木造住宅の工法は大きく分けてふたつ
軸組工法と枠組壁工法のちがいとメリット・デメリットをご紹介します。
1.意外と重要な木造住宅の工法
家を建てるとき、家を買うとき、工法まで気にかけていますか?
ハウスメーカーによって採用している工法が異なりますので、業者選びは工法選び、と言っても過言ではありません。
なにがちがうの?
どっちも同じ”家”でしょ?
そう考えている方が多いかもしれませんが、実はけっこう違いがあるんです。
どちらが良い悪いではなく、その違いを正しく理解して、お家づくりに役立ててほしいです。
2.軸組工法と枠組壁工法とは
簡単に言うと、木造軸組工法は線、枠組壁工法は面で建物を支えています。
まずはそれぞれの工法をすこし深掘りしてみましょう。
■軸組工法
軸組工法とは、別名、在来工法と言い、日本で最も多く建てられている伝統的な工法であり、柱や梁、筋交を組み合わせて軸組(骨組み)を作り、建物を「線」で支える工法です。 設計自由度が高く、比較的広い開口部をつくれるという特徴があります。 枠組壁工法は枠材に面材を緊結させ「壁」をつくり、その壁を組み合わせて家をつくりあげる工法です。
■枠組壁工法
通称2×4工法と呼ばれる枠組壁工法は、フレーム状に組まれた木材の骨組みに合板を打ちつけたものパネル化し、それらを壁・床・天井に使い六面体に組み合わせる「面」で支える工法です。 地震や強風などの外力を“面”で受けとめ箱状の六面体で支えるため、一般的に頑丈で、耐震・耐火・気密・断熱等の性能も高いのが特徴です。
3.軸組工法と枠組壁工法のメリット・デメリット
■間取りの自由度、可変性のちがい
軸組工法が圧倒的優位。
軸組工法は点と点を結ぶように柱や梁を備えるため、点の位置によって空間のカタチやサイズを自由に決められます。
そのため1つの面のサイズが決まっている枠組壁工法と比べて、間取りの自由度が高く、柱で建物を支えている為、壁を抜いて間取りを変えたり、壁に大きな開口(窓)を作ることも 比較的容易にできます。
特にリフォームで間取りを変えたり、増築も簡単にできるのが特徴です。
これ、かなり重要ではないですか?
それに、狭小地や変形地でも土地の形状に合わせて敷地を有効に使いやすいのもこの工法の特徴です。
住宅は何十年も使い続けるものですから、家族構成の変化などによって間取りを変えたり、増築したりすることも柔軟に考えられます。
間取りの自由度、可変性の優劣は、中古住宅の売買が盛んになってきた現在からこれからの住宅事情には欠かすことのできない重要な要素です。
■大きな開口部をとりやすいのはどっち?
軸組工法が圧倒的優位。
軸組工法では 柱で建物を支えている為、 点と点の距離を自由にでき、 柱で建物を支えている為、 壁に大きな開口(窓)を作ることができるのが大きな特徴です。
面で構造物を支える枠組壁工法と比べて壁(面)を抜きやすく、柱と柱の間隔があいた大空間のある間取りや、大きく開口した窓をつくりやすく開放感のある家をつくることができます。
■耐震性
枠組壁工法が優位
もちろんどちらも現在の耐震基準をクリアできるのは当たり前ですが、比較すればやはり面で構成する枠組壁工法のほうが有利です。
なぜなら枠組壁工法の、パネルを組み立てて6面で支える構造はモノコック構造とも呼ばれ、飛行機や新幹線、F1マシンなどにも採用されているほど強固な構造だからです。
そのため耐震性に木造軸組工法よりは優れていると言えます。
木造軸組工法も耐力壁や柱、梁の配置で十分地震に強い家をつくれます。
例えばリビングの庭側に大きな開口部を備える場合、耐力壁を開口部の周囲に設けるなど、きちんと構造計算をして耐力壁などをバランス良く配置することが大切です。
■防火性
枠組壁工法が優位
柱と柱の間を空けられる木造軸組工法と比べて、面の多くなる枠組壁工法のほうが、面で炎を跳ね返しやすくなるため、防火性で有利です。
とはいえ高い耐火性が求められる防火地域や準防火地域でも軸組工法で建てられているように、外壁材など防火性能の高い素材の選び方次第で、軸組工法・枠組壁工法どちらでも十分防火性を高めることができます。
そのため防火地域等で必要な耐火建築物にも木造住宅が認められています。「さらに2018年9月に公布された建築基準法の改正で、従来木造の耐火構造は2階建てまででしたが、それが3階建てまでに改められました。それだけ防火性能の高さが認められているということです(施行:2019年予定)」
■シロアリに弱いのはどっち!?
引き分け☺
シロアリは『ガラスと陶器以外は何でも食べる』と言われています。
シロアリが好む条件さえ満たせば、シロアリの被害が出るのは当然です。
シロアリに関しては、構造うんぬんより、住み方、メンテナンスの意識によって被害の出方、被害の大きさに影響を及ぼします。
4.まとめ
木造住宅構造2種について、大まかにまとめてみました。
どこに重点を置くのかで、選ぶ工法が変わってきます。
住宅を建てる時は、それぞれのハウスメーカーが採用している工法を確認し、後々までの家族計画も含めた家づくりをすることをお勧めします。
また、中古物件を購入してリフォームする際は、さらに注意が必要です。
かならず工法を確認し、ご家族のリフォーム計画を遮ることが無いよう、物件選びをすることが重要です。
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