ハーレムにシングルマザーが多いのは、どうしてだろう。
2001年の10月からハーレムに住んでいるけれど、ハーレムにはシングルマザーが多い、ということに知って正直驚いた。
それから10年後に自分がシングルマザーになるんて、この時は夢にも思っていなかったけれど。
でもどうしてハーレムにはシングルマザーが、そんなにも多いんだろう。
それは何でなんだろう?
ハーレムに住みだした頃、同じ時期にハーレムに引っ越してきた日本人女性を友達から紹介されて、友達になって、夜な夜なバーに行って遊んでいた。
というのも、1920年代に華開いたハーレム・ルネッサンスの街でもある憧れのハーレム。もうはしゃいじゃって大変だったんですよね。わははははは。
バーに行けばアジア人女子二人(それも中国人と思われている)がお酒呑んでいるし、もともとお話好きな黒人男子が多いので必然的に普通に話しかけられる訳です(自慢ではありません)。そこでなんだかんだと話をしていると、だいたい20代前半の男子で必ずベイビーがいる。ほぼ100%近い確率で。
「誰が君のベイビーの世話してんの?」
「ガールフレンド」
「ガールフレンドとは一緒に住んでいるの? 結婚しているの?」
「一緒に住んでいないし、結婚もしていない」
「え?」
「ガールフレンドと、彼女の母親が俺たちのベイビーの面倒をみている」
という会話をどんだけしたことか。
つまり、やるだけやって子供はできても俺は責任取らないぜ〜な男子が多いこと。マジで多かったし、だいたい声をかけてくるのは最低でも2人組がおおかったけれど、お互いが結婚していないガールフレンドとの間にベイビーがいる。なんとなく、彼らの間でそれが「当たり前」的。
でも、どうして結婚もしてくれなさそうな、責任も取ってくれなさそうな男性との間にベイビーを作っちゃうのか?
そんな経験があったから、黒人男性と付き合うのならベイビーがいないことが基準になったり。
日本の常識から考えると変な話なんだけれど、それが基準。もっと細かい基準があるけれど、それはまた別の機会に。
ハーレムに住み始めたのが2001年の10月からなんですが(同時多発テロ事件で前に住んでいた家を追い出されたため。詳しいことはこちらから)、その翌年の2月頃から135丁目にあるYMCAに保育園があったんです。
そこで週2日ほど合計1年半ほどボランティアをしたんですが、その時もシングルマザーの子供が多くて。
保育園の子供たちをYの近所にある公園に連れて行っても、シングルマザーの子供たちもいて。
なんでこんなにシングルマザーが多いんだろう?
ハーレムに住み始めてからの数年の疑問でした。
多分、その頃からアメリカの貧困などに興味を持ちだし、結婚して息子が産まれて、初めて息子を連れて日本に帰ったときに『ワーキング・プア アメリカの下層社会』という本の日本語訳を読んだのです。
この本の中に、シングルマザーはどうしてシングルマザーになるのか? ということについて書かれています。
正直言うと、読み直すのは辛いの記憶で書きますが、確かこんな理由。
シングルマザーで育てられた娘は、シングルマザーである母親を恨みます。
だって自分は母親が16歳の時にできた子供。母親から散々「あんたさえいなければ、あんな男に振り回されない人生が送れた」と文句を言われて育ちます。
娘はそんな母親が大嫌いなので、早く自立をしたいと考えます。
自立すること=セックスをする。というような考え方になり、セックスを知った自分は母親がいうような子供じゃない。問題は、そこで娘も16歳前後で妊娠をしてしまい、相手の男性が逃げてしまうこと。責任を取らないこと。ここでまた、自分の母親と同じことを繰り返して……の負のスパイラル
確かこんな内容だったはず。
あたしはここを読んだ時に、すっと何もかも納得した。
多分ブラック・コミュニティーだけじゃないんだろうけれど、下層社会のスパイラルなのかもしれないけれど、男のメンタリティーとして、子供ができてもシングルマザーで育てればいい、とどこかで感じている部分があるような気がするのだ。
だって、自分もシングルマザーまで育ってきているから。
ママだってシングルマザーで俺を育ててくれたから、お前だって育てられるだろうという考え方。
なんでそこで一緒に協力して育てないの? と思うけれど、そういう風に育ってきていないから「わからない」し、ロールモデルも周りにいなかっただろうし。
公園から響き渡るヒステリックな声。
自分の子供なのに、まだ3歳か4歳にしか満たない自分の娘に向かってFワードを発する母親。
シングルマザーになる恥ずかしさとともに、こんなキリキリしたヒステリックな街で息子を育てないといけない不安など相まったことを思い出しましたね。
でも、それでもシングルマザーになったのは、近所に住んでいる子供もいない日本人友達から「なんとかなるよ、ニューヨークだもん。手伝うから」という心強い言葉を何度ももらっていたからだと思う。
実際、その彼女には何度も甘えさせてもらったし、彼女以外にも、あたしを支えてくれた人達が周りにいたことも大きかった。
一人で子育てなんて無理です。ええ、無理。絶対に無理です。発狂します(何度もしました)。
甘えられるところ、友達なのか行政なのか、自分に合った、サポートしてくれる人を探すこと。これにつきます。
それがまた結構大変なんですけれどね〜。
その話はまた他の機会に。
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2006年生まれのアメリカ人とのハーフの男の子のいるシングルマザーです。日々限界突破でNY生活中。息子の反抗期が終わって新しいことを息子と考えています。