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なぜアメリカでは簡単に片親が子どもの親権100%取れないんだろう?

州は違えど、基本的にアメリカでは離婚するときは必ず離婚裁判所で裁判をします。当人同士が離婚を認めていても「原告」と「被告」に分かれる。

なんか、いやですよね……そりゃ憎しみがあるならわからないこともないけれど、協議離婚で認め合っているのに便宜上、そうせざるを得ないというのは、哀しい。

わたしが離婚をしよう! と思ったのが2009年の春先。
実際に行動を始めたのが2010年の秋口。
日本語が通じる離婚弁護士事務所に連絡をして、どうしたら離婚ができるのが聞いてみた。

子どもがいるか、いないかが大きなポイントになる、と言われました。

というのも、子どもがいると、親権で必ずといっていいほど「もめる」らしいです。そしてアメリカではよほどのことがない限り「片親に親権が100%いくことはない」。

どういうことかというと、アメリカではいくら離婚をしようが基本、子どもは両親が育てる、というのがあるみたいなんですね。なので半分半分で親権を持つというのがどうやら一般的のようです。

えー、それってなんだか納得いかない。
どう考えてもわたしのほうが息子の世話しているわ、生まれたときから!
わたしが100%親権もらって当たり前でしょう?

と思っていたんです、離婚を決めたとき。

とはいえ「シングルマザーになる」と決めるのは、半端なくキツかったです。
英語もろくに話せないわたしが、この異国の地ニューヨークでシングルマザー??? 家族のサポートもなしにどうやって???

そもそもなにゆえ離婚をしようと思ったのか。
そうだ、まずはそこをお伝えしないとね。

ざくっと言うと、ただ単に価値観の違いです。
わたしと彼の間には、まさに太平洋があり、それくらい、いろんな事に対して隔たりがあったんです、子育てをしていくうちに。

旦那はアメリカ黒人(African-American)。ハーレム生まれ育ちのハーレムっ子(ハーレマイト: Harlemiteと言います)。兄弟が数人いて、父親が違うとか父親を知らないとか(初めて聞いたときはショックだったけれど、ハーレムの中では当たり前過ぎて三文小説にすらならないエピソード)、家族の中に誰かしら刑務所に入っている人がいる、暴力沙汰に巻き込まれている……などなど、日本でぬくぬく純粋培養で育っていると、正直理解不能。

どんな隔たりがあったのか、それに関してはおいおい書いていくつもりなので、今回はこれくらいで。

喧嘩の原因のトピックとして上がるのが

息子の将来をどうしたいのか? 
どうやって二人で育てていくのか(この低収入で)?

息子の将来については「大学に行って欲しい」と言うだけで「どうやって大学に行けるのか」を知らない。イメージができない。当たり前です。自分が大学に行こうと思ったことがないから、よくわからないんです。そして残念ながら、調べようとしなかった。否、調べ方を知らない、と言ったほうがいいのかもしれません。というのも、旦那の家族の中で大学に行った人、誰一人としていないので。

大学には行きたい、行った方がいいだろう。でも行った人いないし、大学に行くお前は何者? 的な、ぐるぐるしたね、ブラック・コミュニティー内あるあるの面倒な感情(主に嫉妬の嵐)が渦巻いておりましてね。
日本人にはなかなか理解できないことが多かったです。

子どもを育てていく、ということに関しても、片親(主にシングルマザー)で育つ子どもたちが多いこのコミュニティーなので、どこかで彼は「母親が子どもを育てるのが当たり前」と思っている部分が多かったように思います。

そう言えば、わたしが妊娠して「どんな父親になりたい?」と訊いた時も、一緒に遊びたい、オムツ替えもする、お風呂も一緒に入ってみたい……などと、理想をあつーく語ってくれていました。

その理想がどうなったかは、ご想像にお任せします。
理想と現実は大きくかけ離れているからねえ……。
まあ、仕方がない。
過剰に期待してしまったわたしも悪い。

などなどの、もろもろを考慮した結果、息子はぜったいにあたしと一緒に過ごしたほうが「安全」で「幸せ」だ、と。

なのでシングルマザーになる、イコール、息子はわたし一人で育てる

そう思いました。

………………。

とまあ、書いていて、なんて上から目線なんだ、お前。と自分自身に突っ込みたくなりました(笑)。
わたしこそ「二人で育てる」の意味、わかってなかったんじゃないの? とも。

えーっとね、ここで

じゃあ、なんでそんな人と結婚したのよ。
そんな人を選んだあなたの責任だ。

なんて言わないでくださいね。

だって惚れちゃったんだもん。

誰だって、間違い、とは言いたくないけれど(それなりに楽しい思い出だってあるし)、結果としてこうなってしまった、ということ。
もちろん、努力が足りなかったかもしれないけれど……。
なってしまったことは、仕方がないんです。

話を戻しましょう。

離婚弁護士さんからのアドバイスは、まずは親権をしっかりすること。その後でまた連絡を下さい、とのことでした。
だって確かその時で、基本料金が30万円とかで、親権でもめて長引けば長引くほど料金がかさむ……みたいなこと言われて。

繰り返しますが、わたしはもう100%バリバリに親権もらえる、と思っていました。収入は彼よりもあるし、何よりも愛情が有り余るほどあるし!

ところがそうは問屋が卸さなくって、実に100%親権取るのにかれこれ5年近くの月日がかかってしまったんです。

もうね、日本の紙切れ1枚でさくっと離婚ができちゃうのが本当にうらやましい!


続きます。
次回は、離婚裁判の起こし方、実際にどんなことがあったのか、などをお伝えしますね。

2006年生まれのアメリカ人とのハーフの男の子のいるシングルマザーです。日々限界突破でNY生活中。息子の反抗期が終わって新しいことを息子と考えています。