断捨離
断捨離
リサは自分の部屋に積み上げられた段ボール箱を見つめていた。引っ越しのたびに増え続けた荷物は、今や部屋の大半を占めている。どの箱も「いつか使うかもしれない」と思って取っておいたものばかりだ。しかし、その「いつか」は一度も訪れなかった。
「もう、これじゃ生活できない…」
リサは意を決して、断捨離を始めることにした。まずは一番大きな箱を開ける。中には古いアルバムや、使い古されたノート、壊れたおもちゃが詰まっていた。それらを一つ一つ手に取りながら、過去の思い出が蘇る。
「これ、もう何年も使ってないな…」
リサはアルバムを手に取り、中を見た。子供の頃の写真がいっぱい詰まっている。懐かしい気持ちがこみ上げてきたが、同時に、それが今の自分には必要ないことを悟った。アルバムをそっと箱に戻し、リサは深呼吸をした。
「思い出は心の中にある。物にしがみつく必要はない。」
次に、壊れたおもちゃを手に取る。これは幼少期に大切にしていたぬいぐるみだ。耳が取れてしまっているが、その愛らしい顔は変わらない。
「ありがとう、たくさんの思い出を。」
リサはぬいぐるみを手放す決意をし、捨てるための袋に入れた。次々と箱を開けていく中で、リサは自分がどれだけ物に依存していたかを痛感した。
数時間が経ち、部屋はすっきりとした空間に変わりつつあった。最後の箱を開けると、中には一冊の古い日記があった。リサはその日記を開き、かつての自分と向き合った。
「今日は新しい学校に行く日。友達ができるか不安だけど、頑張る。」
リサはその日記を読みながら、当時の自分の気持ちを思い出した。あの頃の自分が抱えていた悩みや喜び、全てが詰まっている。その日記は、リサにとって特別なものだった。
「この日記だけは…残しておこう。」
リサは日記を大切に抱え、棚にしまった。全てを捨てるのではなく、本当に大切なものだけを選び取ることが、断捨離の本質だと気づいたのだ。
部屋の中は、以前とは比べ物にならないほど広く、明るくなった。リサは窓を開け、爽やかな風を感じながら深呼吸をした。
「これからは、新しい気持ちで前に進もう。」
リサはそう心に決め、新たな一歩を踏み出した。断捨離を通じて、自分自身を見つめ直し、過去の重荷から解放されたリサは、今まで以上に軽やかに生きていくことができると信じていた。
部屋の隅に残ったわずかな荷物は、リサにとって本当に必要なものだけ。彼女はその中に、未来への希望と新たな可能性を見出していた。
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