【小説】幽霊猫と三毛猫ミケの冒険
三毛猫のミケは、今日は少し違った一日を過ごすことにしていた。普段はリビングでゴロゴロしているが、今日はどうしても興味を引かれる場所があった。それは近所の古い神社。猫たちの間で「幽霊が出る」と噂されている場所だった。
「ミケ、本当に行くのかにゃ?」と、黒猫のクロが心配そうに聞いた。
「うん、幽霊なんて存在しないにゃ。それに、ちょっと冒険したいにゃ」とミケは自信満々に答えた。
クロとシロの二匹はミケについていくことに決めた。日が沈みかける頃、三匹は神社に到着した。古びた鳥居をくぐり、静まり返った境内に足を踏み入れる。
「なんだか、ちょっと不気味にゃ……」とシロがつぶやいた。
「大丈夫にゃ。幽霊なんてただの噂にゃ」とミケは前を向いたまま進んでいった。
しばらくすると、風が強く吹き、木々がざわめき始めた。突然、境内の奥から声が聞こえてきた。
「にゃーん……にゃーん……」
「誰かいるにゃ?」とミケが声をかけた。
返事はなかった。しかし、その声は確かに続いていた。三匹は声の方へ近づいていく。
「にゃーん……にゃーん……」
「やっぱり、幽霊じゃないにゃ?」とクロが震えながら言った。
「違うにゃ、きっと誰かがイタズラしているだけにゃ」とミケは断言した。
しかし、その声がだんだん近づいてくると、三匹は立ち止まった。目の前には古びた祠があり、その中から声が聞こえていた。
「にゃーん……助けてにゃ……」
ミケは勇気を出して祠の扉を開けた。中には白い毛並みの猫がいた。彼の体は透けていて、明らかに幽霊だった。
「わぁ!本物の幽霊にゃ!」とクロとシロが叫んだ。
しかし、ミケは驚きつつも冷静だった。「君はどうしてここにいるにゃ?」
幽霊猫は悲しそうに答えた。「僕はずっとここに閉じ込められているにゃ。助けてほしいにゃ……」
ミケは少し考えた後、祠の中の古いお札を取り外した。すると、幽霊猫の姿が次第に薄れていった。
「ありがとうにゃ……これで自由になれるにゃ……」幽霊猫は微笑みながら消えていった。
三匹はしばらく呆然としていたが、やがてミケが口を開いた。「やっぱり幽霊はいたにゃ。でも、悪い幽霊じゃなかったにゃ」
クロとシロも少し安心したように笑った。「ミケ、すごいにゃ。君のおかげで幽霊猫も救われたにゃ」
「そうにゃ。今日はちょっと怖かったけど、楽しかったにゃ」
三匹は神社を後にし、家へと戻っていった。彼らの心には新しい冒険の思い出と、少しの恐怖が残ったが、何よりも友情の絆が深まった一日だった。