」を提言しました。この連携型モデルは、自治体と民間企業をつなぐ存在を用意することで、自治体が民間業者を管理するコストを削減し、事業拡大を可能にするというもので、実際に効果を上げている事例も紹介されました。
セッション③空き家活用AWARD
お昼休憩を挟んで午後のセッションでは、「空き家活用AWARD」が発表され、いつもお世話になっている、空き家コミュニティ『空き家の会』の光山さんが受賞されました!!後半では、光山さんが取り組んでいる、神戸市平野商店街を訪問した様子をお届けします。
セッション④:著名人の登壇
その後、宝島社「田舎暮らしの本」の編集長、柳さんが登壇しました。彼は、移住や二拠点生活を推進するために空き家を活用する新しいライフスタイルを提案し、地方での暮らしの魅力を伝えてくれました。空き家を単なる住宅として見るのではなく、観光拠点や移住者の受け入れ施設として活用することで、地域経済にも大きな影響を与える可能性があることがわかりました。
また、女優の黒谷友香さんとジャーナリストの堀潤さんによるセッションでは、QOL(生活の質)を高めるための「居場所づくり」について議論が行われました。黒谷さんは20年以上にわたって二拠点生活を実践しており、その体験から得た心地良い時間と空間の大切さを語りました。彼女の話を聞くことで、単に家を持つだけでなく、いかにその地域に積極的に入っていけるかも、自分自身がリラックスできる場所を作るうえで重要であると改めて感じました。
Airbnb Japanの谷口さんからは、空き家とエアビーを活用した資産活性化の具体例が紹介されました。空き家を単なる問題とするのではなく、それを観光や民泊ビジネスの拠点として活用する視点が非常に斬新であり、多くの参加者が関心を持って聞いていました。
松本明子さんの自身の実家じまい
最後に一番聞きたかった、女優の松本明子さんの自身の実家じまいに関するエピソードを聞かせていただきました。
松本さんは、空き家となった実家の維持した費用やその苦労を語りました。お父様が宮大工に依頼して作った総ひのき造りの夢のマイホームは、空き家になってから25年間で維持費や修繕費がかさみ、最終的に実家じまいに費やした費用が1,800万円以上もかかったそうです。
売却を検討し査定をしてもらったところ、 査定金額はわずか200万円で、土地の価値も大幅に下がり、売却を決断した後も家財や遺品の整理が大変だったと、笑いをとりつつお話されました。
松本さんは「実家じまいは家族全員の問題」とし、両親が元気なうちに家族で進めることの重要性を強調しました。また「実家はただ存在するだけでお金がかかる」という現実を伝え、「私の失敗をネタに、ぜひ一度話のきっかけにしてほしい」と参加者に呼びかけました。実家を整理する際の失敗談や、家の終活を怠ることによる問題点をユーモラスに語りつつ、実際に直面する問題とその解決策についての重要な示唆も与えてくれました。松本さんの話は、空き家問題が私たちの日常生活にも深く関わっていることを再認識させるものでした。
カンファレンスに参加してみて
このカンファレンスを通じて、私は空き家問題に関する新しい視点や具体的な対策について多くの学びを得ることができました。特に、官民連携の重要性や、空き家を資産として活用するための新しい取り組みが、地方創生や地域活性化に大きく貢献する可能性を感じました。また、参加者同士の交流も盛んで、同じ課題に取り組む仲間たちとのつながりができたことも大きな収穫でした。
空き家問題は依然として日本全体で大きな課題ですが、単に空き家問題を議論するだけではなく、実際のアクションや成功事例を共有することで、今後の取り組みを加速させる大きな力を持っています。
「空き家ゼロに」を目指して、官民一体となった取り組みが着実に進展しています。今回の「アキカツ会議2024」は、空き家ゼロにイベントの一環としても開催していただきました。最新の情報や事例を学び、空き家活用の未来を考える貴重な場となりました。今後もこのようなイベントに参加し、空き家問題の解決に向けた取り組みを継続していきたいと思います。
神戸出張の後編では、神戸市平野商店街を訪問した様子をお伝えします。